不調の「本当の原因」に目を向けて
いつもご来院いただきありがとうございます。今回は、病気の原因に対する考え方についてお話ししたいと思います。アメリカの物理学者フリチョフ・カプラは、著書『新ターニングポイント』の中で、「生物医学的アプローチが犯した最大の誤りは、病気の過程と病気の原因を混同することだ。現代の医学思想では、真の病根ではなく、メカニズム自体が病気の原因だと考えられてしまう」と述べています。つまり、多くの人が、病気や体調不調の本当の原因ではなく、目に見える体の異常だけに注目してしまうことを指摘しています。
例えば、体のある部分に炎症や痛みが出たとき、多くの人はその症状自体を病気の原因だと考えがちです。しかし、これらの症状は体が抱えている問題のサインに過ぎず、真の原因は別のところにある場合が多いのです。無意識の中にあるストレスや葛藤、モヤモヤした感情、生活習慣が原因となっていることも少なくありません。そのため、目に見える症状だけを治療するのではなく、その症状を引き起こしている根本的な原因に目を向けることが重要です。身体全体の働き、無意識の生体信号、さらには心の健康状態を見直し、病気の真の原因を探ることで、根本的な改善が期待できます。
慢性症状の多くは、無意識に体をコントロールする生体信号の誤作動が根底にあることが多いです。これは脳に無意識的に記憶され、誤作動信号が体にストレスを与え続けることで、炎症や痛みを引き起こします。これらの症状は、日常生活の中で気づきにくい潜在的なストレスや無意識的なストレス、あるいはストレスとは自覚していない内容によって引き起こされます。多くの人は「もう、あの時のストレスは気にしていない」と思っているかもしれません。しかし、実際には無意識のうちに心の奥にその感情を押し込めてしまい、気づかないうちに体に影響を与えていることがよくあります。
この潜在的なストレスは、身体と環境との「関係性」の不調和、つまり外界のストレスと体内のバランスが崩れることで生じます。心理的には、意識と無意識の不調和が原因となり、生物学的には、外的なストレスと体内のバランスの不調和が続くことで発症します。脳は、体が外界と適応できないストレスに対して、常に体を守ろうとして戦い続けているのです。この状態を心身条件反射療法(PCRT)では脳に誤作動記憶された「誤作動パターン」といい、様々な外界と適応できている状態を脳に適応記憶された「適応パターン」と呼んでいます。
当院では、目に見えないストレスや誤作動信号を調べ、それらが体に与える影響を患者さんと共に探っていきます。一度の施術で全ての原因を把握し、調整できるわけではありませんが、体が示す不調のサインに焦点を当て、誤作動信号を丁寧に調整していきます。体が発するサインを無視せず、早めに調整を行うことが、健康を維持するためには大切です。お体の不調が続く場合は、どうぞお気軽にご相談ください。