第8章 マインドフルダイエットをさらに体得する
目標を確認しよう
Dr Neco 「そういえば、でぶねこ君はどうしてダイエットしようと思ったのですか?」
でぶねこ 「いやぁ、やっぱり職場の女の子にモテたいなぁと。最近、後輩の女の子に『ちょっと丸くなりましたね(笑)』って言われちゃって」
Dr Neco 「でぶねこ君に話しかけるような女の子が?!」
でぶねこ 「いやいや、僕だって女の子に話しかけられるくらいはする、とも限らない。話しかけてもらえない職場もある。今の職場の皆に感謝しよう」
Dr Neco 「いつも観てます!でもカッコいい自分になりたいって、ちゃんと動機をもっていることはいいことですね。ダイエットの先にある未来や希望があるから頑張れるのですから。それは、見た目でも、健康に長生きしたい、でも何でも良い。ダイエットが苦しくなってきた時は、それを思い出してほしいものです」
でぶねこ 「確かに忙しいと忘れがちだな。太っていると膝にも悪いし、趣味の山登りを続けるためにも頑張ろうかな。仕事を引退した時に体がボロボロで何も出来なかったら寂しいからね」
Dr Neco 「でぶざらしさんはどうです?」
でぶざらし 「私は別に太っててもかわいいから見た目は関係ないんだけど。物を落とした時に拾うのがちょっと大変なのよね…。あと電車の中で、だれも隣に座ってくれないのとかね。あとこないだ、食べ放題の店で、大食いのプロだと思われて、入店を断られちゃったのはさすがにショックだったわ」
Dr Neco 「…(ホロリ)」
悩みの裏に希望あり
何かに悩んでいる人の心の裏側には、必ずより良くありたいという希望や欲求があると言われています。この本を手に取って頂けたということは、体重や体型、健康などについて変化を起こしたいという希望や悩みを少なからず、お持ちなのではないかと思います。不健康で病気になり、寿命が短くなってもよいと思っている人は自分の体のことで悩んだりはしません。「健康な体を維持して、趣味のスポーツをずっと続けたい」、「痩せて恋人をゲットしたい」「シュッとして出来るやつと思われたい」「大事な人とできるだけ長く時間を一緒に生きていたい」という風に、減量してどうなりたいかを考えることは、生活にマインドフルを導入する動機として、とても大切です。
あなたが、体重を減らして、健康でいたい理由はなんでしょうか。健康な体でこの先どんなことをし、どんなことを続けたいですか。想像の中で、体重が減り健康になった自分はどんなことをしているでしょうか。好きなこと、心地よいこと、気に入っていることは何でしょう。ダイエットはそれらを叶える手段であって、目的ではありません。ぜひ、自分なりの目的や目標をシートに書き込んで忘れないようにしましょう。
無理のない、具体的なマインドフルな行動や習慣を生活に溶け込ませよう
減量した未来の希望を確認した後は、それを達するために今できる、実現可能で具体的な行動を検討していきます。そのためにはなるべく今の生活は変えずに、生活に対する態度を一部マインドフルにしていきましょう。具体例を挙げていくので、自分にできそうなことがあればぜひ導入してみてください。
美味しいところだけ食べて痩せる
マインドフルに十分に味わうためには、どこの部分を重点的に味わうのかを意識することも大切です。世の中には、「料理の都合」で作られていて、味わいまではこだわって作られていない部分がたくさんあります。例えば、ピザの耳は生地以外の具材味付けはなく(耳にトッピングを付けているものも最近はありますが)、大抵美味しくありません。もちろん、美味しいと感じて食べるのであれば問題ありません。しかし、多くの人が、ピザを食べる過程で惰性で食べていると思います。美味しい所だけ食べてピザの耳を残すと摂取カロリーは約300kcal低下します。これをどの食事でも毎日続ければ1か月で9000kcalの摂取カロリー低下となり、約1㎏の体重減少になります。食べ物を禁止せず、美味しい所だけ食べて、体重を減らせます。
天ぷらや揚げ物の衣も、半分にしてみてもそれ程味が変わらないか、むしろ美味しいか試すような気持ちで確認してみるのはどうでしょうか。
