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ダークグリーンを読み返してみた

あんたは昔読んだ漫画って読み返したりしているかい?

漫画ってのは不思議なもんで、作品そのものは変わっていないのに、その時時の自分の状態によって、感じる印象がガラッと変わったりするもんだよな。

特に少年時代に読んでいたような漫画は尚更そう言うギャップのようなもんを感じるわけだ。

今回はそんな少年時代に触れていた漫画ってやつを振り返ってみようって回だ。

懐かしいって言うか、知らない作品かもしれないが、付き合ってくれよな。

中学時代に友人に進められたSF少女漫画

中学時代に友人に勧められた漫画で「ダークグリーン」って漫画がある。

まず言っておきたいのが、こいつはSF少女漫画だってことだ。

今も昔も、少女漫画とSFってやつはあんまり馴染みがない印象だよな。
でも「地球へ」のような名作とされるSFもある程度はあるジャンルだ。

で、このダークグリーンだが、舞台は夢の中だ。

R・ドリームという人類が共通して見る夢の世界。
その世界ではゼルと呼ばれる悪夢がそこかしこに居て、人々に危害を加え続けている。
で、ヒトも黙ってやられているわけじゃなくて、様々な想像力を働かせながら夢の中で戦い続けているって世界観だ。

ポイントは、夢の中で殺されてしまうと、現実でも死んでしまうってこと。

その悪夢の中で出会う少年リュオンと主人公ホクト。

なんつーか、中二病まっしぐらな設定だよな。
ただだよ。この作品の主張している内容は非常にハードだ。

最終的には、ヒトが種族としてどうしようとしているのかってことを俯瞰的に観察し、かつヒトとしての主体を取り戻す戦いにまで発展していく。

随所に描かれる夢ならではの象徴的な描写。
危険な沼地に薄皮一枚隔てて作り上げられる美しい紙の都市だったり、目隠しをされて断崖絶壁の際をあるき続ける巨人であったり。

俺たちの世界の危うさってものを描き出している作品だと思う。

ダークグリーンを読み返してオッサンが感じたこと

このダークグリーンって作品は1980年代の時代背景ってやつを理解して読む必要があるかもしれない。

時はレーガン大統領とかがいた世界観。
どんどん世の中が発展していって、日本も世界もどんどん豊かになっていった時代。
今のようなデフレで苦しんでいるような世界じゃない。今日よりも明日が発展しているって確信できるような世の中だ。

でもその裏側には公害や大気汚染と言った負の側面が常に漂っていた時代だった。

ヒトが自分の持っている力で環境を壊していると実感し始めた時代と言っても良いのかもしれない。

ダークグリーンという作品において、この環境破壊というテーマは切っても切り離せないものになっている。

ヒトは自然から生まれでたはずなのに、その自然を搾り取って自らの繁栄を獲得している。そんなジレンマに真正面から挑んでいくような作品なんだよ。

オッサンとなった今、この作品を読み返してみると、その作品の根底に流れている「環境保護」という考え方に若干の違和感を感じつつも、改めて俺たちヒトが世界に「生かされている」って感覚を味わうことができたんだよね。

俺たちは自然を俺たちが住みよい形に変えながら、その有益なエッセンスを抽出して、生きながらえている。

そして、有益なエッセンスを手に入れて物質的に満たされると、その価値の源泉を自然から知識へとシフトしているってのが現代って時代なんだと思うんだ。

自然から今までの方法で得られるエッセンスは取り尽くした。だったら新たな方法でエッセンスを取りに行こうって感じだ。

それが再生可能エネルギーだったりするんだろうが、どれだけきれいな言い方をしてもそれが自然からの「搾取」であることには変わりがないのかもしれない。

俺たちヒトが生きている以上は何者かから搾取するっていうのは、俺たち動物が他者を食らうことでしか生き残れないって業のようなものなのかもしれないな。

その意味で、俺は「自然に生かされている」って感覚をダークグリーンという古い漫画から感じることが出来たってわけだ。

さて、あんたはどうだい?

あんたも、昔読んだ漫画をひっくり返してみて、感じたところを教えてくれよ。

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