老人と罪
何事も、緊張をほぐすには笑いが必要だ。
それは他愛のない駄洒落でも構わない。
または身近な話題で笑いを取るのもありだろう。
これは持論に過ぎないが、笑いに特化した職業は誰もができる事ではない。
当然、知性も必要だが、最も不可欠なのは感受性だろう。
英語で訳すとセンスというのだろうか。
そう、一般的によく使われるセンスこそ重要な気がする。
例えば笑えない駄洒落に対し「センスいいね!」とは褒めない。
むしろ言葉では表現しないまでも、喉元から「ナンセンス」という表現がうごめくだろう。
で、ボキは笑いをこよなく愛する者だが、この場を借りて笑いに対する議論をするつもりなど考えていない。
面白い事に日本でのお笑い(芸人)の地位よりも、欧米ではコメディアンまたはエンターテイナーと表現するが、映画の主役級の俳優以上に地位は高い。
例えばシリアスなドラマを得意とする俳優が突如コメディへと繋がるケースは珍しい。
反対にコメディからシリアスなドラマに難なく継続できるコメディアンは多い。
代表的なのは、ロビン・ウイリアムスやトム・ハンクスだろう。
因みにこの二人の共通点を挙げると、アメリカのテレビ番組の『サタデー・ナイト・ライブ』というコメディ番組出身という事だ。
その他にもジョン・マルコヴィッチやエディ・マーフィー、ブルース・ブラザーズのジョン・ベルーシとダン・エクロイドもこの番組出身だ。
今もなお、この番組は継続しているから驚きというか、影響力の強さを痛感する。
ここでシリアスを得意とする名優といえば、沢山存在する中で欠かせないのはロバート・デ・ニーロである。
なぜデ・ニーロなのかというと、実は実話で本来はコメディに憧れを抱いていたそうだ。
で、で、デ・ニーロといえば『タクシードライバー』や『アンタッチャブル』や『ゴッドファーザー・PartⅡ』など、個性派俳優として名高いシリアスに特化した名優として有名だ。
1983年にアメリカで公開されたマーティン・スコッセシ監督による『キング・オブ・コメディ』にデ・ニーロは主役を演じたが、興行的に不発(失敗)に終わりデ・ニーロはコメディというジャンルを封印してしまう。
その後、生真面目なデ・ニーロは『ワンス・アポン・ア・タイム・アメリカ』『恋に落ちて』『アイリスへの手紙』『レナードの朝』といったシリアスな映画で評判を高める。
それでもコメディというジャンルに挑戦したいと願う。
それから随分と時間が経過した後、デ・ニーロにとって転機が訪れる。
2000年に公開された『ミート・ザ・ペアレンツ』で制作として加わり、主役にコメディ作品では欠かせないベン・スティラーを起用し、自らも元CIA工作員の謎が多い義理の父親役を演じた。
この作品は見事に当たり、続編が二本続く。
中でも次なる続編では、ベン・スティラー演じるグレッグの両親役でダスティン・ホフマンとバーブラ・ストライサンドが共演している!
大抵は続編は当たらないというジンクスを打ち破った作品でもあるので、デ・ニーロは見事にコメディというジャンルに返り咲いたといっても過言ではない作品に巡り合ったのだ!
わーお!
その後のデ・ニーロは数本のコメディ映画に出演し、中でも『ダーティー・グランパ』ではお下劣な祖父役として炸裂した演技を披露している!
またもや、わーお!
内容は非常に軽い。
それに下品極まりないシーンが多彩だ。
孫役にザック・エフロンが演じている。
ざっくりとした内容を説明すると、数日後に結婚を控えた孫と、数日前に最愛なる妻を亡くした祖父が繰り広げるダークでマッドなロードムービーである。
立場が正反対の二人は、道中で偶然にも孫のジェイソンが大学の同級生のシャディアと出会う。
元々二人は意識する仲ではなかったのだが、久しぶりに会話を重ねるうちに昔に抱いていた夢や希望について考えさせられる。
特にジェイソンは数日後に結婚を控え、大学までの進学も苦労をするなくエスカレーター式で難なく終えると、自動的に父親が勤める弁護士事務所に就職する。
そもそもジェイソンは弁護士を志してはいなかった。
どちらかというとカメラと向き合い直感を捉えた職業に憧れたいた。
一方のシャディアはジェイソンとは違い、気ままなその日暮らしを重ねていた。
だがジェイソンと違う点は志を捨てる事なく、カメラを通して真実を伝えようと行動していた。
会社に属する事なくフリーという立場で事実と向き合っていたのだ。
こういったシャディアに対しジェイソンは憧れを抱きつつも、徐々に心を開く。
直接孫からは言われなくても、経験豊富な祖父は孫のために人肌脱ごうじゃないかと行動に移す。
わーお!
孫が裸になっちゃったよ!
てなシーンも紹介される。
しかもデ・ニーロのラップまで映し出されるから目が離せないだろう!
この作品は孫であるジェイソンの人生物語と同時に、祖父であるディックの新たな出発を描く内容である。
かなりおバカなシーンも続出するが、考えさせられるシーンもまた満載である。
果たして二人が行き着く場所は存在するのだろうか…
ここで大きな発見に気づく。
それは、『キング・オブ・コメディ』で失敗または失態したデ・ニーロだが、ホアキン・フェニックスと共演した『JOKER』で、かつての不運を拭い去るかの如く、アーサー・フレックと重なる点は反対に笑うどころか、苦笑してしまった…
てな訳で、やはりロバート・デ・ニーロとう俳優は良い意味で化け物である事である。
そう考えると、衰えを知らないロバート・デ・ニーロは、大将かもしれない…
あじゃぱあ!
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