見出し画像

その日の夢を見る ファイル4

久しぶりのY君、Z君兄弟。
実は、彼らにはもう1人兄弟がいます。R君。
上からY君、R君、Z君です。

そしてお母さんと、今回はお父さんも一緒に来てくれました。
一家総出でのOtotoartです!夏休みというのもあるしね♪

Y君、Z君は一回来ているので、前回よりは慣れた様子。
それでもやはり、最初はみんな少し緊張気味です。

部屋には楽器やモノたちを並べてあります。前回と少し配置や置き方を変えました。

新しい仲間、オイル缶も加わりました。無数の音の出るシンセサイザーは床置き。子どもの目線からさっと鍵盤に触れるように、威圧感、ハードルの高さを感じさせないように、床に置きました。

まずは、楽器たちをみんなで触ってみるところから始まります。初めて参加するR君はお父さんにくっついて、最初は楽器には触れず、様子を伺っています。Y君、Z君も一回目はそうでしたが、二回目の今回は、抵抗なく楽器と戯れます。Y君がとりわけお気に入りなのは、どこかの民族のオカリナ。不思議な音をたてます。他の笛類、インディアンフルートにも積極的に触っていました。

しばらく、楽器を触ってみるだけの時間が続きます。

途中で僕は、ひらめいて、仏具を持って来ました。チーンというアレです。アレのもう少し深い音のするやつ。そして、バチで淵を回転させるようにこすると、持続音がでます。倍音のきいた持続音。これを、子どもたちに聞かせたくなったのです。持続音は要領を掴むのに、少しコツが要りますが、Y君もチャレンジしてみます。微かに、微かに鳴り始めました!お母さんにもやってもらいます。

これを見ていてまた思い出しました。
僕は台所へ飛んでゆき、水に濡らしたワイングラスを持ってゆきました。原理は、仏具のアレと同じです。

指で擦ってみせると、びっくりする子ども達。まずは、Y君にやってもらいます。少し難しかったみたい。次は、お母さん。お母さんはさすが、上手です。もう一つワイングラスを持ってきて、音程の違うワイングラス2つと、Y君三兄弟はトイピアノを弾いて、束の間のアンサンブルが生まれました。R君も、Y君、Z君の動きを見て少しずつ、楽器に触れるようになってきました!

それからは、R君もお母さんと共に、オイル缶やパンデイロ、小太鼓などなど打楽器類を並べ、自分のドラムセットを作り、遊んでいました。お母さんと顔を見合わせ笑顔のR君。親子編は、親御さんパワーにも助けられます。

お父さんは、淡々と、カリンバを鳴らしたりしています。よく聞くと、どこかで聞いた童謡のメロディ。カリンバマスターするの早くてびっくり。

それから、親子編では恒例のダンボールハウス作りが始まりました。Y君とR君はすっ飛んできました。今回は兄弟三人いるので、3部屋あるダンボールハウスを作ろうと、僕も俄然、張り切ります。

結局、3部屋は叶いませんでしたが 2部屋のダンボールハウスになりました。
本当は持って帰って欲しいのですが 車に入らないサイズ感なので・・・笑

でっかいダンボールを二つ繋ぎ合わせます。ガムテープで貼り合わせる作業は、Y君、R君にも手伝ってもらいました。やはり、ダンボールハウス作りは、盛り上がりますね。

まず、2つダンボールを繋ぎ合わせたら、入り口のドアを作る工程に入ります。

マジックペンで、ドアの形を描きます。

R君は「何やってるのー?」と興味津々です。
僕はただただ、「ふふふ」と笑うだけ。

ドアの形をカッターで切ります。
「どうだわかったか!」という感じで、ドアの完成です。

まだ、別室への扉を作っていませんが、R君は早く入りたいみたいだったので、入り口のドアを潜って、中に入ってみてもらいました。別室へのドアを作る途中も、R君は中に入って首を長くして待っていました!

別室のドア完成の後は、窓づくりです。

窓の形にカッターで切り、仕上げは、「パンチ」。パンチすると、くり抜かれる仕組みです。一突きではくり抜けなかったので、2回3回と思いっきり彼らは正拳突きします。
やっぱり男の子はパンチ好きだよね〜。笑

部屋が出来ると Y君、R君は喜び勇んで中に入ります!
入り口に面した部屋はY君の部屋、次の間がR君の部屋、という風に自然になりました。

彼らは部屋でのんびーり過ごしています。最後に屋根をつけて完成。

エマが、部屋に置く用の灯りを持って来てくれました。机や毛布、ぬいぐるみも。

僕は、R君の部屋に写真を飾ろうと提案しました。いらないカレンダーに、いーい感じのマリンブルーの海の写真があるじゃないですか。
それを切り抜き、ダンボールハウスを作った端材で、額縁を作ります。部屋に飾りました!