ステーキの脂身は、少しでも見た目を大きくするために、そのまま焼き上げて提供されます。美味しいと感じる脂身もあると思うので、その場合は食べてもらって構いませんが、もし脂っこ過ぎて美味しくないとか、感触が気持ち悪い、胃もたれしそうだから少しで良い、など感じるようであれば残しましょう。一口目が美味しかったからと言って、最後まで美味しいとは限りません。脂身は味がしつこいので少量でも意外と満足しやすい所です。マインドフルに確認してみて下さい。
ご飯は味に差が出やすい
ご飯はお店や日によって違いの出やすい食品です。炊かれてから長い時間経っていそうな固いご飯や、妙にふやけているご飯など、美味しくないなと思えば、まだ美味しいところだけ食べて、残しましょう。逆に、ご飯の銘柄や炊き方にこだわっていて、通常よりも美味しいご飯と巡り合うこともあります。そんなこだわりを見逃してしまうのはもったいないので、ぜひマインドフルに食べてみて下さい。コンビニのおにぎりも、コンビニごと、商品ごとにお米の食感が違います。自分のお気に入りを見つけましょう。手作りおにぎりのお店は、作りたてなのか、時間がたっているのかで、かなり味わいが違うので、作られた時間やお米の暖かさを確認してからマインドフルに選ぶと良いでしょう。スーパーで売っているお寿司はネタは鮮度がよくてもシャリは今一つなことが多いです。シャリの部分だけ電子レンジで軽く温めると、ごわごわした食感は改善します(ただし温かくはなるので好みはあると思います)。こうしてネタとシャリの部分を分離してみると、予想以上にシャリが多いことに気づくかもしれません。1人前でもお茶碗にすると2杯くらいはあるでしょう。刺身の時にはお茶碗1杯で満足していたとしたら、本来シャリの半分は食べなくてもお腹は満たされるはずです。
寿司をお店で食べる場合も、店によって、その日によって、シャリの旨さが違います。硬すぎたり、シャリが多すぎてネタの味がぼやけていたら、シャリを減らして食べた方が美味しいかもしれません。最近は「シャリ少なめ」と初めから選べる店舗も増えています。個人的には、刺身がシャリからはみ出すような大きいネタと違い、具が少ないウニなどではシャリを減らす方が、素材の味をより感じられて好きです。色々と試して、ご自身がより美味しく食べられる方法を見つけて下さい。
見た目大きく、中身スカスカに騙されない
中身がぎっしり詰まったあんぱんと、いくら食べ進めても中々あんこにたどり着かない中身の乏しいあんぱんなど、パンも差が激しい食品です。あんことパンが織りなす味を楽しみたいからあんぱんを買っているのであって、あんこもついていない単なるパンを食べたいわけではないはずです。その部分は捨ててしまっても構いません。捨ててしまうことになる責任は、あんこを少なくして、パンで誤魔化して、あんぱんを大きく見せて買わせようと画策した企業側にも当然あります。それを無理して食べて、あなたが企業の戦略の犠牲になる必要はないのです。
味が濃い所を舌に乗せる
味わいが強くなる様に食べ物を舌に直に乗せることも有用です。寿司をネタの方を下にして口に入る場合とご飯を下にして口に入れる場合でネタの旨味はどちらがより感じるでしょうか。寿司で味わいたいのはシャリではなく、魚介類の方だと思いますので、より味わいたいものがより味わえるように注意を舌にもっていき色々と工夫してみましょう。ケーキも多くは上にクリーム、下にスポンジなので、そのまま下に乗せるとスポンジから味わうことになります。口の中の上の部分(口蓋)には味覚はないので、クリームが広がっても感じることはありません。数回噛んで、すぐに飲み込んでしまったらクリームはほとんど舌に触れず、味わい半分で飲み込んでいるとも言えるかもしれません。
マインドフルに調味料を使う
