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嫌な奴が強制更生させられるコメディ映画「恋はデジャ・ブ」ビル・マーレイ主演
嫌な奴に与えられた生き方は大きく分けて2種類。
そのまま突き通すか、悔い改めるかだ。
どちらにも本人の目指すものや信念、力量によってそれぞれの末路がある。
前者の場合、突き通して上手く行くのは
アップルの伝説的創業者スティーブ・ジョブズや、
ハーバード在学中にFacebookを立ち上げ
時価総額3000億ドルのメタを創業したマーク・ザッカーバーグなど、
天賦の才能と実績を打ち立てた孤高の天才たちである。
彼らの「嫌な奴」エピソードは枚挙に暇が無く、
『ソーシャルネットワーク(2011)』や『スティーブ・ジョブズ(2013)』を観れば、正直そんな人と日常生活では出くわしたくない。
イーロン・マスクなんてもしクラスにいたら心底面倒くさいオタクだ(近くに行けるもんなら行ってみたいですすみません)!!!!
突き通して上手く行かなかったら?
残念なお知らせだが、シンプルに負け犬で嫌われ者の出来上がりだ。
後者はあくまで結果論で、悔い改めた人間は何らかの出来事をきっかけに嫌な奴をやめることを決意する。もしくは、悔い改めざるを得なくなる。
例えば、1993年公開の映画「恋はデジャ・ヴ(原題:Groundhog Day)」の主人公、ビル・マーレイ演じるフィルのように。
あらすじ
地方のTV局で天気予報キャスターをするフィルは、横柄で尊大な性格。
毎年ペンシルベニア州パンクサトーニーでは、2月2日にモグラによる春の訪れを占うお祭りが開催される。
文句を言いながらロケに向かったフィルとその同僚は、取材が終わったあとさっさと町から離れようとするが、ひどい吹雪で足止めを食らう。
仕方なくもう一泊して目を覚ますと、昨日と全く同じ2月2日が繰り返されるのだ。
呪いか、天罰か、それとも時空の歪みか。
何だか知らないがどうしてもこの呪縛から逃れたいフィルは、なんとかしてこの町から脱出しようと試みる。
しかし叶わないまま寝て起きるとまた同じ日を迎える。
しかし、他人を見下した嫌な奴フィルにとってはチャンスでもあった。
なぜなら、どんなことをしても誰もなにも覚えていなく、無かったことになるのだから。
銀行強盗をしても人を殴ってもOK。
姑息な方法で女性を口説きセックスまで持ち込むこともできるし、飲酒運転で交通事故を起こしても一切お咎めなしだ。次の朝には。
そんな状況なら誰だって見境のない無責任な行動を取るだろう。
恐らくお天気キャスターからニュース番組の顔になりたいフィルは、もちろん向上心も、プロとしてのプライドもある。
そのかわり自信過剰で、自分以外はみんな馬鹿だと思っていて、それを一切隠そうともしない典型的プリマドンナだ。
現在のポジションはただのキャリアの踏み台で、自分にはもっと相応しい場所がある。そんな考えがフィルの顔にも言動にも滲み出ている。
ただ、なんだか一概に嫌いになれないのは、夢を追いかけようとする人の多くが少なからずそう感じる瞬間があるからではないだろうか。
この呪縛は、同じ一日にも100通りの過ごし方があるということを見せてくれる。
いつか自分の望みが叶う日まで、人生はまだ始まってないと思っているフィルにも分かるよう、今を変えなくては未来も変わらないという現実を突きつける。
つまりSnobbish(お高くとまった)野郎の世界を見る目を強制的に変えざるを得ない、『更生施設』だという見方ができる。
人生は永遠に続く監獄のように見えて、逃れられないし、否が応でも陽はまた昇る。
毎日は決まって繰り返し訪れる。
問題は、どんな意図を持って決断し、行動していくか。
人生は選択の連続で、見方によってはそれぞれが意味を持って影響し合っている。
朝起きて、鏡を見て、自分は今日人生をかけて行うべきことをやっているか?と自問する。
それが呪縛から逃れる唯一の方法なのだ。
どこかで聞いたことがある話だと思ったそこのあなた。
そう、スティーブ・ジョブスがスタンフォード大学の祝賀式で言っていた、有名な「点と点を結ぶのが大事」の話と完全に一致しているではないか。
結局孤高の天才も例外なく、我々はみな、悔い改めざるを得ない運命なのかもしれない。