『在野と独学の近代』を読んで
この本は本当に面白かったです。たいがいの本は読んだらどっかへ旅に出てもらうのですが、この本は私の本棚にキープしておきたいと思う本です。2024年9月に発行されたばっかりです。読むのは結構、時間がかかりました。老眼にはつらい字の大きさです。
南方熊楠とか柳田国男とか民俗学とか人類学になんか惹かれるんだよねって方にはもちろんおすすめですし、日本の組織でサイエンスをしていて、巨大組織の力にうんざりしている人にもおすすめだと思います。
この本に書かれている『N&Q』や『OED』についての話は、なんだか一昔前のヤフー知恵袋に似ているなとか、集合知の原始版のように思えて面白い。熊楠さんが素朴な質問をN&Qにしていて、私も「そんなこと聞いてどうすんの?」と馬鹿にされても、疑問なことは人に聞いてみよう!こども心のなんで?を大切にしようって勇気をもらいました。ちなみに質問しても、熊楠さんは今でいう「スルーされている」こともあった。なんか親近感がわくエピソードです。
一生、わくわく、好奇心や探求心を失わずに、楽しく生きていきたいなっていうのが私の目標なんですが、置かれている環境によって、弱気になってしまうこともあります。しかし、この本の登場人物はいろんな工夫をして、自分の興味のあることを実践している。こんなに技術の進んだ現代において、在野で興味を追いかけられないってことはないと力づけられた。
サイエンスは桁違いにお金がかかる。そこが、官や組織にひれ伏さざるをえない点でもあるが、お金のかからないアマチュアの楽しみは巷にあふれている。
この本を読んでよかったです。著者の志村真幸さんのほかの本も読んでみたいと思いました。すてきな本をありがとうございます。
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