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猫型ロボット55號の日記◉10月「まわってまわって」

新品のときと気持ちは変わらないけど、ボディの部品にそろそろガタがきている『猫型ロボット55號』(人間の年齢で55才)。そんな彼(7月の独り言で判明!)の懐かしいアイテムからはじまるつぶやきは、なんか沁みます。モノが人と人をつないでいた時代。あの頃は若かったから不満ばかり言ってましたが、振り返ると毎日が豊かだったんだなぁと思ってしまいます。一人ひとり思い浮かぶ顔がちがうから面白い、そんな独り言、聞いてあげてください。

まわってまわって

少し冷たい空気を感じるようになった10月も下旬の朝、近所の神社で毎月行われる古物市に出かけた猫型ロボット55號は、懐かしさとジャケットのカッコよさに惹かれてLPレコードを買ってきた。

レコードプレイヤーは家にあるけど、もう随分とながい時間動かしたおぼえがない…。動くのかもわからない。針がまだ使えるのかもわからない。でも思わずレコードを買ってしまった。良いのだ。CDと違ってジャケットが大きくて、それを飾って眺めているだけでも気分が上がる。なんなら、曲を聴くだけなら、よほどマイナーな曲やミュージシャンでなければ音楽配信サービスで同じものが手軽に聴ける時代だもんね。

昔はよくレコードを回していたな。何かのついでに音楽を流すのじゃなく、ただただ音楽を聴くためにレコードを回していた。時間は今よりもちょっとゆっくり回っていた気さえする。「ああ、これ良い曲だから友達にも聴かせたいな」と、テープにダビングしたりもしたな。やっぱりその時、テープもデッキの中でくるくると回っていた。貸した自作のテープは友達の間を「俺にも貸して」とアイツからコイツ、またそいつへ回っていた。「そろそろテープ返してよ〜」と友達に催促するのに電話のダイヤルを廻した。今話題のバンドがテレビの音楽番組に出ると聞いて、家族との争奪戦を制してチャンネルをガチャガチャと回していた。

思い返せば世の中いろんなものが「まわって」いたあの頃。今じゃ音楽も回らない、テレビも電話も回らない。
まわるのはズルい人たちのコソコソとした根回しだけ。こっちは頭も首もまわらない。

まあ愚痴っても仕方がないから、ちょっとメンテナンスして久しぶりにレコードを回してみようかな。
そんな事がきっかけで、生活がちょっと良い感じに回りはじめるかもしれないしね。

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