本の所有と利用
あんたは最近はどういうふうに本を買っている？
俺の場合、場所を確保しにくいからほぼ紙の本は購入していないんだよね。
もっぱら電子書籍ってことになる。
なので、本屋に行ったとしてもそこでは買わないで、後で電子書籍で買うってのがパターンになっている。
で、想像すると、俺みたいな書籍の買い方をしているヒトって結構いるんだと思うんだよな。
10年とか前なら、駅の周りに必ずと言っていいほど本屋があったと思うんだけれど、そんな状況になったら本屋では買い物をしないなんてことになっちまうから、本屋としては商売上がったりだよな。
結果として、「駅前の本屋」なんて形態はもはや風前の灯ってことなのかもしれない。
実際、俺の最寄り駅には本屋が一つあるけれど、その両隣の駅には本屋なんてないからな。
でも、本は電子書籍じゃなくて紙の本で読みたいってニーズが一定数あるってのも事実だと思う。
今回は紙の本で読む価値について考えてみる回だ。
ちっと俺たちの「読書体験」ってやつについて考えてみようぜ。
紙の本の作る事情
紙の本ってのは実に手間がかかる。
作るヒトにも、読むヒトにも、売るヒトにもね。
作る工程だけみても、紙を用意して、印刷をかけて、製本をしてなんていう工程を踏む必要がある。
しかもそれらの工程を別々の会社がやるもんだから、それらを統括して進捗管理するなんて仕事もある。
しかも、売上が立つタイミングがちょっと特殊なので、次々に本を作らないとならない。
その辺の事情はこっちで書いてたので、気になったら読んでくれよな。
紙の本を売る事情
そんな流れを経由して、ようやく売るという段階になるわけだけれど、本を売るという商売は結構他のものと異なっている。
委託販売という形で販売されるので、レギュラーなケースでは小売店が在庫リスクを負わないんだよね。
その代わり、小売店である書店の利益は極薄になる。
そのくせ、万引きとかがあるからエグいことになる。
1冊盗まれただけで、店の規模によっては1日の利益が吹っ飛ぶなんてこともあると聞く。
だからこそ、書店の店舗規模が大きくなっていったってのはあると思うんだ。
あんたのガキンチョの頃って街の商店街にじーさんばーさんが営んでいるちっこい書店が無かったか？
ああいう書店が無くならざるを得なかった事情ってのがあったわけだ。
紙の本を読む事情
読むヒトにとっては紙の本ってのはデメリットが結構ある。
まずもって場所を取る。
都市圏にヒトが集中するという今の状況では、一人が専有できる場所ってのはものすごく限られる。
本棚で場所を使うってのは、実に贅沢な場所の使い方ってことになるんだよな。
かつ、紙の書籍は物理的なモノなので、当然ながら経年劣化する。
ガキンチョの頃読んでたマンガ本があんたの手元に残っていたりするかい？
俺の場合は、繰り返し読んでいたドラえもんのマンガは小学生の段階でボロボロになって本としての体裁を保てないほどになった。
ページがバラバラになって捨てざるを得なかった。
また買えば良いじゃんってなるかもしれないけれど、絶版になったら二度と手に入れることは出来ない。
でも、紙で読みたいという意見は一定数ある。
なぜか？
俺が思うにいろいろあるとは思うけれど、一番でっかいのは所有欲だと思うんだよな。
本の「所有」
電子書籍を俺たちは「所有」しているのか。
これは俺の考えでは「していない」って答えになると思うんだ。
なぜかって？
例えばあんたがkindleで電子書籍を買ったとする。
あんたはいつでも購入した電子書籍を読むことが出来るわけだ。
これが所有でなくて何なんだ？ってあんたは思うかもしれない。
でもちっと考えてみてほしい。
もし、amazonがkindleのサービスをやめてしまったらどうなるのか。
もっと極端にamazonが企業として存続出来ない状況になったらどうなるのか。
amazonくらいでっかい企業なら早々簡単にサービスを停止しないとか考えるかもだけれどgoogleですらめちゃくちゃ多くのサービスを停止してきた。
google墓場なんてサイトが有るくらいだ。
そう考えると俺たちが買った電子書籍ってのは企業の都合でいつ何時読めなくなるかわかったもんじゃないってものになるんだよね。
これが「所有」と言えるか？
言えないと思うわけよ。
本とヒト
でね。
本を所有したいという欲求は理解できる。
でも、本質的に俺たちは本をどうしたいのか。
「読みたい」んだよな。
「所有」したいってのは二次的な欲求なんだと思うんだ。
だから電子書籍という「読む権利」を買っているってわけだ。
その権利を使って読み、そして何かを感じたり知ったりする。
感じたり知ったりすることが本というものが俺たちに与えてくれる本質だと思ったんだよな。
なあ、あんたはどう思う？
あんたにとっての本ってのはどんな存在だい？
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