マインドフルに食べていると、「味が薄いな」、「塩気がないな」、「パンチが足りないな」などと味について気づくことが増えていくと思います。そんな時は、テーブルに置いてある調味料に目を向けてみましょう。私もマインドフルに食べるようになる前は、テーブルに調味料が置いてあっても目もくれずに、とにかく目の前の食事を平らげていました。よくよくマインドフルに味わうようになると、味の感じ方が毎回違うと気づき、味が足りない時には調味料で足すことも増えていきました。また、丼ぶりやラーメンなど味が均一の一品料理は、食べている途中で味に飽きやすいので、それを変化させるためにも調味料を使ってみることをオススメします。
例えば、かつ丼を食べている時を想像してみてください。最初の方は、熱々のかつを口に頬張り、肉汁や甘じょっぱいタレの味が広がって美味しいと感じると思います。しかし、人間の特性として同じ味が続くとどうしても味に慣れて、最初の感動は薄れていきます。薄れていると気づいた時に、例えば七味やシソの粉を加えてみると、味が変化することで美味しいと感じやすくなり、満足感が上がり、心が満たされます。その工夫によって、かつ丼を食べ終わった後に物足りなさを感じて、さらに新しく何かを食べることになる確率は下がります。丼ぶり、カレー、ラーメンなど同じ味が続く料理は特に、味に飽きていないか途中で意識をしてみて、味を変えたり、もう満足していればそこで食事を終えましょう。私は天ぷらのつゆの味に飽きたら、店員さんに塩を要望することもあります。テーブルの上に調味料がなくても、店員さんにお願いすると主要な調味料は大抵は嫌な顔をせずに持ってきてくれます。ご家庭では調味料をかけると作り手の気分を害することもありますので様子をみながらにはなります…。
温かいものは温かく、冷たいものは冷たく頂きましょう
マインドレスに食べていた時は、とにかく時間を優先していたので、パンを焼いたり、冷めたお弁当を温めることすら省いて食べていました。私自身は味わいに注目すると、やはり温かいものは温かい方がより美味しいので、温めるようになりました。電子レンジでチンする数分の一手間で満足感が増すのであれば、一手間以上のメリットがあります。温かくすると食感や味わいがどの程度良くなるかを観察するつもりで、一手間を惜しまずに食事してみましょう。
鮮度を下げないために、冷たいほうが美味しいものは大抵冷たい状態で売っています。冷蔵庫にしまい忘れて常温になってしまっても、冷たくしたほうが美味しいものであれば、もう一度冷やして食べましょう。むしろ、アイスなど冷やしすぎているものと遭遇することのほうが多いかもしれません。カチカチで冷たすぎるアイスは味わいも食感も鈍くなるので、焦って食べずに少し待ちましょう。
昔の食事のスタイルにお別れし、今の自分に合う新しいスタイルへ
学生の頃は金銭的に余裕がなく、食事にお金をかけられませんでした。そのため、お腹がすくことを恐れ、大盛無料などを駆使して、何とか一回の食事でたくさんの量を食べていました。
その後も学生時代のくせが抜けず、空腹を感じることのないように、とにかくたくさん食べていました。しかし、空腹感の強さや持続時間をモニタリングしていくうちに、学生時代のような食事量を取らなくても空腹感が襲ってくることはいつの間にかなくなっていることに気づきました。年齢とともに必要な食事量が変わっていたことに自覚がなかったのです。食べる力が年齢とともに落ちたとも言えますし、少ない食事量で活動できるように省エネになったとも言えます。ただ、その様な変化はあまりにゆっくりと訪れるので気が付かず、10年経っても学生時代のように食べてしまっていたのです。学生時代は、一度に多く食べる力があったので、長期的に体に悪影響はあったとしても、節約するために食いだめにある程度意味があり、有効だったのかもしれません。しかし、人間の体や、社会的な状況は常に変化しているので、今の自分に合った最適なスタイルに変更する必要があります。パワーとスタミナで勝ってきたスポーツ選手が、年を取り、テクニックと経験で勝つようにスタイルを変化させていくのと似ているかもしれません。昔の食事のスタイルにお礼を言ってお別れし、今の自分に合う新しいスタイルを見つけましょう。
そのためにはマインドフルにする生活・場面を、極めて具体的に切り出す必要があります。表を用意しましたので、参考例を見ながら自分のオリジナルな「マインドフル習慣」を考え、書き出してみましょう。