『モロッコ・コーヒーって何?』
しばらく小春日和が続いていたイタリアですが、本来の秋らしい気候、晩秋を迎えています。気温が下がるとひと息つきたいときに口にしたくなるのが、温かくて甘い飲み物でしょうか。バール、カフェ文化が根付いているイタリアでは、コーヒーのバリエーションはとても豊かです。
定番エスプレッソやカップチーノ、エスプレッソをさらに少ない量で抽出したリストレット、ダブル量のエスプレッソのドッピオ、マッキアート、カフェラッテ、マロッキーノ、ここでは書ききれないほどのバリエーションがあると言われています。
その中で今日おススメしたいのが寒い日に欲しくなる、イタリア・ピエモンテ州らしい、アレッサンドリア発祥のドリンク『カフェ・マロッキーノ』をご紹介します。
このホットドリンクの作り方は、ホットチョコレート、エスプレッソ、スチームで泡立てられたミルク、カカオです。4つの層が美味しさだけではなく、見た目にも美しいのでガラス製のカップで提供されます。
この『カフェ・マロッキーノ』がヒントを得たとされるのが、260年ほど前に生まれた歴史あるピエモンテ州のホットドリンク『ビチェリン(Bicerin)』なのです。そしてビチェリンは、160年ほど前に統一されたイタリアで当時の首都トリノ、初代首相カブールが愛したとも言われています。
この歴史あるドリンク誕生から170年ほど経過した1930年代に生まれたのが『マロッキーノ』です。
さて、名前にどうして『モロッコ(IT語マロッキーノ/モロッコの形容詞』が入っているのかは、もうひとつの歴史が隠されています。
ピエモンテ州アレッサンドリアにある有名帽子ブランド『ボルサリーノ』は、1930年代にモロッコで非常に人気がありました。
ボルサリーノ社前にある『カフェ・カルパノ(Bar Carpano)』で生まれたホットドリンクの色合いと当時モロッコで人気を博していた同社の帽子に使われていた革の色を重ね合わせたネーミングなのです。どうして『モロッコ・コーヒー』と不思議に思われていた方も謎が解たでしょうか。
これから本格的な寒さがはじまりますが、寒さで冷え切った体をホッとするドリンクで温めて、リラックスできるといいですね。