見出し画像

僕のラ・サール戦記 7 桜島夜間行軍 -1 参戦-

桜島夜間行軍 1

 当時、ラ・サールには12月、「桜島夜間行軍」という行事があった。文字通り、桜島一周36kmを一晩かけて歩き通すという行事だ。いつ頃から始まったかは不明だが、僕が入学した頃には、この行事はすでに年末恒例行事としてあった。中一から高二までは参加は義務、高三は受験直前なので任意参加だったと記憶している。県内の他の中・高でも桜島一周行事はあったが、ほとんどは日中だったようだ。深夜にしているのは、知る限りラ・サールくらいであり、事故などの可能性から中止を要請されているという噂があった(真偽は未だに不明だが)。

 にしても、桜島「一周」ではなく、「行軍」である。当時も今も「行軍」は、おそらく自衛隊などでしか使われない用語であろう。どういう経緯でそうなったのかは知らないが、実際中止要請が出てもおかしくない深夜に、あえて「行軍」という挑戦的なネーミングである。

 もともと鹿児島は伝統的に、「薩摩の郷中教育」に知られるように、少年・若者を鍛え上げるという文化がある。まず、僕のいた90年代前半は、鹿児島市内の中学生は皆坊主頭と決められていた。また鹿児島市内の小学校の一定数で、桜島遠泳、つまり桜島まで全員で泳ぐという行事が残っていた。とくにこの桜島遠泳をニュースで初めて見たときは、他県からきた僕は仰天した覚えがある。

ここから先は

1,689字

¥ 100

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?