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サワードウsourdough作製メモ


【序】

サワードウsourdoughをライ麦全粒粉と水から作製する。

【材料】

1. ライ麦全粒粉 細挽(鳥越製粉)~500g (2袋購入したうちの1袋)
2. サントリー南アルプス天然水分量不明
3. 明治ブルガリアヨーグルト大さじ1杯(40g)(後述するLot. No. 2, 以下#2)
4. 蜂蜜(後述する#3)
5. グラニュー糖(#3)

【使用する道具、洗剤等】

10. 取っ手付き500mLビーカー2つ
11. 100 mL耐熱ボウル1つ
12. 人間用スチール製スプーン
13. 人間用スチール製ナイフ
14. 薬方グレードの消毒用エタノール
15. 洗浄用中性洗剤
16. 泡キッチンハイター(次亜塩素酸ナトリウム水溶液等)

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写真:今回使用したライ麦全粒粉のレッテル。この500gの袋、まず2袋をAmazonから購入した。加工所は某所のえらい近所。

【結果】

ライ麦全粒粉と水のみから(後に述べるロット#1)、およびそれらに蜂蜜とグラニュー糖を足した材料のみから(後に述べるロット#3)、サワードウ(サワー種)を5日間で作製することに成功した。経過と考察について以下に述べる。

【経過】

2021.10.02(土)Day 1

●2021.10.2(土曜日)はれ。外気温28.3℃(正午)、書斎机26.5℃/55%(12:15, エアコン除湿設定23℃)。
●11:30am~ 作業場所:拙宅台所。
●ポットで湯を沸かし、使用する取っ手付き500 mLビーカー、人間用スチール製スプーン、100 mL耐熱ボウルを熱湯消毒した。
●ガスレンジ左手前に火をつけ、ガスを全開にした。
●換気扇を強でオンにした。
●ライ麦全粒粉 細挽(鳥越製粉)29.9gを秤量しビーカに加えた。
●水道水30.2 gを秤量し、同じくビーカへ加えた。
●白い粉が濡れ全体が灰色になるまでスプーンでビーカの内容物を混ぜた。
●この時、かなりネチョネチョ粘性が高かったため、底が見えていた。
●ラップで覆い、レンジ横に放置した(~正午)。

12:20
●書斎のデスク25.7℃/54%、食器棚の寒暖計26.1℃/57%。

14:10
●外気温30.3℃、書斎のデスク23.7℃/49%、食器棚26.1℃/57%。
●変わった様子はない。

15:25
●外気温37.2℃、書斎のデスク23.6℃/48%、食器棚26.1℃/57%。

16:30
●外気温38.8℃、書斎のデスク23.4℃/44%、食器棚25.3℃/54%。
●変わった様子はない。

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2021.10.03(日)#1: Day 2, #2: Day 1

07:55am
●外気温22.1℃、書斎のデスク22.8℃/58%、食器棚℃24.3/55%。
●#1:変わった様子はない。

12:30
●#1:12hが経過した。殆ど代わり映えがしない。かき混ぜてラップで蓋をした(エサや水はあげていない)。
●#2:ヨーグルトからスタートされるサワードウをセットした。レシピは下記の通り:
 50.2 g ライ麦全粒粉(#1と同じ)。
 51.2 gの一度沸騰させ室温に戻した六甲の美味しいお水(硬度約30)。
 31.2gの明治ブルガリアヨーグルト(新品だが賞味期限が10/4の、手持ちでは一番古いもの)(=大さじ1杯)。
●#2に関し、上記をiwaki製500mLビーカーに入れ、上記を混ぜ、ラップで蓋をした。
●#1, #2の操作中、換気扇を最強で回した。今回はどちらも菌が多少なりとも強い状況と思われるため、ガスに火をつけなかった。
●#1ではゴムヘラ、#2ではビーカー、ゴムヘラを熱湯消毒した。

12:45
●外気温29.1℃、書斎のデスク23.8℃/65%、食器棚25.2℃/56%。
●#2で使用したヨーグルトの残りは美味しくいただいた。

13:55
●外気温29.3℃、書斎のデスク23.8℃/59%、食器棚25.3℃/56%。
●#1, #2とも殆ど代わり映えしないものの、表面がうっすら若干水気を帯びているように見える。

