『ルーブル美術館に”モナ・リザ”はなかった?』
『パリ2024オリンピック』が開会してから寝不足の方も多いのではないのでしょうか。こちらは時差なしで観戦できるのですが、いろいろと気になって仕事の終盤には集中力を欠く状況です。
さて、そもそもオリンピックとは関係なく世界中の観光客が常に押し寄せるパリですが、パリを訪れたら『ルーブル美術館』に足を運ぶ方も多いのではないでしょうか。
何しろ『世界最大級の美術館』であり、その収蔵品を見て記憶に焼きつけたい気持ちはとてもよくわかります。
そして、美術に造詣が深くない人でも一度は聞いたことがある収蔵品のひとつに、あの世界一有名な絵画があります。
そう、ルネッサンス期を代表するイタリアの芸術家『レオナルド・ダヴィンチ』が描いた『モナ・リザ』があるのですが、イタリア人やフランス人と会話をするとこの名前が通じない、同じ絵画のことを話しているはずなのにその逆もあるのです。
理由は簡単、イタリアやフランスで『モナ・リザ』が一般的に知られている呼称ではなく、『ジョコンダ/イタリア語: Gioconda』、『ラ・ジョコン/フランス語: La Joconde 』と呼ばれているからです。
では、どうしてこの名前なのか、この作品をレオナルド・ダヴィンチに依頼したのがフィレンツェの貴族『フランチェスコ・ディ・バルトロメオ・ジョコンド/Francesco di Bartolomeo del Giocondo』でした。もうお気づきでしょうか。このジョコンド氏の妻『リザ/Lisa』の肖像画であり、『ジョコンド/Giocondo』は母音『O』で終わりますので、その家族である女性を示す母音『A』に置き換えた『ジョコンダ/Gioconda』がイタリア語やフランス語での呼称に繋がるのです。
一方、日本語で使われている呼称『モナ・リザ』ですが、『モナ/Monna』はイタリア語で『Madonna/マドンナ』の省略形で『夫人』を意味します。ですから『リザ夫人』の意味なのです。
イタリア人に「モナ・リザ」と言っても「何だろう」という顔をされ、逆に私たちが「ジョコンダ」と言われて話がかみ合わない訳がおわかりになりましたでしょうか。
ちなみに『モナ・リザ』のフルネームは『リザ・ゲラルディーニ/Lisa Gherardini』です。
ルーブル美術館に足を運ぶ機会があるひとは『ラ・ジョコン/フランス語: La Joconde』を覚えておくとよさそうですね。
イタリアが誇る世界一有名な絵画は、お隣りフランスにあります。
イタリア人は、フランス人を『友人』と表現せず、より親愛を込めて『クジー二/Cusini』と呼びます。隣人でも友人でもなく『いとこ』の国フランス、そこで熱戦が繰り広げられている『パリ2024オリンピック』、どの瞬間もどのような芸術作品に負けない姿が皆さまの記憶へと刻まれていくのでしょう。
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