経営に“ちょうどいい”バランス。組織の調和を作るシンプルな方法とは?
みなさん、こんにちは。
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皆様の成長促進パートナー
中小企業診断士のまっちゃんです。
日々の経営における課題や、社員との向き合い方について悩むことはないでしょうか?
特に社員数が15名程度の企業では、全員の顔が見える規模だからこそ、組織全体の方向性や文化が、経営の成果に直結しやすいのではと感じています。
今回はビジネス心理学的な視点で、『交流分析』の自我状態を応用した組織の持続的成長を支える具体的なステップをご紹介させていただきます。
交流分析とエゴグラム
まずは、ご存じの方もおられる「交流分析」と「エゴグラム」について簡単に触れたいと思います。
○交流分析とは?
アメリカの精神科医エリック・バーンが開発した「交流分析」は、人間関係の中でのコミュニケーションを分析する手法です。この理論は、親(Parent)、成人(Adult)、子ども(Child)という3つの自我状態に分けて考える点が特徴です。
親(Parent)
毅然さ、厳格さ、批判精神、叱咤激励、俺についてこい(笑)、いたわり、やさしさ、保護、愛育、面倒見のよさなどでしょうか。例えば、『パパ、あんまりお酒を飲んだらダメだよ』ってお父さんをたしなめる女の子だったら、子どもであっても親(Parent)を発動しています。
成人(Adult)
現状の判断、損得勘定、能率性、情報収集などが挙げられます。データや事実に基づいて、論理的に判断する部分と言えるかもしれません。
子ども(Child)
天真爛漫、無邪気、創造的、自由奔放や、従順、優等生、よい子といった感情や本能的な反応を表す部分です。
○エゴグラムとは?
「交流分析」を基に、ジョン・M・デュセイが発展させたものです。これは3つの自我状態をさらに5つに分類し、その強弱をグラフ化して視覚的に把握できるようにしたものです。『エゴグラム』と、ネットで検索すると無料で診断できるサイトが出てくるので、「どの自我状態か」、「どの程度活性化しているか」が分かるので面白いと思います。
どれがよいとか、悪いとかはないですが、診断後のエゴグラムの傾向を変えたいときは、自分がさらに表したい「自我状態」を高めようとすると、減らしたいと思う「自我状態」に費やす時間が自動的に減ると私は教わりました。高めたいことに意識を向けると傾向が変わるのですから、合理的ですね!
ちなみに、エゴグラムの5分類は次のようになります。
•批判的な親 ⇒ 規律や秩序を重視する側面
•養育的な親 ⇒ 他者を思いやり、支える側面
•成人 ⇒ 冷静かつ客観的な側面
•自由な子ども ⇒ 創造性豊かで自由な側面
•従順な子ども ⇒ 周囲に合わせる側面
交流分析を活用した組織診断と改善
それでは、このフレームワークをどのように活用していくのかを見ていきたいと思います。
交流分析では、人生は各自がシナリオを演じているプロセスだと捉えます。例えば、不幸な人は不幸なシナリオを、幸福になろうと思えばシナリオを書き換えればよいという考え方です。会社をよくしていこうと思えば、シナリオを書き換えればよいということでしょうか。
○自社の「脚本」を診断する
まずは、会社全体の心理的構造を把握するために、例えば以下のような質問を考えて自問してはどうでしょうか。
親(Parent)の観点から
・社内のルールや運用は、時代に合っていますか?古い習慣が社員を縛っていませんか?
・社内文化は「上司が絶対」という一方的な構造になっていませんか?
成人(Adult)の観点から
・経営判断にデータを活用していますか?
・問題解決において、感情よりも事実を優先していますか?
子ども(Child)の観点から
・新しいアイデアを自由に提案できる環境が整っていますか?
・失敗を恐れずに挑戦する風土がありますか?
○「脚本」のバランスを整える
自問した後は、どのようにバランスを調整すればよいかを考えてみてください。
親(Parent)を改善するには
・古い規則や慣習を見直し、時代に合った柔軟な規範を導入できないだろうか?
成人(Adult)を強化するには
・定量的なデータを活用した経営を推進し、論理的なコミュニケーションを育てられないだろうか?
子ども(Child)を解放するには
・創造性を伸ばすための時間や経営資源を提供して、挑戦する文化を育てられないだろうか?
さて、みなさんの会社では、どの部分を強化すると、経営がもっと伸びると感じられましたでしょうか?
未来の成長に向けて、まずは現状を見つめ直す第一歩に向けて、交流分析を活用した事例を一つご紹介したいと思います。
製造業A社の場合~硬直した「親」の改善~
A社は、創業者のワンマン経営で、「社長の指示が絶対」という文化が社員の自由な発想を抑えていました。管理職が部下に指導したことも真逆な対応を社長がとるので、組織がまとまらない。そのため、社長に都合が悪いことはもちろんのこと、よい情報も入らなくなっていました。
親(Parent)の改革
管理職を中心に第三者によるヒアリングを行い、会社の課題と期待をレポートにまとめました。会社の実情を見える化していく取り組みのきっかけとなりました。
子ども(Child)の解放
社員が自由に意見を提案できる場として、社内で組織活性のプロジェクトチームが結成されました。月2回開催し、経営陣・管理職を中心に話し合ったことのほか、現場の社員の意見を取り入れ、即時フィードバックを行う仕組みを導入しました。
事例から、「交流分析」を活用することで、組織の心理的な構造を整え、会社の成長につながるイメージを感じていただけましたでしょうか。
まとめ(たった3つのステップ)
取り組むべき3つのステップをまとめると、
現状の脚本を診断する
「親」「成人」「子ども」のバランスがどのようになっているかを把握する
バランスを調整するアクションを実行する
会社の現状に即した改善策を選び、少しずつ実行していく
改善の成果を共有し、継続する仕組みをつくる
社員全員で成功事例を共有し、成長の手応えを実感する機会を増やしてく
今回はビジネス心理学を意識した組織の活性化をテーマにしました。
未来の成長を実現するために、「心理的な見える化」を行い、それを行動に移してみてはどうでしょうか。組織改革を進める上で、必ずと言っていいほど抵抗感が出てきます。社員の抵抗感を最小限に抑え、スムーズに改革を進めるための一助になれば幸いです。
私は「交流分析」をツールとして活用しています。心理学者ではありませんが、広く日常の生活の問題まで適用できる実践的な心理学だと思っています。交流分析以外にも、組織の活性化に役立つ心理学は数多く存在します。お気づきの点などのご助言、役立つ心理学情報など、お聞かせいただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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