17:20
●外気温27.1℃、書斎のデスク23.0℃/63%、食器棚24.8℃/56%。
●#1, #2とも殆ど代わり映えしないものの、表面がうっすら若干水気を帯びているように見え、#1の底の方に気泡らしきものが観察された。
●エアコン(除湿24℃)を止めて外出した。

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2021.10.04(月)#1: Day 3, #2: Day 2

0:30am
●外気温22.8℃、書斎のデスク25.4℃/61%、食器棚24.8℃/56%。
●エアコン除湿設定24℃を入れた。
●#1, #2とも殆ど代わり映えしないものの、表面がうっすら若干水気を帯びているように見え、#1の底の方に気泡らしきものが観察されたが、10/2夕方に比べ気泡の数が増えたように思えた。明日エサを足す。

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写真:#1ビーカーの底。気泡が見られた(10/04午前0:30amごろ撮影)。

14:30
●外気温31.6℃、書斎のデスク23.6℃/53%、食器棚25.5℃/56%。
●#1: 良い香りがした。ライ麦100gと南ア天然水100mLを加え、熱湯消毒したゴムべらでかき混ぜ、ラップで蓋をした。体積約250mL。
●#2: 無臭。ライ麦100gと南ア天然水100mLを加え、熱湯消毒したゴムべらでかき混ぜ、ラップで蓋をした。体積約300mL。

19:45
●外気温26.5℃、書斎のデスク23.9℃/61%、食器棚25.4℃/56%。

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2021.10.05(火)#1: Day 4, #2: Day 3

0:30am
●#1: ラップ内側に水滴が観察された。培地がビーカの410 mLの線当たりまで増えてきた。底面には気泡が多数観測された。匂いはエタノールや酢酸とも違う、ほのかな少し刺激のある香りがした。
●レンジ台の換気扇をオンにした状態で以下の操作を行った。まず培地上部を捨て、中央部から下部にかけ約100gを取り、iwaki製1 Lガラス容器(エタノール噴霧による消毒済み)へ移した。そこへ南ア天然水100 g、ライ麦全粒粉100 gを入れ、ゴムべら(エタノール噴霧による消毒済み)で良く練った。またゴムべらから培地をこそげ落とすのに、人間用食事用ナイフ(エタノール噴霧による消毒済み)を使用した。蓋をしてガス台横に放置した。
●使用した器具は最初60℃のお湯で良く流したあと、人間用食器用中性洗剤を使用して洗浄した。また培養容器だったノンブランド取っ手付き500 mLビーカは次亜塩素酸ナトリウムを含む洗剤に漬け置き、その後ゆすいだ。
●#2: ラップ内側に水滴が観察された。体積もビーカの300 mL線の当たりと増えておらず、気泡もあまり確認出来なかった。そのまま放置。

1:15am
●外気温23.6℃、書斎のデスク23.6℃/62%、食器棚25.6℃/56%。

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写真: 上)#1(ノンブランド500mLビーカー)、下)(#2, iwaki製500mLビーカ)。ラップの内側に水滴が観察された。撮影:10/5 0:30am。

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写真:#1培地(撮影10/5 0:30am)。上)側面、下)底面。気泡が沢山見られる。

3:20am
●#1: 既に底に気泡が確認出来た(昨夜0:30amより少ない程度)。植え替えて3hだから、かなり元気だと思われた。
●#2: 変化なし。明日正午の時点で(~48H)気泡が出ていないようなら廃棄も止むなし。その場合#1を二つに分けて、室温組とヨーグルトメーカ組にするかも。

9:00am

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写真:10/5 9amにおける#1。10/5 1amのレベル(マジックの線)の約2倍に増えている。

