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3社目の前に

 結果から言うと2社目は落ちた。トヨサキによると私より若い経験者が応募してきたからだという。また彼はその電話で同じ会社で他の部署が募集しているが応募しないかと言ってきた。どこの部署が募集しているのかと聞くと梱包だという。その時まずまずのショックを食らっていた詳しい話など聞かず、私は「まぁ、お話だけでも」という感じで今度は見学を申し込むことにした。どうでもいい話だがショックすぎてその日の歯医者の予約をキャンセルした。

 そして三社目の話に移るまでに訓練校の話について説明させてほしい。私の受講した訓練校の電気設備技術科は企業実習というものがついていてこれは実際に電気関連の職場で一か月働かせてもらえるというものだった。先生が実習先をリストでくれてその中から興味のあることを扱っている企業を選んでいく。


 メンテナンスの仕事というのは何も工場だけではなく、商業施設などいろいろなところで行われている。それは空調だったり、排水だったり、消防だったりもする。つまり取得しておいた方がいい資格がいくつもある。資格が増えると手当てが増える。訓練所ではカリキュラムの中に消防設備の訓練も含まれており、資格取得につながる経験ができれば、ととある弱電設備と消防設備を扱っている会社を選んだ。


 このように書くと動機があっての結果が出ているというもっともな聞こえのいい選択の仕方に聞こえるが、消防設備の会社はリストの中にいくつかはほかにもあったが隣の県だったり同じ県でも行きにくく遠い場所にあったりした。ただでさえ怠けていたい私はどうせ働いていないのだから長く眠りたいという思いが第一義にあり、自分の興味よりかは怠惰心が勝ったというのが聞こえの悪い本当の理由だ。


 その会社で一か月、主にやらせてもらえたのは消防設備ではなく弱電工事の方だった。具体的にはインターホン工事の取り換え工事などで、マンションの部屋を回って新しいものと取り換えていく、私はドアホンだけやらせてもらえた。線を剥いて、刺す、これだけ。単純作業でよかった。

 しかし工事をする会社なので現場に赴くことになる。現場も県内もあれば県外にも行ったりするので朝の時間が不定期なことが頻繁だった。現場に行く際はついでがあれば送ってもらえたりしたが9時から5時で出勤できたのは月の半分ぐらいだったような気がする。というのも年末は繁忙期で私の面倒を見てくれていた課長などは朝の5時に出勤していた。次の日の出勤時間の話をしゃべっている課長を見て前の仕事のロケを思い出して嫌になった。企業実習では実習先に就職する人も何人かいたが私は嫌だった。


 ここで気付いたことは始業時間は決まっていた方がいいのだということ。残業があるのは構わないがスタートの時間はステディでいてほしい。


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