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『ガチとエンジョイの隔り』を”楽しいとは何か"から考える

◼️はじめに

皆様、noteをご覧に来ていただき誠にありがとうございます。
私は遊戯王を普段しているのですが、ガチ勢とエンジョイ勢の間でちょこちょこいざこざの様な言い争いが発生します。
一人の親として、子供が陥りそうな話しだなーと思い、思考してみたところです。皆様の何かの一助となれれば幸いです。

※ガチ勢:大会やCSといった競い合うシーンをメインで活動している
※エンジョイ(カジュアル)勢:友達をワイワイ遊んだり知らない人とも共通の話題を持って取り組んでいる

◼️「楽しい」に至るまでを考える

そもそも、カードでもなんでも、遊ぶという行為は楽しいものだと思っているのですが、実際に遊んでみると「ん?これは何が楽しいんだ?」と感じることがあります。
例えば、大人になって人形遊びをどれほど楽しむことができるでしょうか。

【予測の先に】

人の脳は実に便利に出来ており、無意識下でも安全性を確保する機能が備わっています。

手や指を動かそうとするとき、脳から手や指の筋肉に向かって運動指令を出すだけでなく、この運動指令を出した結果どんな事態が生じるか(腕や指はどう動くか、その結果どういう感覚が生まれるか)を予測しています。そして、実際に手や指を動かした結果が、予測した結果と同じだったかどうかを比較し、計画した動きが首尾よく達成されたかを判断しています。

引用:NTT Illusion Forum『感覚減衰』

予測を積み重ねながら日々の生活を過ごしているわけですが、予測に反する事象が発生した時、人は違和感を覚え、許容範囲を超えると不快に感じることもあります。
例えばパソコンのマウス使用した際、自分が予想した程度にポインタが動かない時を想像すればイメージがつくかと思います。

感覚的に不快に感じている所謂"生理的に無理"は楽しいと相反する状況と言えます。
予想に反することが発生すること、つまり逆境は"楽しい要素"とは相反するところに位置しています。

【逆境を越えて獲得する報酬】

逆境に陥ると人の体はそれに抗うために、アドレナリンを分泌します。アドレナリンは覚醒作用があり、心拍数や血圧を上昇させます。集中力や注意力が高まることで逆境を越えることに貢献してくれます。
しかし、アドレナリンが過剰に分泌されると、高血圧、頭痛、動悸、多量に汗をかく、体重減少、便秘などの症状が出ます。逆境に抗うということはエネルギーを使用し、疲れます。

しかし、その逆境を越えることで、快楽物質であるドーパミンを得ることが出来ます。ドーパミンの分泌は幸福感の獲得に繋がります。

ちなみにドーパミンには食欲を抑制する性質も持っているため「大会中は霞を喰ってやってるから昼飯抜きでも問題ない」という事象はここから来ているかも知れません。

【トライ&エラーに楽しさはあるのか】

以前赤ちゃんから学べることは非常に多いことをnoteに掲載しています。

赤ちゃんは母国語を学習する過程で、トライ&エラーを、ただパターンをやり尽くすのではなく、仮定を立てて、曖昧に当たってしまっていたとしてもそれを正解とはせず一度保留にし、さらに状況や条件を変えることであえてエラーを出して正解を導くアブダクション推論をしています。
この途方もない学習の果てに言語を獲得し、思考ができるようになります。赤ちゃんの時に思考という名の莫大な利益を獲得しているため、飽くなき探求は無意識的に良い行動だと根強く刷り込まれていることとなります。

"楽しい"はただそれが楽しいのではなく、楽しいに至る条件があることを認識できたかと存じます。

◼️カードゲームはなぜ楽しいのか

「楽しい」を辞書で引くと次のように示されています。

満ち足りていて、愉快な気持ちである。

引用:goo辞書

"満ち足りていて、愉快な気持ち"になるのはドーパミンが大きく作用していると言えます。
人はただ生活しているだけでも幾度となく予測はしています。しかし予測の経験値が増えることによって、逆境を速やかに回避してしまいます。過去に獲得した探究心も、思考するに値する事象が存在しなければ発揮することが出来ません。

