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タイムワープは可能か?時間と空間の神秘。時空を超える心の旅『フワッと、ふらっと、相対性理論の心理学』

『フワッと、ふらっと、相対性理論の心理学』

 
今回は、アインシュタインの考え方を元に、相対性理論的な時空と心の世界との関係を探っていきたいと思います。


1. アインシュタインの特殊相対性理論

 タイムワープは理論上、光の速さを越えることができれば、可能とされています。 

 モノに光があたって反射した光を、

私達が追いかけていき、ひたすら追って、

そしてとうとう、その光を追い抜くことができれば、

振り向けば、

過去にモノに当たって、

反射した光が私達の目に飛び込み見える、

つまり「過去を見ることができる。」ことになるからです。

 ですが、アインシュタインによれば、それはできない相談だそうです。

 なぜなら、彼の理論によれば

光より速いものはない

からです。

 また、彼はその光の速さは変わらない(光速度不変の原則)ともいいます。

 そしてこれが、「時空は歪む」とする相対性理論の出発点になります。

 相対性理論が登場する前は、

「光速度は変化する(以下、「光速度可変論」といいます)。」

と考えられていました。

 つまり、光の速さを遅くすることもできると考えられていたわけですから、

それが正しければタイムワープも可能となります。

 なぜ、以前は光速度可変論であったのかというと、

真空中にはエーテルなるものが、詰まっていると考えられていたからです。

 は、空気の振動(波)なので、音波は空気を媒質にして伝わりますが、

空気の存在しない、真空では当然ながら伝わりません。

 ですが、光は真空でも伝わるため、

波である光が、

(量子力学では、(のみならず物質全般)は、

波でもあり、粒子でもあると考えますが、

ここでは、そのような考えも考慮すると話が複雑になるので、光は、波だとしておきます)

空気のない宇宙でも伝わる、

真空中でも、光が波動となっているということは、

音の場合の、空気のような、

光を伝える媒質が、真空にもあるはずだということで、

エーテル」なるものを、人は考えました。

 ですが、実験した結果、エーテルの存在は確かめられませんでした。

 例えば、以下のような実験を考えてみます。

 宇宙には、エーテルなるものがつまっていて、

これは動かないとするならば、

地球は、東西方向に自転しているので、

自転しながらエーテルの中を直進しているとするならば、

東西に経路をとる光は、

行きは、追い風的になり、

光のスピードは、早くなる

帰りは、エーテルの抵抗を受けて向かい風に

光のスピードが、遅くなる

なります。

 とすると、

エーテルの影響を受けて、光速度に変化が生じるわけですが、

この例をベースにした実験を行ったところ、光の速さに変化はありませんでした。

 アインシュタインはこれを見て、

エーテルなどはない。そして光速度は不変。

と考えたわけです。

とすると、おかしなことになります。

 例えば、時速100キロで走っている電車を、

止まっている人が見れば、

時速100キロで走っているように見えますが、

時速80キロで走っている電車から見ると、

時速100キロ-時速80キロ=時速20キロとなって、

時速20キロで走っているように見えるはずです。

 ところが、

光速度(秒速約30万km)は不変となると、

例えば仮に、光速で走る電車があったとして、

その光速列車は、

止まっている人が見ても、

光速度に、非常に近いスピード

(例えば、秒速29.9999万km)

