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1988

成人を迎える前の19歳の頃、期待と焦りと不安が入り混じり、二十歳という未知の世界に足踏みをしていた。

その年は1988年であった。
現在の様に携帯電話はおろか、スマホすらない時代。
何事もクリック一つで片付くほど安易な時代ではない。
むしろ情報は自身の足を使い得ていたものだ。

改めてこの年を振り返ると、ボキにとって特別な時間を過ごし、生まれて初めて異性を意識した時期でもある。

名前すら知らない女性を一瞬見ただけで、言葉を失い時が止まった錯覚が断片的な映像によりボキの脳裏を支配する。
うまく説明する事が困難だが、成熟した今となって考えてみると、その日が初恋であったのだ。

彼女はボキよりも三つ上の存在だ。
十代最後の年代からすると、一つ上というだけで異性を問わず大人に見えた。
彼女も例外ではなく、ボキ以上に知識が豊富で感受性が豊かであり、学ぶ事が多々あった事を今にして懐かしく思う。

事実、交際を重ね彼女から学んだ事は立派な財産となり生かされている。
先ず成長において途中過程の中、視野が広がり自己主張を述べる様になったのもこの機を境に広がったのも確かだ。

残念ながら彼女と過ごした日々は現在の実年齢に換算するとごく僅かな時間でしかない。
それでも貴重な時間を共有したお陰で大人へと成長し、更に飛躍を遂げたボキと永遠の時間を共有しても良いと言ってくれた家族の一員である妻と出会う事ができた。

いやはや、この場でボキの半生を述べるなど無意味な行為でしかない。
そう、本題に移る。
で、1988年に『ダイハード』という映画が上映された。


ご存知の方もおられるため敢えて細かな説明は省くとして、この作品はクリスマス時期が舞台となり描かれている。
しかもクリスマスといえば特別な日でもある。
更に付け加えると、特別な日なのに大変な思いを強いられる男の物語でもある。


妻の招待でニューヨークから遠方のカリフォルニアへと向かうジョン・マクレーンは苦手な飛行機を利用し無事に到着する。

いやいや、おいおい待てよ。
飛行機が苦手なのに、血まみれになりつつも、クリスマス・パーティーに招待された会場内の人間全てを人質に取られながらも、必死に悪に立ち向かう英雄が飛行機如きで怯えるだなんて…

まぁ、小言はお姑に任せるとして、それに招待された会場は妻であるホリーが勤める日系企業だ。
将来が有望な企業という理由でホリーはマクレーンの姓を伏せている。
ホリー曰く、日本の企業は仕事に徹する姿勢の表れの一環として、家族を全面に出さない方が賢明といった「あやふや」な理由から社内では旧姓を名乗っていたのだ。

後に、こういったホリーの考えが正しいと判断される時が訪れる。
突如、社内で開催されるクリスマス・パーティー会場をテロリストが襲う。

幸運にもジョンは会場内ではなく、妻のオフィスで身支度をしていた最中であった。
そのお陰でジョンは人質として囚われる事なく、反対に人質を救おうと奮闘する。

テロリストの狙いは何なのか…
ジョンはことの真相を探るのだが、実態が中々掴めない。

テロリストを数人やっつけたジョンは無線を奪い外部の警察へ事情を話す。
しかし、クリスマスムードが高まったせいか、無線の向こう側ではジョンの訴えがガセネタの様に扱われ真面目に捉えてもらえない。
それでも一応は助けを求める一報なので、現場付近に最も近くにパトロールする警官が現場に向かう様に告げる。

ここから物事が大きく発展を遂げる。

わーお!


建物内にテロリストを襲う危険分子が存在すると知ったテロリストのリーダーは執拗に通報者を探す。
ジョンはテロリストに筒抜けである事を百も承知で無線を使い外部の警察官に対し、同業者ならではの言葉に似た記号で現状を知らせる。

次第にジョンは顔の見えない外部の警察官であり、この場の相棒であるパウエルと連携しながら事件の収束を試みた。


嗚呼…😩
あろうことか、妻が人質となっちゃったよ!

振り返ったついでに述べると、この作品は緻密な脚本で綴られ、大胆な演出と一夜の特別な日を逆手に取り、サプライズを用意した内容に仕上がっている。

そうだった、当時の吹き替えを担当したのが野沢那智氏であった。
今となっては幻の映像だ。


それにしても、最後に顔の見えぬ相棒との再会は微笑ましくもあり、涙腺をやや刺激するシーンでもある。

この作品は見事に大ヒットを収め、シリーズ化が進みブルース・ウィリスの頭皮が散らかるほど大胆となる。

まぁ、それはさておき。
特別な課外授業よりも、今をどう生き、どうするのかが必要課題であると思う。

何よりも、顔の見える相棒を大事にした方が良くね?

わーお!





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