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もしトランプ氏が大統領になったら、ドバイ不動産市場はどうなるのか?
今回は、2024年11月の大統領選でトランプ氏が当選した場合、将来のドバイ不動産価格について考察します。この記事では、まだ起こっていないことを前提にしたシナリオで議論を展開している点に限界がありますのでご了承ください。一方で、この記事を読めば、マクロ経済的視点からドバイにどのような影響があるか予想するのに役立つと考えています。
この記事はこんな人に向いています
✅ 資産運用場所を探している人
✅ 長期でドバイ不動産に投資したい人
✅ ドバイに及ぼす影響を知りたい人
ドバイ不動産へのネガティブ要因を整理
影響を考察する前に、直接的にドバイ不動産市場へ悪影響を及ぼす要因を5つまとめました。
1. 物件の供給過剰
ドバイは過去数年間で急速な都市開発を進めており、不動産供給が需要を上回る可能性があります。供給過剰は価格の下落を招きやすいです。
新規プロジェクトが大量に完成し、市場に放出されると、供給過剰による価格競争が激化し、不動産価格が下がる可能性があります。
2. 外国人投資家の撤退
ドバイの不動産市場は外国人投資家に依存しているため、投資環境の変化(例えば、他国の不動産市場の魅力増加や政策の変化)が外国人投資家の撤退を招く可能性があります。
他の国でより高いリターンが期待できる不動産市場が出現した場合、外国人投資家がドバイから資金を引き上げる可能性があります。
3. 観光産業の長期低迷・観光客の減少
観光産業はドバイの経済の重要な柱であり、長期的な低迷が続くと経済全体に悪影響を及ぼします。
例えば、新型コロナウイルスのようなパンデミックとロックダウンが長引くと、観光客数が大幅に減少し、ホテルやリゾート施設の収益が低下します。これにより商業用不動産の需要が減少し、市場全体にネガティブな影響が広がります。
4. 地政学的リスクの高まり
UAE地域での政治的不安や紛争のリスクが高まると、投資家の信頼感が低下し、資本の流出が発生します。地域的な緊張が高まると、投資家がリスク回避のためにドバイから撤退し、不動産市場が低迷する可能性があります。
5. 法規制の変更
政府が不動産市場に対する規制を強化する場合、例えば、外国人投資家に対する制限や税金の引き上げが行われると、投資意欲が低下します。
新たな規制により、外国人投資家がドバイ市場への投資を控え、需要が減少し、不動産価格が下落する可能性があります
このうち、4. 地政学リスクの高まり、5. 法規制の変更 については、今回の記事では議論しません。1〜3については、シナリオを頭に入れておく必要があります。
間接的な要因
直接的な要因とは別に、マクロ経済的視点で、国際情勢、UAE・ドバイ全体の経済状況が、不動産市場に与える影響も大きいと考えられます。
今回は、このようなマクロ要因に焦点を当てます。直接的要因の5つ中では、2と3に関連する内容です。
なぜ米国の状況がUAEやドバイに影響するのか
そもそもドバイの不動産市場の話なのに、なぜ米国経済が関係するのかという疑問を持たれる方もいるかもしれません。その背景からご説明します。
ドバイの不動産市場は、ドバイ政府主導で大規模な開発がおこなわれいます。EMAAR、NAKHEELなど政府系のデベロッパーが各地で街づくりをしていることを見れば一目瞭然です。EMAARは、株式上場しており、完全に政府の傘下ではありませんが、実際は政府の開発を請け負っているので、政府系デベロッパーという位置付けになっています。
ドバイ政府が大規模な不動産開発の政策を実行する上で、公的資金の資金調達をどこからしているかというと、
①エミレーツNBDというドバイ最大の金融機関から約44%、
②アブダビ(UAEの中央銀行)から約30%
を占める割合で資金を借りています。
つまり、ドバイ政府はアブダビから多くの資金を借りて運営しています。実際、過去にNAKHEELがデフォルトしかけたとき、アブダビの救済でなんとか立て直しています。
次にアブダビの財政を見ると、
アブダビはUAE全体のGDPの約50%を占める影響力があります。アブダビのGDPの内訳を見ると、約45%が石油関連収入になっています。
つまり、アブダビの経済を支えているのは、依然として石油事業の収益が大きいと言えます。石油関連事業の収益が悪化すると、アブダビの収入も減少します。もっと言えば、原油価格が下がれば、アブダビの収入も減ってしまいます。そうなれば、ドバイの資金調達にも影響があります、