「既にあるもの」で作る・楽しむ感覚を育てます。

飾る場所は、この辺かな?とR君が決めてくれました。
それを見て、Y君はクレヨンで絵を描き始めました。どうやら自室に飾る用の絵のようです!クレヨン独特のタッチと、迸る線が目を楽しませてくれます。

お互いの創作活動に影響を与え合う。

一通り部屋で過ごし終えたら、R君は流石に出たくなったようです。

あ・・・

お兄ちゃんの居る部屋に向かう扉が、座っているお兄ちゃんにあたって開けられない・・・

しかもしかも、お兄ちゃんは入り口を小机で塞ぐ形でお絵描きに熱中・・・
どうするR君?

僕は 屋根を一旦外し、R君を持ち上げて外界に出してあげました(笑)久しぶりの娑婆の空気にスッキリ、なR君。

ここでR君の提案。お兄ちゃんの部屋から自室への扉を外したらいいのではないか?また、自分の部屋に外からでも直接入れるドアがほしい。

ナイス提案。呑んだ。

では、工事期間中は、みんなホームレスになるから(笑)
楽器で遊んで待っていて、と僕からの提案。

と、その前に、僕は壁の補強作業の途中でした。
その間は部屋の中で待っていてもらうことに。

Y君は部屋で寝るというので、灯りを消します。陽が昇ったら工事を開始することに。

エマが太陽と月の絵を描いて持ってきました。

今は夜。月の絵を掲げます。R君は月の絵を気に入ったようで、部屋の窓の上に貼ってくれと提案。こういう提案が沢山でるのは楽しいことですね。

月の絵は、今が夜、ということを示すためにエマが描いてくれたものですが、部屋に飾るための絵に変身しました。即興的に、子ども達と、物語を作っていきます。力を問われる僕たち。

アートの世界は時間も空間も創り出せる。

夜が明けて、工事が始まりました。

Y君、R君はしばし家無し。楽器でしばらく遊んでいます。

室内のドア取り外し工事と、R君の部屋に繋がる外からのドア作り工事の途中、一番下のZ君が僕の方に歩み寄ってきました。何やら言いたげです。何何?僕も家がほしいそうだ。上のお兄ちゃん2人がダンボールハウスを占拠しているので、羨ましがっているZ君なのでした。
 
「オッケー!1人で広々過ごせる別邸を作ってあげるから待っててね!注文が沢山入ってるから、こっちを片付けたら取り掛かるよ」

Z君の別邸は、大きなダンボールを丸々使った贅沢な仕様に。屋根材がないので、カレンダーを使うことに。屋根の形は少しモダンに、切り立った三角屋根スタイル。

窓にはカレンダーでブラインドをつけました。Z君もご満悦。

そろそろ2時間がたちます。

Y君はそろそろ帰りたい様子。「帰りたい」という叫びを前回同様、マイクに吹き込んでもらいました。

R君は帰り際も、シンセサイザーを鳴らして身体をくねらせています。

お兄ちゃんのY君は、そんな弟に、マイク越しにゲキを飛ばします。治安の悪い、ボーカルとピアノのセッション(?!)です。

そうそう。シンセサイザーを兄弟三人で触る場面もありました。エマが、音色の選び方を教えてくれ、みんなさまざまな音を出して遊んでいました。

中でも、「ワールド」のカテゴリーにある、犬の鳴き声や人の笑い声、雷、ヘリコプター、叫び、などの音色は人気でしたね!

今回はこのような感じでした。

最後はかさばるダンボールハウスを車まで運んで(何とか乗せて)締めくくりです。Z君の別邸は、折りたたんで、なんとか積めました。
 
動き出す車。

窓の向こうから何か叫んでいるのが無音ながら伝わる。

「さようならー!!」と大声で叫んでいる。
僕らも、「また遊ぼうねー!」と返す。

子ども達が帰った跡の伽藍堂の部屋には、遊びの"痕跡" が残ります。しばし、この「宴のあと」 に浸る時間がまた好きなのです。

基本的に、親子編は、音と音を囲むようにさまざまな遊びが存在する、という環境の中で子ども達がどう振る舞うのか、音と遊びがどのように繋がってくるのか、見守りながらこちらからも提案してゆく活動です。

遊びと音は即興演劇のように、展開していきます。遊びの生まれ方は子どもによって全く違って面白いです。全くもって、自由。
遊びをしながら踊りたくなったり、鼻歌を歌いたくなったり・・・(「その日の夢を見る」ファイル2  のKちゃんのように) 心が開かれるとき、「からだ」 の中をかけめぐる喜びの衝動のようなものは、音楽の萌芽みたいなものだと思っています。

大人でも「鼻歌」を歌いながら活動する人を増やしていきたい!

僕たちも、子ども達の遊びを拾いながら、次なる遊びに繋げられるように、日々、自分自身を実験台にして、遊んでみています。
これからも、遊びの引き出しを増やしていきます!

次は、コラージュと、パステル画をやりたいと思っています。

あと、三兄弟は、少しずつ楽器に触れて音を出すことにもなれてきたから、みんなで音楽を創る「子ども編」もやりたいなーと思っております。

Ototoart・・これからも湧き上がる音楽とそれを取り巻く遊び・アートの空間を作っていくべく、頑張ります!

読んで頂き、ありがとうございました♪


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?