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②一次試験編: 限界社畜が失われた10年を取り戻すためにWEエクセレンスを受験してみた話
既にそこそこまとめ編に書いてしまった気もしますが、一次試験対策の詳細について、少し掘り下げて書いていきます。
試験直前まではほぼ時間を使わずに、直前8日間で仕上げているところが特色かと思うので、多忙勢・社畜勢のご参考になれば幸い!
エクセレンス一次(筆記)試験の形式と内容
まずは協会公式の試験概要から。
[第一日程]筆記試験:
2024年度教本を中心とした(記載事項に限らない)、シェフソムリエ、チーフ(販売、バイヤーなど)、教育、啓蒙に携わるプロフェッショナルおよび上位エキスパートに求めらる基礎知識および周辺知識について。
これだけでは何のこっちゃだと思いますので補足します。
※試験規定により試験に関する詳細は公表できないので、飽くまでWebサーチで知りうる概要のみ記載しています
問題数は80問、試験時間は70分
全問記述式。解答原語指定、問題文英語表記、及びその両方(=問題文英語で回答原語/英語記載の問題)を含む
試験範囲はソムリエ教本、フォローアップセミナーで取り扱われた内容を中心に、その他も…
実際の問題のイメージが気になる方は、下記リンクが参考になるかと。
一応、「出やすいと言われている問題の傾向」も付記しておきますね(※飽くまでWeb等で言われている一般論なのでご留意下さい)
フォローアップセミナーで取り上げられた内容
前年の教本から変更・改定があった箇所
一般呼称で問われない箇所
過去何度もエクセレンス試験で問われてきているいる重要概念(過去問は公表されてませんが)
「原語記述式で問いやすい」内容(例えば、ボルドー格付け等で該当するシャトーがあまりにも何個も出て来るような問題とかは問いにくいですよね、そんなイメージです)
国ごとの出題数がある程度決まっており、教本ページ数の少ない国はお得(要は「ページ数÷出題数」が低い国は試験勉強上効率が良い。東欧系、英国などが一例ですね)
一次試験対策の所要時間詳細
スクール授業出席: 26h (一次試験パート2h×13回)
授業以外: 約100h
フォローアップセミナー出席: 11h (5.5h×2日間)
一般呼称範囲の復習: 約8h
試験予想問題集の学習: 約80h
…これだけ。
計約126時間。中でも本格的に試験対策したのは試験直前の88時間。
こう見るとあっけないんですけど、「試験対策予想問題集の学習」80hは試験直前の8日間でほぼ全力の集中力で走り切ったものなので、労力的には結構なもの。地獄を見たよ…!
以下、各対策について少しだけ深堀りしていきます。
深堀り1: スクール授業について
ADV大友先生の講座は、1回2.5h×15回の構成でした。
2.5hのうち一次対策が2h、テイスティング0.5hという配分。
「一次までは一次対策に集中せよ」という方針で、テイスティングは毎回3種のみかつ時間もごく短いのが特徴的です。
15回のうち通常の講義は13回で、最後2回は模擬テストです。
(なお、私は模擬テスト時にはまだ試験対策を開始していなかったので、模擬テストはスキップしました…←クラスメイトにドン引きされた)
授業は先生がまとめられたレジュメを元に講義。
一般呼称同様、各回国/地域軸でまとめられていて、当年の教本変更点や、フォローアップや協会誌で繰り返し取り上げられた重要情報など、「試験に出やすい箇所」を中心に膨大な量の情報に触れられていきます。
私は授業中はもはや、「ここ重要」と言われた箇所に線を引き続ける機械のようになっていましたw
なお、本来は各回予習・復習が強く推奨されています。
予習は一般呼称テキストの当該範囲をざっと読んで復習してくる事、復習は授業後に配られる各回の内容に沿った小テストを解いてくる事が求められるのですが、怠惰な私は一切やりませんでしたw
時間に余裕がある方は予習・復習をしたらきっと試験前大分楽になるとは思います…やってないから知らんけど(テヘペロ
あとこれは物議を醸しそうですが、「本当に本当に時間が無くてスクーリングはオンラインでも絶対無理!」という方は、正直、講義パートの聴講はスキップして、予想問題集を解くときに理解が足りない箇所・説明が必要な箇所だけピンポイントに録画を見るとかでも全然大丈夫だと思いますよ。
スクールの意義はとにかく「精度の高い予想問題集を手に入れる」ことにあると言えます。講義への出席は、飽くまで予想問題集の学習を進める補助。授業に出席できなさそうだから受験を諦めるとかドロップアウトするとかはもったいないです。
深堀り2: フォローアップセミナーについて
各種試験対策情報や受験者の方が口を揃えて「フォローアップセミナーは超重要・絶対に出席せよ!」と言われていると思います。
実際、例年試験範囲の3~4割程はフォローアップセミナーで取り上げられた内容から出題されているので、それ自体は間違いではない…のですが。
スクールに通われている場合、当然ながらフォローアップで取り上げられた項目についての補強授業などがカリキュラムに組み込まれていると思います。(※セミナー資料の転用などは行われず、適切な形で運用されています)