ドバイはGDPの内訳として石油関連収入の割合が小さいことは事実ですが、こうして見ると原油価格がドバイの政府財政に影響をすることもまた事実です。
そして、世界の原油価格に影響を与えるのが、米国の動向です。
米国は原油算出国として、世界の主要メンバーに名を連ねています。
原油産出国トップ5(2023年データ)
1. アメリカ合衆国 - 1日あたり約21.91百万バレル(bpd)
2. サウジアラビア - 1日あたり約11.13百万バレル
3. ロシア - 1日あたり約10.75百万バレル
4. カナダ - 1日あたり約5.76百万バレル
5. 中国 - 1日あたり約5.26百万バレル
1日あたりの原油産出量では、米国は世界一になっています。米国の原油生産量や輸出が、原油価格に一定の影響を与えています。そして、原油価格は需要と供給による影響される度合いが大きいのと、政策金利にも影響される度合いが大きいアセットです。
前置きが長くなりましたが、
米国の経済政策や原油に対する措置が、間接的にドバイ不動産市場に影響を与えていると考えられます。
トランプ氏の政策による経済政策
米国の経済政策を知る重要性を理解したところで、実際にもしトランプ氏が再当選した時にどうなりそうか、シナリオをみていきましょう。
まだはっきりはしていませんが、トランプ氏の政策の中では、バイデン政権下で導入されたエネルギー関連の規制を撤廃し、米国を「圧倒的なエネルギー生産国」にすることを強調しています。これにより、原油価格を引き下げ、国内産業の復興とロシアの戦争資金の調達を防ぐことを狙っています。
原油安
ドル安
トランプ氏は、ロシアのウクライナ侵攻のきっかけは、原油価格の上昇にあると述べており、米国の原油生産、輸出を復活させるとしています。また、ドル高は許容できないと述べており、インフレ率を抑制しつつ、ドル安、経済成長を目論んでいます。
中東・ドバイへの影響
上記のドバイ不動産に直接的に影響する要因とは別に、ドバイ全体の経済に影響する要因を整理する必要があります。UAE全体、ドバイ全体の経済状況が悪化すれば、当然不動産市場も悪化することが考えられるためです。
ドル安と原油安が進行するシナリオによるドバイへの影響
ドル安: ドル安により、米国資産の魅力が下がり、米国の輸出が増加する一方で、インフレが再上昇する可能性があります。また、米ドルの世界のプレゼンスがこれまでよりも弱くなった印象を強めます。
原油安: 原油安は中東地域の経済全体に影響を与え、特に石油依存度の高い国々にネガティブな影響を及ぼします。
少なくとも原油安は、中東の政府財政にとってはネガティブな要因です。IMFは、各国の政府財政の損益分岐価格を公開しています。
例えば、原油価格が、サウジアラビアは約80ドルを下回ると政府は赤字になってしまいます。UAEは約75ドルを下回ると赤字になるようです。UAEやドバイの政府財政を考える上で、原油価格 75ドル が一つのベンチマークになるでしょう。
原油安/ドル安がドバイ経済に与える影響
先ほども述べた通り、ドバイの経済 を支える主要な産業の中で、石油関連事業が占める収入は 割合が少なくなっています。 実際にドバイ経済を支える産業は観光業、不動産関連業、金融業、航空関連業です。 そのため、原油価格が直接的にドバイ経済に悪影響を及ぼすかと言われるとその影響は他の原油産出国に比べて小さいと考えられます。
しかしながら、原油安は、中東の原油産出国にとってネガティブな要因であることは確かです。
①不動産開発
仮に、原油安になったときドバイにどのような影響があるのでしょうか。
ドバイはアブダビから 多くのお金を借りている と先ほど説明しました。 そのため 原油価格が下落した状態が続くと ドバイの不動産開発にも 悪影響を及ぼす ことが予想できます。
具体的には、 ドバイ サウスのアルマクトゥーム空港の開発やメイダンエリアの開発、 パーム ジュベル アリ 周辺のビーチの拡張工事などに 影響を及ぼす可能性が考えられます。
② 投資家心理
また開発よりも 投資家に対する心理的影響 が大きいのではないかと 予想できます。 具体的には、 原油価格の下落による、中東経済に対する不安や不確実性の高まりです。