で移動していている人が、仮にいたとしても、

全く同じ、秒速約30万km(光速)で、走る電車に見えてしまうことになるからです。

 このままでは辻褄が合いません。

2. 時間・空間は絶対的なものではない。時空は歪む

 アインシュタインは、前述の矛盾を解消し、辻褄を合わせるために、ひねりを加えて、

「やはり、光速度は不変である。」

としたうえで、

「時空(時間・空間)ほうが変化する

つまり、時空は伸縮したり歪んだりする。」

と結論づけました。

 ここにおいて、ニュートン物理学(中学高校で習うような物理学)においては、固定され、

不変・絶対だった時空(時間・空間)を、

相対性理論では、歪むとしました。

 ニュートン物理学が、

時空を絶対的なものとした理論(絶対性理論)に対して、

アインシュタイン理論は、

「いや、時間・空間は、絶対的なものではない。歪み、伸縮する。」

としたので、

相対性理論」と呼ばれます。

 このように、相対性理論においては、絶対的な時空はないと考えます。

 空間も時間も、歪むとします。

 歪んで、時間も空間も、以下のように変わる可能性があります。

① 光速に近づくにつれて、モノは短くなる。

② 光速に近づくにつれて、モノは重くなる。

③ 光速に近づくにつれて、時間が遅くなる。

 なので、いくら頑張っても、光に追いつくことはできない。

 だから、タイムマシーンを作ることは、この理論によれば無理だということになります。

 ということは、

全て「光速に近づくにつれて」となっているので、

光速で動いていない、

日常生活上では、このような時空の歪みが感じられず、

ニュートン物理学的な「時空は絶対」という感覚が妥当に思われてしまうわけです。

 しかし、私達を構成している電子や陽子などの素粒子も、光速に近いスピードで動いていますので、このことが全く関係ないわけでもありません。

 いずれにしても、このように光速に近づくにつれて、

この世界の本性が現われ、

質量・長さ、そして時間までもが、絶対的なものではなくなり、実は「時空は歪む」という性質が顕になります。

 そして、このにわかに信じられない驚くべき理論は「物理学」ですから、実験によって確かめることができます。

 「時空が歪む」ことは、実に簡単に実験で確かめることができます。

 その方法は、7キロメートルぐらいある「加速器」の中で、

素粒子を光速に近いスピードで飛ばすといったものですが、

(簡単ではないですね・・)

こういう実験をすると素粒子の質量が実際に大きくなり、また寿命が延びる

(つまり時間の進みが遅くなる

ことが確かめられます。

 なお、こんな大規模な実験をしなくても、遠心分離機の中に、時計を入れて、

1週間ほど回せば、時計は1秒ほど遅れます。

(実際にそんな実験で、時間の遅れを確かめた、高校の物理クラブがあるようです)

 遠心分離機なんてないというのであれば、時計を換気扇につけて、同じように1週間ほど回せば、この場合でも1秒ほど時間は遅れていることでしょう。

 ところで、このような話の中で心理学的に興味が惹かれるのは、

「光速に近づくにつれて、時間が遅くなる。」

ということでしょう。

 光速に近づくにつれて、時間が遅くなるのであれば、

仮に止まっている人(仮にAとします)と、

とても速いスピードで移動している人(仮にBとします)とでは、時間の流れが異なることになります。

 ということは、人によって時間の流れが異なるということになるわけですが、

Aから見ると、Aの時間の流れは現実に見えて、

Bの時間の流れは、虚構に見えることでしょう。

 ですが、Bから見ると、Bの時間の流れが現実であり、Aの時間の流れが、虚構となることでしょう。

 しかし、絶対的な時空がない以上、いずれも虚構、仮想現実(バーチャル)といえるかもしれません。

 あるいは、その人の時空はその人にとっては、現実なわけですから、やはり現実と言えるかもしれません。

 または、現実と虚構(バーチャル)の差などないともいえるかもしれません。

 ただ、虚構といえども、粗末に扱ってはいけないことでしょう。

 虚構を粗末に扱うとは、

大劇場で、演劇(虚構)を見ているときに、

客席から大声で、

「芝居なんてそんなのは、虚構ではないか!やめてしまえ!」

などと怒鳴ったり、舞台に乱入して、劇をハチャメチャにしたりするようなことです。

 そんなことしたら、その劇場からつまみ出されます。

 なので、虚構の演劇とは言えども、大人しく、マナーを守って楽しみながら見るべきではないかと思います。

3. 原発の仕組み

 では、このような虚構とも現実とも区別がつかないような世界の話から、

現実の側に少しバランスを傾け、クローズアップした世界のほうに戻ってみましょう。

 前述の

「光速に近づくにつれてモノは重くなる。」

が、かの有名な、 

E=mc^

(E=エネルギー m=質量 c^=光速の二乗)

