眠れない夜(詩)

眠れない夜は　指で線をなぞって
古びた本の中　思い出を巻き戻す

外では風が強く　ジャケットを貫く
吐いた息は白く　喉に小骨を突き刺す

いつまでも毛布に包まる訳にもいかないけど
もう少しだけこのままで居させておくれよ
僕は　僕は　僕は
言葉がつっかえてるけど

眠れない夜は　指で線をなぞって
埃被った世界を　ゆっくり温め直す

外では雪が降る　靴に汚水が染みる
銀世界はすぐに　ガス臭く染まってく

いつまでも毛布に包まる訳にもいかないけど
もう少しだけこのままで居させておくれよ
僕は　僕は　僕は
言葉がつっかえてるけど

世界はケーキじゃないから
綺麗に２つに切れないから
いちごの数で揉めるのならば
僕のを食べたっていいからさ

眠れない夜は　指で線をなぞって
少しずつさ　眠気が世界に蔓延して