投資家にとって、 不確実性が高い ということはリスクが高いということになります。 予想が難しければ、 投資をしないという判断になるかも知れません。特に、 このようなマクロ経済の大きな流れ 大きな変化の場合、 急激に変化するわけではなく長い時間をかけて 急激に変化するわけではなく長い時間をかけて徐々に変化します。
ドバイの不動産市場はスピードが速く、東京やロンドン ニューヨークなど主要都市と違って20年~30年という長いスパンで予想することが難しい市場です。
つまり、 変化は長期的に起こることが 分かっている上でドバイ不動産市場が どうなるのか 予測することが非常に難しいということになります。 価格下落のリスクというよりは 市場の不確実性が高まるというリスクで、 ドバイへの投資を控える動きになることも考えられます。
③ 米ドル回避先としてのUAEディルハム
一方で、 ドル安になるということは UAE デル ハムの通貨も下がることを意味しています。 ドル建て資産の魅力は低下しますが、 仮にドバイの経済が 成長し続けていれば、 米ドルから回避先の資産として UAE が選択される可能性は高いと考えられます。
なぜなら、長期的に米ドルの世界のプレゼンスは低下するという大きな流れは変わらない 一方で、すぐに米ドルに代わる通貨が使われるかと言うとそうではないわけです。 ですので 米ドルと固定レートを採用しているUAEディルハムは、米ドルが持つ一定の影響力を享受しつつ、経済成長している国の通貨ということになります。UAEのインフレ率は2%台で推移しており、米国よりも低い水準です。
これらの理由から、米ドルから資産を回避するため、UAEディルハムを選ぶ投資家も一定数いると考えられます。ディルハムを得られる不動産投資も選択肢の一つになります。
ディルハムについては、過去の記事も参考にしてください。
本当に原油安になるのか?
次に、前提を覆すようですが、トランプ氏が当選した場合に本当に原油安とドル安になるのかどうか、考察していきます。
米国の政策だけでは原油安は難しい!?
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先ほど、米国の原油生産が多いという話をしましたが、仮にトランプ氏が再選し、原油安の政策を実行したとして、どの程度原油価格を下げることができるのかという論点になります。
私の理解では、たとえ米国が原油価格を下げたいと思っても、OPEC加盟国の協力がなければ、世界の原油価格を下げることは難しいと考えます。特に、OPEC加盟国のリーダー的存在であるサウジアラビアの協力が不可欠です。実際に、サウジアラビアはバイデン大統領の増産要求を退けた事実もあります。
結局は、原油価格が大幅に下落するかどうかはOPEC+の判断に左右される部分も多く、中東の石油産出国にとって原油価格を下げすぎると、自国の財政が圧迫されるので、一気に下げるような行動は取りにくいと考えられます。
結論として、たとえトランプ氏が原油安の政策を実行したとしても、OPEC加盟国が関わらないとすれば数%~5%程度の下落にとどまり、一気に原油安を引き起こすほどの影響は考えづらいということです。
トランプ再選後の注目するべきポイント
米国経済のここ最近の指標を見ると、「長期的に見ればおそらく景気後退が起こるだろう」といった状況です。景気後退へのカウントダウンが始まっているように見えるため、市場の多くの人がそう思い始めています。
ですので、もし11月にトランプ氏が勝利した場合、トランプ氏がインフレを引き起こさずに景気刺激が出来るかどうかが焦点になります。
仮にインフレが再燃する場合、米国の政策金利を上げざるを得ない状況になるでしょう。UAEの通貨ディルハムは、米ドルペグを採用しているので、UAEの政策金利も連動して上げることになります。UAEの政策金利に連動して、住宅ローン金利が上がります。
ドバイ不動産のリスクシナリオ
ドバイの不動産投資において、住宅ローンの利用率は他国よりは低いですが、ドバイ居住者による不動産投資とヴィラの完成物件などの実需の不動産においては一部影響を受けると考えられます。
またインフレ率が上がり、ドル安 = ディルハム安 に向かっていくことも加わると、長期的に続くならドバイの経済成長を鈍化させる要因になります。
極端に言えば、原油安やディルハム安によって、中東情勢の不確実性リスクが高まり、海外投資家が投資を控え、さらに金利上昇による実需需要の低下でドバイ移住者も減少する可能性があります。