正直、フォローアップセミナーが会場及び配布資料等の諸問題により非常に聴講・復習がしにくいので、私はセミナーの内容を直接復習することはせず、スクールの補強授業の内容で学習しました。
なので、スクール利用前提であれば「出席しないと受からない」ようなものでは無いです。逆に独学だったら必須だとは思いますが…。
なお、いずれにせよ「フォローアップセミナーで取り上げられた範囲が試験対策において超重要である」事は間違いが無いです。
熱心な方は、セミナー内容を録音の上、何度も聞き直して復習されたりもするようです。
また、「フォローアップ」セミナーという名の通り、最新の動きがある内容が取り上げられるので、純粋に知識のキャッチアップとして楽しめる内容でもあります。
深堀り3: 試験対策教材の学習について
さて、いわゆる「試験対策」は殆どこの③です。
大体下記のような流れで進めました。
8月末に重い腰を上げ、それまで全力で無視し続けていた各回小テスト問題を見ようとするも、あっさり挫折w
計画を修正し、試験一月前に予想問題集が配られ次第学習開始することに
…んが!なんと!!学習を開始しようとしたまさにその日にコロナを発症した上、かなり重い後遺症にかかってしまい、結局なんとか試験勉強に着手できる状態になったのが9/19頃
エクセレンス予想問題着手の前準備として、9/19-20の仕事後の時間で、ヴィノテラステキストとヴィノレット(アプリ)を使って一般呼称範囲の復習を完了(計8h程)…①
9/22から予想問題着手。土日祝+有給2日の計8日間で1,608問を学習…②
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結局やった事は上記の①・②だけなので、さらに少し深堀します。
①一般呼称範囲の復習
ADV受講生なのにヴィノテラスの教材を使ったのには理由があります。
(ADVのエクセレンス講座を受講するとオンラインアカデミーで一般呼称のテキストも見られるので、本来は不要)
ADVって今は紙のテキスト無いのですよね…。私がWE受験したときは紙しかなかったので、隔世の感です。
私は読書含め大体のものはデジタルツールを好みますが、暗記ものだけは「流し読みしながら未記憶箇所に線を引いて覚える」タイプなので、紙媒体が必須。
ということで、「紙媒体で」「手頃な価格で」「受講生以外も購入でき」「2024年版が早期に発行され」「分冊&小型で使い勝手も良さそうな」ヴィノテラステキストを購入しました。
結果論ですがこれはかなり良い判断でして、学習にかなり寄与しました。
まずテキスト自体をADVと比較しても、ヴィノテラステキストは理解や暗記の助けになる情報が細やかに付記されていて、かなり工夫がされていると思います。
とはいえそこまで大きな差があるわけではないですし、章によってはADVの方が「大量の情報がコンパクトにまとまっている」ようなところもあって、一長一短ではあるのですが。
少なくとも「一般呼称範囲の復習用に紙媒体のテキスト欲しい」という方にはヴィノテラステキスト、大変お勧めです。
ついでに購入したアプリも、使用したのは8時間だけだったものの、大変役立ちました。というか、このアプリがあったから8hで復習完了したのかも。
UIも良く、一般呼称範囲を高速でざーっと一周解いて頭に入れるには必要十分でした。
なお後日結局Kindle版テキストも購入しまして、資格取得後もちょいちょい参照して役に立っています。外でワイン飲んでて「これなんだっけ」と調べたくなることってありますよね。そんな時にとても便利!
②予想問題の学習
筆記試験対策において、時間的には8割、内容的には9割5分を占めたといってもいいのがこちら。
実際の予想問題は無断転載になってしまうので公開できませんが、学習した1,608問の内訳は下記の通りです。
スクールの問題集から、最優先753問、第二優先462問を学習
上記に加え、市販のフォローアップセミナー問題集(下記)から393問を学習
スクールの問題集は転載できませんので、予想問題の雰囲気を知りたい…と言う方の参考はこちら。
スクールの問題集は大友先生が優先度別に整理して下さっていて、「最優先」「第二優先」「その他」の3段階に分かれていました。(フォローアップセミナーや直近のその他各種セミナー内容、ワインエキスパートコンクールの問題などを踏まえ、当年の試験に出やすそうな順を考慮して下さっているようです)
これをひたすら覚えて行くだけ。一周目は問題や周辺情報の理解をしながら進め、二周目以降はひたすら暗記モードで流しました。
この「問題や周辺情報の理解をしながら」というのが重要だと思いますので、焦らず時間を割くべきですね。
なお先生からは「最優先問題だけでもギリギリ合格水準に達するはずの内容」と聞いていたのですが、学習開始から2日程で最優先問題は7~8割方覚えられたので、第二優先の問題にも着手。さらに第二優先もそこそこ仕上がってきた段階で、市販テキストのフォローアップ範囲問題に追加で着手しました。
ただしこれはオーバーキル気味だったようです。