日常で得ることが出来ない、襲いくる逆境無限に等しい思考もカードゲームにはあります。ドーパミンを摂取するにはおあつらえ向きな場が整っていると言えます。
また、快楽物質の中には人と繋がりを感じると分泌されるオキシトシンもあります。大会環境でバチバチに決闘して得られるドーパミン、コンボやデッキをお互いに愛でることで得られるオキシトシンがあるわけです。

言い換えれば、ガチ勢はドーパミンを求め、エンジョイ勢はオキシトシンを求めており、同じカードゲームという枠組みの中でも自分の欲している快楽物質がそれぞれ異なるわけです。獲得したいものが違うのですから、アプローチが異なるのも当然です。
"楽しみ方は人それぞれ"と言うと雑に聞こえるかも知れませんが、こう言った認識を持つことで、度々発生する無用な争いが消えることを祈ります。

◼️カードゲームをなぜ楽しめないのか

話しを反転させます。
予測するまでもない事柄、逆境もなく、思考もすでに終えている事象が続くと、今まで分泌されていたホルモンが途絶えてしまいます。そうすると、楽しいに到達できず、予測の範囲内であるが遂行され続けることになります。
すると、カードゲームを楽しめないことに繋がってしまいます。

おや、何かがチラつきますね。

話しはちょっとそれます。
赤ちゃんから少し成長すると「なぜなぜ期」が訪れます。この時は母国語の学習方法を転用して、自分が認知できる世界を広げています。

なぜなぜ期は、好奇心旺盛であらゆることに対して質問を繰り返すため、大人にとってはうんざりしてしまうこともあるでしょう。しかし、子どもにとっては、知的好奇心や学習意欲をぐんぐんと伸ばすことができる、非常に重要な時期です。

引用:ずっと保育士『なんで?どうして?なぜなぜ期(質問期)の保育園児へのOK対応・NG対応』

知的好奇心や学習意欲はこの時期に形成されると言われており、トライ&エラーを繰り返すことにより向上しています。
例えば、この時期に質問した相手に「うるさいから黙ってて!」などと言われ、その行為が断たれていたとしたら、トライの回数が極端に少なくなり、エラーに"大好きな人に嫌われてしまう"恐怖心を覚えてしまいます。
トライ&エラーをすることにより獲得できるものが大きい、つまり"報酬>不快"となった時、初めてその行為が楽しいと実感できます。

トライ&エラーという壁をどれだけ越えられるかは、"なぜなぜ期をどう過ごしたか"も多少なりとも影響しているでしょう。
しかし、最終的に問題となるのは、その人が現時点で持っている筋肉量です。筋力がない人の前に壁を置いて「楽しいでしょ!」とぶつけてしまうのはあまりにも酷です。今その人がどれくらいの筋肉なのかを見極めながら寄り添ってあげるのもひとつの手です。

過去の誰が言い始めたかは知りませんが、デュエルマッスルは実はネタであったりなかったり。なので「最近つまらないなー」と思っている方は、私と一緒にスクワットしましょう。

◼️最後に

人には楽しめるもの、楽しめないものがそれぞれ存在しており、ガチになって楽しめる時、そうでない時、それでも楽しみたくてエンジョイしてる時、そもそも最初からエンジョイしたい時など、様々な状態が存在します。
自分が楽しいから相手も楽しい』とは認識せず、相手のことを見てあげた上でコミュニケーションをとっていただくのがよろしいかと存じます。
少しでも本noteがお役に立てていたら幸いです。

他にもいろいろnoteを書いておりますので、よろしければこちらから覗いていただければ幸いです。いいねフォローをしていただけますと私が楽しくnoteを書けますのでぜひよろしくお願いいたします。
それではまたの機会に。

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