鬼滅の刃を手に入れた俺たちが読む物語
鬼滅の刃が単行本でも完結して、「ああ、もうこの物語を読むことができないのか」ってあんたも思っているかい?
鬼滅の刃、約束のネバーランドと連載当初の目的が果たされて完結する物語というのは今の時代に非常にマッチしている。
なぜって?
今の俺たちにはびっくりするくらい時間が無いからだ。
そのあたりのことはこっちで考察してみているので、合わせて読んでみてくれよな。
でだ。
今回書いてみたいと思ったのは、この鬼滅の刃を読んで「オモロイ!」と思えたヒトが読んだらオモロイ作品ってなんだろうってことだ。
俺たちが読んできたマンガの中には「当初の目的を達成して完結する物語」ってのがいくつかあるじゃんか。
今回はそんなはじめと最後がきれいに結びついている物語を思い出してみる回だ。
ちっと俺の記憶の旅に付き合ってくれよな。
うしおととら
まず「当初の目的を達成して完結する物語」として俺が思い出したのが「うしおととら」だ。
2回もアニメーションになっているから、あんたも見たことあるかもしれないな。
このうしおととらという物語は白面の者という大妖怪を倒すための物語だ。
最初はその事実を知らないままに主人公の蒼月潮は過ごしているが、徐々にその運命を背負っている獣の槍とともに世界のヒトや妖怪に関わりながら最後の戦いへと歩み続ける物語だ。
作者の富士鷹ジュビロこと藤田和日郎さんは物語の風呂敷を広げて、それをきちんとたたむことで有名な作者さんなんだが、同じ作者さんの物語でもからくりサーカスとは構造が違う。
からくりサーカスはオートマータという敵の存在が徐々に明らかになっていくも、本当に最終盤になるまで「本当の敵」ってものが明確にならない。
それに対してうしおととらの場合はおそらく物語を作り始める前から白面の者ってものを想定して書いていたんじゃないかって思えるくらいに物語のすべてが白面の者につながっていっている。
このあたりが鬼滅の刃における鬼舞辻無惨と同じようなテイストなんじゃなかろうか?
今もう一度、鬼滅の刃が単行本で終わった今こそ読んでみたい作品の一つだよな。
エリア88
もうう一つ紹介しておきたい作品がエリア88だ。
なんか無料で読めるところもあるのか。
時代は進んだもんだ。
で、このエリア88。
めちゃくちゃ古いマンガなんだけれども、その読み応えは間違いなくあると思うんだよね。
舞台はベトナム戦争直後の中東の国アスラン。
そこで戦い続ける日本人の傭兵の話だ。
傭兵とか聞いて、どこのファンタジーだとかあんたは思うかい?
実際にフランスには外国人部隊ってのが存在していて、傭兵で国防をするってのは現実として存在するものなんだよな。
で、このエリア88という物語は「裏切られた親友との決着」の物語だ。
物語冒頭から主人公の風間真は親友の神崎悟に裏切られ、アスランの外国人部隊に編入させられてしまう。
そこでは「殺さなければ殺される」という究極の状態が日常であり、その日常から抜け出して神崎悟に理由を問いたいと必死に日々を生き残るために進む物語だ。
最終的にその目的は達せられるわけだけれども、その目的に至るまでの過程がなんと言っても凄まじい。
当時の最新鋭機である戦闘機やもはやポンコツ寸前といったロートル戦闘機までが混在する戦場の中で繰り出される男たちの物語は今も色褪せることが無い。
男と女の物語であり、男と男の友情の物語でもある。
女と女の友情の物語でもあるか。
その壮絶とも言えるラストは鬼滅の刃のラストに引けを取るもんじゃないと思う。
鬼舞辻無惨を倒すための過程が壮絶であったとおり、あの物語の完結までに捧げられた男たちの命はあんたを感動させると思うんだよ。
キーワードは「約束」だ。
その約束をあんたの目でも見てみて欲しい。
俺たちの命よりも重い約束。
それが紡がれているから。
なあ、あんたはどう思う?
あんたが鬼滅の刃を手に入れた今こそ、読むべきマンガってやつはなんだと思う?