別れたのちのさみしさに、びっくりしたことありますか?
noteで親しくさせていただいて、とても好きな人が誉めていた作家さんのエッセイを読んでいる。
とりあえずはKindle Unlimitedであるもののうち、興味を惹かれたもの。
まだ半ばだが、思考が地味な感じが(失礼)、なんだか自分を見ているようで読みやすく、楽しんでいる。
小説は何個かあらすじを読んで、多分合わないなと思って躊躇してる。
まあ、ミステリー、スプラッタ、ホラーが一番好きなんです…、な人間には、多分一番遠い感性を持っておられる作家さんのようだ。
題材的に八日目の蝉は読めるかもだけど、楽しい話じゃないしな元ネタ。
一番好きな本は?と聞かれて、取り乱して殺戮にいたる病です!と答えたことがある。
引かれた。
いい本なんだけどな。これぞ叙述ミステリーって感じで最高。
ほんの少し、グロいだけです。連続強姦殺人が延々と生々しく書いてあるだけです。
いや、こういう時、答えるべき本は他になにかあったろう。
コリン・ウィルソンの殺人百科とか、綾辻行人の殺人方程式とか、島田荘司の暗闇坂の人喰いの木とか…
違うんです。
もう少しほのぼのしたものもたくさん読んでるんです。
恩田陸のドミノは傑作だと思うし、米澤穂信のさよなら妖精は10回読み返した。
(関係ない話だが、米澤穂信って絶対根暗だと思う)
でも、急に聞かれると、どうしても不穏な本のタイトルしか頭に浮かばない。
いや、何はともあれ角田光代さんの、「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」を読もう。
エッセイは、意味などあってはいけないと言うのが持論だ。
とっ散らかって、まとまりがなく、そう、散文。
私は記紀が好きだ。
あれも散文らしい。
記紀が好きなせいで、私の日本史は飛鳥時代以降を覚える能力を無くしたくらいだ。
戦国武将、織田信長と豊臣秀吉と徳川家康しか本当に知らない。
幕末もよくわからん。
まあ、小説以外は、他愛無く罪のない文章を好む私には大変この本はあっているようだ。
30過ぎてから化粧を始めてやり方がわからないとか、住まいを褒める女は男も褒めるとか、心当たりのある日常をうまく読み物にしている。
特に、別れたのちのさみしさに、びっくりしたことありますか?は秀逸。
私は、誰かと長く付き合っても、同棲した事がなかったし、彼が遊びに来たなら何かその時に特別に用意するか、ありあわせで済ませるか、彼が作ってもらいたい料理の食材を持ってくるか、しかなかったので、日常の買い物で、不意に一人分の買い物に戸惑うという経験がない。
でも、言われたらなんとなく想像はつく。
いつものスーパーで、いつも通り2切れ入りの塩鮭を買って、一枚は冷凍する、空しさ。
一人暮らししか経験のない私には普通のことだけど、それまで誰かと暮らしていたなら、急に世界がねじれたような違和感を覚えるだろう。
当たり前にあったものが、手からこぼれる。
いらないものでも、つい拾いたくなる。
でも、恋愛の本質ってさみしさだと思うから、その考えもありだと思う。
私はさみしさを取って1人になったけど、選択はそれぞれだ。
読み終わるのがもったいないから、わざとゆっくり読んでいる。
私は勉強時間以外はカフェインはとらないし、ミルク入りじゃないと飲めないけど、濃いコーヒーをブラックで淹れて、贅沢なチョコレートと一緒に、夜に読みたい本。
そう、気楽な女友達との会話そのもの。
小説もトライしてみるかな。