14:55
●外気温32.5℃、書斎のデスク23.6℃/49%、食器棚25.6℃/56%。
●#2: 気泡は出来てはいたが数が少なく、順調に育っているとは言い難いので、廃棄した。
●#1: 気泡がかなり増えた。まず#1培地上部を捨て、中央部から下部にかけ約100gを取り、新たなiwaki製1 Lガラス容器(エタノール噴霧による消毒済み)へ移した(以降#3とする)。#3へ南ア天然水100 g、ライ麦全粒粉100 gを入れ、ゴムべら(エタノール噴霧による消毒済み)で良く練った。またゴムべらから培地をこそげ落とすのに、カード(エタノール噴霧による消毒済み)を使用した。蓋をしてガス台横に放置した。培地の液面はほぼ300mLの場所。
●#1の残り: #1の残りへ南ア天然水100 g、ライ麦全粒粉100 g、蜂蜜10g、コーヒーシュガー15gを入れ、ゴムべら(エタノール噴霧による消毒済み)で良く練った。またゴムべらから培地をこそげ落とすのに、カード(エタノール噴霧による消毒済み)を使用した。蓋をしてガス台横に放置した。培地の液面はほぼ300mLの場所。

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2021.10.06(水)#1及び#3: Day 5 

2:20am
●外気温23.4℃、書斎のデスク23.5℃/57%、食器棚℃/%。
●#1: 900mLのラインくらいまで来ていた。匂いはアルコール臭(良い匂い)。表面に穴もあいている。
●#3: #3も#1同様、600mLのラインくらいまで来ていた。匂いはアルコール臭(良い匂い)。表面に穴もあいている。栄養価は#1にくらべ#3のほうが良いはずなのに、増え方は#1のほうが良いのは謎だ。

20:30~
●#1: 培地上部を捨て、100gを取ってiwaki製500mL取っ手付きビーカへ移し、南ア天然水200mLを足し、ゴムヘラで良くかき回せて懸濁させ、ラップで蓋をした。
●#1: 上記残りの培地を130mL正方形ziplocコンテナに移し、ラップで3重にぐるぐる巻きにして、イオン製フリーザーバックMサイズに入れ、冷蔵庫野菜室へ入れた。この時の野菜室の温度7℃(アルコール温度計で読みづらいため有効数字1桁がやっと)。
●#1を入れていたiwaki製1 Lガラス容器を中性洗剤で洗浄した。
●#3: #3も同様の操作をおこなった。培地上部を捨て、100gを取ってiwaki製500mL取っ手付きビーカへ移し、南ア天然水200mLを足し、ゴムヘラで良くかき回せて懸濁させ、ラップで蓋をした。
●#3: 上記残りの培地を130mL正方形ziplocコンテナに移し、ラップで3重にぐるぐる巻きにして、イオン製フリーザーバックMサイズに入れ、冷蔵庫野菜室へ入れた。
●#3を入れていたiwaki製1 Lガラス容器を中性洗剤で洗浄した。
●#1, #3とも、南ア天然水200mLを足した。100mLとしなかったのは、少し粘性を落としたかったためである。

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21:30
●外気温23.4℃、書斎のデスク22.5℃/61%、食器棚25.1℃/54%、冷蔵庫野菜室7℃。

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2021.10.06(木)#1及び#3: Day 6

0:00amごろ
0:00amごろまでに、#1, #3ともライ麦全粒粉100gを加え、よく混ぜ、iwaki製1 L容器へ入れた。そのときの液面は400 mLの線を少し越えたところで、輪ゴムでマーキングした。

2:00am
●外気温22.5℃、書斎のデスク22.7℃/59%、食器棚26.2℃/52%。
●#1: 液面が650 mLの線。
●#3: 液面が700 mLの線。
●#1: 側面から観察すると、液面に近い方約1 cm程度で泡の発生があまり見られず、そのラインより低いところの方が活発に泡が見られた。
●#3: 側面から観察すると、液面に近い方約2 cm程度で泡の発生があまり見られず、そのラインより低いところの方が活発に泡が見られた。

3:20am
●外気温22.2℃、書斎のデスク22.8℃/57%、食器棚25.4℃/52%。 
●#1も#3も液面が850mLの位置。気泡は高さ方向、ほぼまんべんなく出ている(若干、液面の方が少なめ)。培地の粘度を減らす前に比べて、泡の粒が小さめで数が多いように思える。

10:30am
●外気温22.9℃、書斎のデスク23.5℃/57%、食器棚25.4℃/54%。 
●#1, #3とも気泡が液面にも多くあき、基本的にサワードウの作製は終了したと判断した。お疲れ様でした。