のバックボーンとなる考え方です。

 モノが動くためにはエネルギーが必要となります。

 光速に近づくほどのスピードを出すということになると、物凄いエネルギーが必要ということになるわけですが、

そのような物凄いエネルギーを用いて光速に近づけていくと、重くなるということは、

エネルギーが、質量に化けていると考えることができるということです。

 つまり、エネルギー(E)と質量(m)は同じだといえます。

 すなわち、E=mc^だということです。

(c^は定数なので省略して考えてもさしつかえありません)

 エネルギーと質量(モノ)が同じならば、

質量(モノ)を、エネルギーに変えることも可能ということになります。

  なので、原子核分裂により、物質の質量が減ると、莫大なエネルギーが生じるということになります。

 原発はこの理屈を実用して、 原子炉内で、

ウラン235の原子核に、中性子を衝突させ、核分裂を起こさせ、

これにより放出された中性子をまた原子核に衝突させ、

連鎖的な核分裂を発生させ、

それにより、生じた莫大なエネルギーで、

原子炉の中に蒸気を発生させて、

その蒸気でタービンを回し、発電機で電気を作るというものです。

  発想自体は、意外に単純なものだと思います。

 もう少し詳細に言うと、ウラン235に中性子を衝突させると、不安定な原子であるウラン236になります。

 不安定なので、すぐに分裂し、ストロンチウム94、キセノン140、中性子、そして2つのガンマ線に核分裂します。

 質量は、分裂前に比べて、

中性子分と2つのガンマ線分、減少するわけですが、

これは、質量がガンマ線というエネルギーに化けているからです。

 このガンマ線というエネルギーが原子炉内で、水の分子に衝突し、

そのことによって水が熱せられ、

蒸気が発生し、スチームタービンを回転させて電気を生じさせます。

 また、核分裂によって生じた中性子が他のウラン235に衝突することによって、

上記と同様のメカニズムにより、

また核分裂が起こり、これが延々と繰り返されることになります(連鎖反応)。

 この連鎖反応を放置すると、大爆発、すなわち核爆発を起こすことになるので、

原子炉では、連鎖反応を起こす原因となる、中性子を吸収するための「制御棒」を設置し、

また原子炉につねに新しい冷却水を入れて冷却することによって、

炉心が熱くなりすぎないようにしています。

 原子炉内の水には、上記のようなメカニズムにより、蒸気を発生させ電気を起こすという役割と、

炉心を冷やすという役割があるということになります。

 このように原子炉にとって「水」というのものは非常に重要な役割を果たすわけですが、

この「水」がなんらかの理由により、

その役割を果たさなくなると、

炉心が溶けたり(炉心溶解:メルトダウン)、

溶融した炉心を冷却する際に発生する、

放射性物質に汚染された大量の蒸気を、

大気中に放出(ベント)せざるをえなくなり、

放射能汚染が発生したり、

原子炉が溶解しすぎると、核燃料が原子炉施設外にまで漏出し、

極めて深刻な放射能汚染となる(メルトスルー、メルトアウト、チャイナシンドローム)

