全集中 アラサーの呼吸、鬼滅の刃を語る
思いつきで書いたタイトルがあまりにも適当すぎて、『鬼滅の刃』原作未読・アニメ未視聴の人間だと思われていそうだが、とりあえず最終話までひと通りの話は知っている私だ。それからアニメ配信分は全話見ている。
ジャンプ作品といえばクラス全員が『テニスの王子様』『ワンピース』『NARUTO』『BLEACH』あたりを読んでいた世代の私、平成生まれ・現アラサー。
先日Facebookにそれとなく鬼滅の刃のネタを投稿したところリアクションは見事に二分化、ハマっている人たちからは「キャラのだれそれが好き!」だとか「映画何回観たよ!」だとか自由にコメントがついた。一方で社会現象だと言われても未だに原作に触れておらずイマイチ流行にピンと来ていないのが意外とアラサーの同世代。「結局知らないままだけど、面白い?」と対局の温度感のコメントがついていた。
テレビやネットで様々なメディアがこぞって「ヒットの理由は」と考察を述べているが、私としては「きちんと納得できる記事」に未だ出会えていない。
なんなら、先日から日本テレビ『マツコ会議』でマツコ・デラックスが若手YouTuberにかけている「テレビマンはなにかと“意味”を問うけれど、意味なんてない(のが流行る)のよね」という、この言葉こそが私としてはしっくりくる。明確な意味は無い、なんとなくの空気感が後押しした結果大きなブームになったのではなかろうか。
熱烈な愛好家からすると、この私の考察はカチンとくるかもしれない。きっと「慈悲のココロを持った主人公」や「悪人でありながらつらい過去を持つ敵」、「美麗なアニメーションで描かれる一歩も引かない暴力描写」など、それなりにヒットの理由を語られることかと推測するが、これらの要素であれば大なり小なり似て非なるキャラクター・作品がすでに世にあるのだ。
鬼滅の刃を見ても実は真新しさを感じないのは私がそれなりに漫画を読んできたからだということもあるだろう。人間なんだって「はじめて」触れた感動にはかなわない。はじめてNARUTOを読んだときの感動、ワンピースで涙したときの感動、私に関してもっと言うと「金色のガッシュ」は表紙だけで泣けるし、「魔法少女まどか☆マギカ」の残酷なシーンは忘れられない。以降似ている展開の作品を見るとどうしても比較対象にこれらの名作があがってしまい、「どこかで見たな」とあまのじゃくなリアクションをするこじらせた私がいるのだ。
そういう意味では小学生が人生で初めて「残酷でありながら」「悲しく儚い」「感動ストーリーの少年漫画」に触れて心揺さぶられるほど感動することは十分に理解できる。さらにはこれまで漫画やアニメにあまり触れてこなかった大人がはじめて正統派少年漫画を読んでハマるのも私としては納得できる。
さらに、アニメ化がヒットに火をつけた大きなポイントにもなっているわけだが、アニメで原作にない余計な描写を入れてこないというのも、とてもファン思いだったと思う。アニメ制作の進行上仕方が無いこともあるのだろうが、原作に追いついてしまうがために急遽アニメオリジナルの敵が出てきて番外編が始まったりするのはファンサービスのように見えて実は興ざめだということも多々ある。
作画崩壊がほとんどなく、さらにちょっとした雑魚敵にいたるまで完璧な豪華声優陣で力を入れた分きっちりと熱意がファンに伝わったというところだろうか。
ヒットの理由をもうひとつ挙げるとするなら「20巻ちょっとで完結した」ところにもあるだろう。どんなに面白い作品で夢中になったとしても、最新刊を待っている間に熱が冷めてしまいどのような形で連載終了したか知られていない作品というのは実はとても多い。私としても、先ほど上に挙げた様々なヒット漫画の中で最終巻まで添い遂げた作品は実は1つもないのが現状だ。
具体例を出すとテニスの王子様は立海戦までしか単行本を買っていないし、NARUTOも自来也に泣くあたりで読むのを中断している。BLEACHも藍染が本性を現したあたりでやめてしまい、ワンピースに至っては記憶は空島あたりで止まっている。
最初から最後まで全巻揃えることができたのは実は「DEATH NOTE」(全12巻)だけなので、50巻を越えたあたりから人間意外とストーリーを追うことに疲弊していくのかもしれない。
「20巻までですっきり終わるなら読んでみようかな」というライト勢が加勢したことで一気に社会現象にのし上がった印象だ。読んだら読んだで、“めちゃめちゃ面白い”ことはなくても“つまらない”ということはないからネガティブキャンペーンに走る人も少ないように思う。
随分淡々と考察してしまったが、こう見えて私の中では久しぶりに夢中でアニメを見た。推したいと思ったキャラクターが推す前に死をとげていることをTwitterの受動喫煙で知ってしまったので想いが宙ぶらりんになっているところがあるが、それでも娘を実母に預けてまで産後初めて映画を観に行こうと思うあたり、鬼滅の流行に感心する私もいる。
そうそう、映画がオリジナルストーリーではなくあくまで原作に忠実に沿った話だということも、非常に上手な点だと思う。
狙うは千と千尋の神隠しがつくった伝説的な記録、興行収入300億円。ここに来てなお天井が見えない鬼滅の刃のヒットにわくわくしてしまう私だった。
結論、「面白い?」と聞かれたら、ここまでヒットしている作品なら読み進めれば進めるほど「呼吸」がなんだとか「柱」がどうだとか、点と点でしか知らなかった話が線になってつながると思うので、サクッと楽しめると思う。Amazon Primeなら全話無料配信中なのでこの機会に見てみてはいかがだろう。
今宵もここまでお付き合いいただいたあなたに感謝を。おやすみなさい。
2020/10/20 こさい たろ
/好評発売中\
**合計30,000PV thanks!バチェロレッテ感想記事もどうぞ