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写真:上)#3の液面。非常に多く気泡が出来ている。中)#3容器、側面。輪ゴムのスタート位置が少し下がっているが、400mL+から始まって一度1 Lのラインを超え、650 mLあたりまで下がってきている。#1も同様であった。下)#1の液面。#3同様、多く気泡が出来ているが、若干#1よりは少ないか。

3:30pm
●#1をziploc Lサイズの袋に入れ、冷蔵庫へ移した。→終了。
●#3はパン焼きに備えもう一回パン用強力粉の餌やりを行った。
●#3: #3を120g、パン用強力粉130g、南ア天然水100 mLを洗浄したiwaki製1 Lガラス瓶に入れ、よく混ぜた。残った#3のうち、130 mL ziplocコンテナに入る分だけ入れ、ラップでぐるぐる巻きにしたのち、イオンのフリーザーバックに入れ冷蔵庫で保管した。残りは廃棄。
●また冷蔵庫に保管していた、餌やり1回前の#3を冷凍庫に移した。→終了
●#3: 液面は300 mLの少し上まであった。輪ゴムでその位置をマークした。
●#3: ガラス瓶に濡れ付近をかけ、レンジ横に放置した。→サワードウから作ったパンの別文書へ。

【考察】

材料と器具について

●粉については、ライ麦全粒粉細挽きのみを使用した。小麦粉を使うことも考えたが、ライ麦全粒粉を入手出来たので、ライ麦にした。一応当初1 kg購入し、後に2 kgオーダしたが、サワードウ作製終了時点で、700 g程度消費していた。粉使用量としては想定内である。
●培地の培養で特に気を使うのは初段、ライ麦全粒粉(今回の場合)から菌を最初に培養する段階であるのは間違いない。ある程度菌が育ってしまえばコンタミネーションの恐れは限りなく減るが、初段は乳酸菌や酵母が思ったように増えず、カビを含む雑菌を培養していた、ということになりかねない。筆者は大学院生時代、ごく短期間ではあるが、遺伝子組み換え技術を駆使して大腸菌を使ってタンパク質を得ていたことがあって、多少分子生物学の知識と経験がある。家庭で出来ることでできることは限られているのだが、敢えてこの初段で考えたことは以下の通り:
  1)理想的な無菌操作にはほど遠いが、台所のガス台付近で、ガスを炊いて上昇気流を発生させ、また換気扇を強で回し強制排気することで、上部からのコンタミを多少なりとも避ける(実験室では安全キャビネット=ドラフト内で、ガスバーナを炊いて作業する)。
  2)水に関して、多くの料理本では浄水やミネラルウォーターをしている。理想的にはミリQ水などの超純水に必要なイオンを足しオートクレーブ滅菌すべきなのだが、これも家庭では現実的ではないので(圧力釜を使って1.7気圧115℃30分という条件は出来るが)、ここでは、硬度30mg/Lナチュラルミネラルウォーターを使用した。なお、初段に関してのみ、電気ポットで煮沸させたそのミネラルウォーターの湯冷ましを使用し、以降は煮沸をせず開栓後室温で栓をして放置していたものを使用した。
  3)容器や器具に関しても、多くの料理本等(=料理本あるいはYouTube動画)では全く無頓着か熱湯消毒に分かれた。初段ではゴムヘラやスプーンなどの器具は熱湯消毒したが、後半の作業で、容器に関しては中性洗剤で普通に食器洗いをした後、軽く水を切ってから日本薬局方グレードの消毒用エタノールを噴霧した後、500W電子レンジで2h加熱し、終了後庫内で放置するなどした。実験室では水で濡れているところにエタノール(あるいはメタノール)を加えてから乾燥機に入れることはよく行う(ちなみにH-1-NMRでこれをやると、エタノールの信号がバリバリ観測されたりするので禁忌である)。また料理本等では消毒用アルコールを使用すると必要な菌が死ぬから使ってはならない、としているものもあるが、これから増やそうとしているのは酵母であり、乳酸菌なので、少々のことで死ぬことはあり得ない。
●材料に戻る。途中、培養に不安を感じて#2(ヨーグルト添加)および#3(蜂蜜とグラニュー糖添加)へ株分けを行った。#2はその後失敗と判断して廃棄、#3は成功してサワードウとして完成した。


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