といった、大事故につながるということになります。

 報道等によると、

2011年の福島第一原発事故の場合は、津波によって、

非常用ディーゼル発電機が海水に浸かって故障し、

全交流電源喪失状態(ステーション・ブラックアウト:SBO)となり、

ポンプを稼働できなくなり、

原子炉内部や、核燃料プールへの送水が不可能となって、水を冷却することができなくなり、

メルトダウンしてしまったと伝えられています。

そして、いまだ完全収束に至ったようには見えない状況にあります。

 虚構とも現実とも区別がつかないような、特殊相対性理論でしたが、

今、日本を苦しめている現実(だと私達が思っている世界)の裏にも、

その相対性理論があるということになります。

4. 一般相対性理論

 光を追い越す方法でのタイムループは、

前述の重力を考慮しない相対性理論(特殊相対性理論)によれば、無理だと思われるのですが、

 別の方法なら、重力の影響を考慮する相対性理論(一般相対性理論)により可能かもしれません。

 光は、重さがないと考えられているのですが、

私達から見て、太陽の背面にある星の光が、

太陽の重力で曲げられて、

地球に届き、私達に見える場合があります。

 このような現象を「重力レンズ」というのですが、光が重さがないにもかかわらず、重力により曲げられるというのは変です。

 アインシュタインは、このような現象は、

重力が空間を曲げるから、

(又は空間が曲がっている場所が、重力があると感じているだけ)

起こるのだと考えたようです。

 低反発マットレスを空間と考えると、そこに横たわると、マットレス(空間)は沈みます。

そんなイメージでしょうか。

 ちなみに、このような一般相対性理論では、

重力は、空間を歪めるだけではなく、

時間をも歪めるとも考えます。

 また、加速している状態と、

重力がかかっている状態とでは区別がつかないため、

重力=加速とも考えます。

 ということは、加速しても時間は歪むということになります。

 なので、時計を、換気扇につけてグルグルと1週間ほど回せば、時間が遅れたりする(かもしれない)わけです。

 このように、重力(=加速)は空間を歪めるわけですが、

大きな質量を持つ星が、寿命を迎えると、

大爆発(新生爆発)を起こし、

超高密度の物質になってしまい、

非常に大きな重力が発生して、

時空が、極限にまで歪んでしまいます。

 この状態を「ブラックホール」といいます。

 そして、ブラックホールの出口は、

なんでも吸い込むブラックホールとは逆に、

物質がでてくるだけの時空の穴になっていると考えられており、

これを「ホワイトホール」と呼んでいます。

 ブラックホールとホワイトホールをつなぐ間のトンネルを、「ワームホール」というのですが、

 ブラックホールに吸い込まれ、非常に大きな重力が発生し、時空が極限にまで歪んでいる中を進み、このワームホールを通り抜けると、

相対性理論的な時間が遅れる現象により、

タイムワープができる可能性があるのではないかと考えられています。

 ワームホールは、時空を貫いて入口と出口をショートカットする「抜け道」のようなものだと考えられています。

 ワームホールがもし存在し、その片方が過去や未来に繋がっていると、そこを通れば現在から過去や未来へ行けるかもしれません。

 ただ、ワームホールを通るということは、ブラックホールに吸い込まれるということなので、そんなことして大丈夫かという気はしないでもないですが。

 ともあれ、そういう方法なら、相対性理論的に考えてもタイムトラベル、タイムワープの可能性があるということになります。

 ところで、ここまでの話で、心理学的に見て重要であると考えられるのは(このコラムは基本的に心理学に関するものなので)、『人によって時間の流れが異なる』という点だと思われます。

 絶対的な時空がないとするならば、一般的な観念と異なり、この世界は虚構、仮想現実(バーチャル)、幻想であるともいえ、このような新たな世界の見方を得て、心の変容につなげることも可能となることでしょう。

 この世界の幻想性を認識し、「現実」を見る際に、「真実」性・「客観」性のフィルターを一旦外すことによって、

心の中にある問題のあるストーリー(ドミナントストーリー)を書き換え、新たな物語(オルタナティブストーリー)を紡ぎだしていくことによって、人生を再構築、問題を解決するアプローチを、ナラティブセラピーといいます。

 ナラティブセラピーは、自分自身の人生を理解するために主要なものとしていた物語(ドミナントストーリー)が、

今後の人生にも悪影響を与えるような問題がしみこんだものであるなら、

別のより望ましいナラティブ(オルタナティブストーリー)に編集して書き換えることをセラピーの手段とします。

 世界の幻想性を臨場感を持って認識できるのが、相対性理論なのかもしれません。

(ナラティブセラピーについては以下をご参照ください)

参考文献)



 

 


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