約1,600問覚えて臨んだ私自身の筆記本番の回答状況は、下記の通りでした。
80問中、ある程度の根拠を持って回答できたのが65問程度
但しスペルミスや考察違い、問題文の読み違い等で、なんだかんだそこから10~15問程度は落とし、結局は50~55問程度の正答だったと思われます
安全合格ラインは約半分(40問)と言われていますので、問題数的にもやや余裕あり。加えて記憶の限りでは回答した問題の殆どが最優先750問からだったはずです。
実際、試験後にクラスメイトと話した際、「最優先問題だけ完璧に仕上げて筆記通過した」という方が複数名いらっしゃったので、おそらく最優先750問だけで十分だったはず。正直それだけなら8日はいらなかったな、と思いました(4日あれば十分)。
まあこれは飽くまで結果論なのと、1600問覚えて臨んだ事で気持ちの余裕には繋がったので、私自身は後悔はありません。
ただ、一日平均200問ペース(原語表記で…)はかなりしんどかったのも確かなので、ここの取捨選択は重要になりそうです。
以上、学習した内容という意味では本当にこの予想問題1,608問だけなのですが、2点ほど補足します。
一点目。覚え方の工夫として、一部Quizletを活用しました。
予想問題1,608問は国ごとに並んでいるのですが、例えば「人物・歴史(年号)」や「生産者」などの問題は、国ごとにぶつ切りで覚えるよりもまとめて覚えてしまった方が覚えやすい。
なので、該当の問題だけ抜き出し、Quizletでフラッシュカード化して覚えました。
また、最後の最後までしつこく覚えきれず残った問題も、まとめてQuizletに入れて前日夜にひたすら暗記しました。
なお大友先生の予想問題はExcelで配布して下さるので、インポートしただけで、手打ちの作業などは不要です。
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二点目は注意点を。
エクセレンスは全問記述式で、かつ「原語で答えよ」指示の問題が多い(半数くらい?)のため、基本的に全て原語表記で覚えます。
それに伴う注意点が2つあります。
一つは学習時間への影響。思った以上に面倒でして、普通にカタカナ表記で覚える場合の1.5倍くらいは時間がかかったのではないかと。
というのも、「問題を読んでカタカナの音は思い浮かぶ」状態から「アクセント記号まで完璧にフルスペルで覚えた」状態までの間に結構ギャップがありまして。
実際、上述の通り最優先の750問は最初の2日位で7~8割覚えたわけなのですが、そこから試験前日まで結局最後20問程度はしつこくスペルミスで残っていました。
マセラシオンプレファメンテールアショーとかさあ、コートドプロヴァンスコスティエールドニームとかさあ、カタカナで書かせておくれよぉ!!!(ハアハア
ドイツ語、イタリア語、スペイン語はスペルの想像がつきやすくアクセント記号も多くないので、問題はフランス語のアクセント記号。
あと、東欧あたりの謎スペル(特にジョージア)やら見慣れないアクセント記号やらも何気にしんどい。
いずれにせよ、暗記は「原語フルスペル」分の猶予を持った学習時間で計画をされた方が良いと思います(←凄まじい突貫で臨んだお前が言うなって言われそうですが…)
もう一つは、各種予想問題集のスペルを鵜呑みにしないこと。
問題数も多く、かつそもそも教本やフォローアップセミナー資料にも誤記があったりもするので(英語ですら…)、スクールも市販も予想問題集には結構スペルミスがありました。
せっかく覚えたのにスペルミスで落としたらもったい無さすぎます!
私は違和感を感じた部分は都度講師に確認して修正したものを覚えましたが、質問のやりとりは結構な数に及びました(辛抱強く全部つきあって下さった先生には感謝しかありません)。
違和感を覚えたら必ず教本確認、教本内でも表記揺れがあるようなところは講師(場合によってはソムリエ協会)に確認。
正しいスペルを確認して徹底しましょう。
参考) 当日の留意点など
特筆すべき留意点は無いと思いますが、参考までに記述しておきます。
持ち物では、受験票忘れると追加手続きが必要になりますので注意。あと秋季&ホテル会場で温度管理はやや不安があるので、必要な方は防寒対策していくべきかと
2024の会場だった目黒雅叙園の場合、エントランスから試験会場まで何気に結構距離があります。到着時間には余裕を…
確か一度部屋に入場すると再入場不可だった気がします。お手洗い対策&水分管理はちょっと注意ですかね
試験中に関して言えば、「時計が使えない」のが異質かと。不正対策なんでしょうけれど、記述80問70分という形式は決して時間にすごく余裕があるわけではないので、ここはやっかいです。一定時間でアナウンスはありますが…
以上です。
もっと共有できることがあれば良いのですが、なんせ本当にひたすら1,608問覚えきっただけなので、あまり書くことがなかったw
また思いつくことがあれば、随時追記していきたいと思います。
以下も参考になれば。
「まとめ編」: そもそも受けるべき?スクール行くべき?などについて持論を書いています。
二次試験編: 物議を醸した「論述であんなに落ちたのなんでなん問題」についても考察してみました。