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【がん日記】臨床研究#1|私が選んだ治療を受けるに至った経緯

予定通り、11/13(昨日)より入院しています。
病歴の記事⑳のステージになります。

なぜ私が標準治療ではなく先進医療を選択したか、私が受ける先進医療の内容について書き残して置こうと思います。

選択肢「標準治療」か「先進医療」か
子宮頸がん再発の場合、第一ファーストライン治療は「TC療法+アバスチン+キイトルーダ」による抗がん剤治療です。奏効率(部分奏功含む)は65.9%(がんプラスより)キイトルーダ=免疫チェックポイント阻害剤が再発子宮頸がんでも使用できるようになったことは、まさに救世主のような存在なのだと思います。
しかし、残念なことに効かない患者もいる。4剤一緒に投与するわけですからどの薬が効いてないか、細かく分析することはできない。
がんが増殖し始めた段階で、その薬はすべて使えなくなるわけです。

子宮頸がん再発のセカンドラインの治療は、現段階では明確に定められていないようです。トポテカン、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、ペメトレキセドなどの薬剤が選択可能です。副作用や効果の面からイリノテカンを使用される医師が多いように思います(セカンドオピニオンの結果)
イリノテカンの奏効率20%程度ですが完全奏効となることはない、と主治医から説明を受けました。さらに、私の場合、事前に薬に対する遺伝子反応(?)を確認できる検査で、かなり副作用がでるタイプということもわかり、微妙な選択肢となりました。

がんの再発が判明してから、抗がん剤治療を受けている間も他の治療はないか探していました。標準治療ではセカンドラインの効果は期待できない。自由診療は危険。そこで治験や先進医療で参加できそうなものはないかを探し始めました。
その過程で出会った治療が「進行子宮頸癌を対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)」(以下TIL療法)です。セカンドオピニオンを受けて、担当医から直接TIL療法の内容と効果について説明していただきました。子宮頸がんに対するTIL療法の日本での実績は少ないのですが、海外では良い成績を出しています。完全奏功率が20%。最大の魅力が、がんが消えたら5年10年と再発していないのです。(注:まだ研究年数が浅いため今後の再発率の確定は現段階ではできませんが)

標準治療セカンドラインで奏効率20%寛解なし
先進医療で完全奏効率20%ほぼ寛解の見込み
であればどちらを選ぶか

誤解してほしくない先進医療の意味
「先進医療」と聞くと医療の最先端の治療、というように聞こえてしましますが、エビデンスのない治療です。先進医療は臨床研究です。研究ということは、薬や治療方法、検査方法の効果や適切性を判断する科学的証拠がないということです。

保険診療として認められていない医療技術の中で、保険診療とすべきかどうかの評価が必要であると厚生労働大臣が定めた治療法(評価療養)です。効果や安全性を科学的に確かめる段階の高度な医療技術で、実施できる医療機関が限定されています。

がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センターが運営)

考えて考えて考えて
結果、先進医療を選択することにしました。

私が受ける先進医療について

TIL療法は、患者さん本人のがん組織に含まれるリンパ球と呼ばれる免疫細胞を採取して体外で大量に培養し、患者さんに戻す養子免疫療法の一種です。

慶應義塾大学病院HPより

わかりやすく言うと
患者さん本人のがん組織の中には、がん細胞を攻撃するリンパ球が存在しますが、がん細胞の中では弱くなっています。そのため、患者さんの身体にあるがん細胞を一部取り出し、その中にあるリンパ球の一種である腫瘍浸潤リンパ球=TILを体外で大量に培養し、再び患者さんに戻すことによって、大量に増えたリンパ球(以下TIL)が、がん細胞を攻撃するという仕組みです。

私に当てはめると
一度目の入院で、私の身体にある肺のがん組織(子宮頸がん転移部位)から、手術によりがんを一部採取し、取り出したがん細胞からTILを抽出しました。細胞培養センターで、切除したがん細胞から TIL を分離し、培養を開始します。
二度目の入院で、最終的に約 100 億以上に増殖させたTILを、私に投与するという治療です。

複雑な手法ですよね。
婦人科の臨床試験ですが、他科との連携が必要です。
一度目の入院は、肺手術なので呼吸器外科でお世話になる。
二度目の入院は、婦人科が使用しない抗がん剤を用いるため経験値のある血液内科でお世話になる。
臨床研究も横つながり、連携が必要なんですね。
この臨床研究で良い結果を出すために、関連部署が一体となり進めていく姿は、研究への意気込みを感じます。効果は証明されていなくても、患者の病気を治したいという思いは、標準治療と変わらない医師としてあるべき姿を感じました。

患者として、もしこの治療で効果がなくても、確実に研究成果の1ページには刻まれ、医療の発展に寄与していくことになると考えています。
今、私ができる最大限の社会貢献と思い前向きに考えようと思っています。



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