ドバイ不動産市場を買い支えているのは、キャッシュを持つ海外投資家と移住者です。2023年の移住者は約13万人あり、主な投資家は、UK、ロシア、インドが主な投資家です。マクロ経済的には米国経済が起点となりやすいですが、これらの国の投資家の財政状況が大きく影響してきます。
ドバイ不動産のポジティブシナリオ
ドバイ不動産へのポジティブなシナリオは、米ドル安 = ディルハム安が上述した海外投資家にとって、ドバイ不動産を割安に感じさせるシナリオです。
リーマンショックのような大暴落する金融危機、Covid19のようなロックダウンではなく、ジリジリ停滞するような局面の場合、ポイントはドバイの人口増加数とビザ政策になります。
「ドバイ不動産はロシア人が買っているから上がっている」「ドバイ不動産は海外投資家が転売目的で買っているだけ」というインフルエンサーも多くいます。確かに、これらも事実の一つです。
一方で、ドバイの人口が増え、内需が拡大していることも事実です。投資家がなぜ不動産に投資できるかと言えば、借りてくれる人や購入して住んでくれる人が増えているからです。
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近年の人口増加に寄与している政策が、「ゴールデンビザ」「フリーランスビザ」「リモートワークビザ」の発行です。
ゴールデンビザは、ひと昔前は 5M AED(2億円)以上の投資が申請条件でした。2024年現在は、2M AED(8,000万円)以上にまで引き下げられています。2M以上の投資で、10年居住可能なビザが取得できるため、多くの投資・移住者を惹きつけています。
フリーランスビザは、比較的安価に取得でき、ドバイの税制メリットを受けながら海外の仕事を受けるにはぴったりなビザです。
言い換えると、ドバイの経済成長が続いているうちは、ポジティブシナリオになる可能性が高いと考えています。
いまのドバイ不動産市場の動向
2024年8月時点で、ドバイ不動産市場は成長を続けています。また、ドバイの人口も前年同期以上に伸びています。
物件ローンチのペース
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ローンチされた物件数の棒グラフを見ると、2023年に122,494件でした。2024年は81,825件(1~8月)で、2023年と同じペースでローンチされています。
ドバイ不動産最大手EMAARに絞ってみると、2023年に27の新しいプロジェクトをローンチしました。一方、2024年は上半期だけで25のプロジェクトをローンチしています。8月だけでも4プロジェクト以上のローンチが予定されています。
少し前に「ドバイ不動産が売れ残ってきている、在庫が増えている」というYouTuberが多くいましたが、ちょっと正確ではないなと思っています。売れなくなったのではなく、売り出すペースが速くなっているという表現が正しいです。
この理由として考えられることは大きく2つあると思います。
1つ目は、マーケットが上がっている間は資金調達がしやすく、売り出しやすい。
2つ目は、経済が予測しづらい不確実性リスクを懸念し、今のうちに売り切りたいと考えている。
私は、どちらの理由も影響があると思っています。
Covid19以降、開発の再開が進み、2023年、2024年に多くの物件がローンチされています。これらのオフプラン物件は2027年以降に完成する物件が多く、供給が需要を上回ることを懸念する声も上がっています。
まとめ
今回は、長期目線で今後ドバイ不動産がどのように変化するか、シナリオを考察しました。11月の米国大統領選挙の結果とその政策によって、大きく異なるシナリオになることが予想されます。具体的には、もしトランプ氏が再当選した場合、インフレを抑制しつつ景気を刺激することが本当にできるのか、原油価格を下げることができるのかが注目されます。
どうなるかわからないという不確実性も手伝って、ドバイ最大手のEMAARはローンチプロジェクト件数を大きく増やしており、販売ペースが速くなっている可能性があります。
一方で、ドバイの居住人口数、法人数は着実に増加しており、その勢いは続いています。国内の需要は伸びているため、いきなりドバイ経済、不動産価格に悪影響を及ぼすとも考えづらいとも言えます。
こうした変化の時は、投資のチャンスがあることが多いことも事実です。
長期でドバイ不動産投資を考えている方は、ドバイ不動産公式LINE👇にてご連絡ください。
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