第5章マインドフルダイエットの身につけ方
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食べ物を見ると心に何が浮かんで来ますか??〜食べすぎのきっかけをつかめ〜
Dr Neco 「どうですか?マインドフルに味わってますか?」
でぶねこ 「んー、できる時とできない時があって、ダメですね。普通のダイエットよりは辛くないけど」
Dr Neco 「できる時もあるのですね。良いですね。どんな時に出来て、どんな時がダメですか?」
でぶねこ 「休みの日のランチとか、余裕がある時は味わって食べられたかなぁ。あとは、何か食べたいかもと思った時に、食べるのを保留にして別のことをしているうちに、食べずに済んだこともあったな。けど、どうしても疲れるとばーっと食べちゃうんだよね」
Dr Neco 「なるほど、疲れているとついつい食べ過ぎちゃうのですね。その時のきっかけとか思っていたことは何だったのでしょう」
でぶねこ 「きっかけ?…うーん。昨日は仕事が遅くて、21時くらいにコンビニで色々買っちゃって、気付いたらお腹一杯になっていたんですけど、食べているものを残すのももったいなくて食べ過ぎて、またやっちゃったなって感じました」
Dr Neco 「なんと、でぶねこくん仕事してたんだね…。てっきり気ままなニート猫かと。」
でぶねこ 「してるわ。だらけてる所しか見せてないけど!」
でぶざらし 「あはは、一気食いしちゃうんだ。でぶねこは意思が弱いから。私より太ってるし」
でぶねこ 「なんだと?君は仕事してなくてストレスが少ないだけじゃない?」
Dr Neco 「まぁまぁお二方、落ち着いて。そうですか、ご飯を食べるのが遅くなるのは、食べ過ぎてしまうリスクになるかもしれませんね。『食べ過ぎたな』って、ちょっと落ち込んだりしたのでしょうか?」
でぶねこ 「そう。それで、『次は食べないようにしよう!』と決意するんだけど、うまくいかないんですよ」
Dr Neco 「やっぱり食べたくなっちゃいますもんね。こうして振り返ってみると、食べ物に関して、色々な気持ちや考えが出てきますね」
でぶねこ 「気持ちや考え?『食べすぎて自分はダメだ』とか『ご飯は残してはいけない』とかって考えることですか?」
Dr Neco 「そうです。食べ過ぎたとしても『食べすぎるくらい、仕事で疲れていたんだな」と思う方もいるように、食べ物に関してどんな考えが出てくるかは皆違います。まずは自分の食べ物に対する考え方や感じ方のくせを見つけてみましょう。そうすると、食べ物とうまく付き合うコツも見えてきますよ」
でぶざらし 「見つけるだけ?ポジティブになったり、逆に自分に厳しくしなくていいのかなぁ?」
Dr Neco 「ポジティブに無理になる必要はないですよ。そんなに器用に考え方が変えられるなら苦労はしないですしね。例えば、スキーの初心者は皆、坂が怖いのでストックを握りしめて、前かがみになって、転びやすい姿勢になってしまうんだけど、そのことを指摘されて意識するだけで、自然に腕を下げて胸を張って、リラックスした位置に落ち着くのと似ているかな」
でぶざらし 「それもしかしてただの先生の体験じゃない?ちょっと例えがマイナーすぎる割に具体的で違和感があるよ」
Dr Neco 「うわ…ばれました(笑)」
でぶあざらし 「ちょっと意識するだけでスキー上手くなったならよかったですね」
でぶねこ 「スキーはしたことないから分からないけど、緊張していると気づいたら緊張が緩んだりしたことはあるかも」
Dr Neco 「何とか伝わってよかったです。気づくということにも、マインドフルが有効です。最初の訓練としては、『呼吸』のエクササイズが良いと言われています。呼吸はまさに今していることだし、いつでも練習出来て便利ですからね。ちょっと一緒にやってみましょう」
でぶねこ 「呼吸が大事とかスポーツみたいになってきたな…」
無意識に浮かんでくる考えを捕まえる
人間の頭の中には1日に約6万語の考えが浮かんでいると言われています。それ程、考えるというのは私達にとって当たり前のこと過ぎるため、自分が何を考えているかを意識することは少ないと思います。この章では、普段意識していない自分の「考え」に注意と意識を向けてみましょう。
出てくる考えにはきっかけがある
人間の「考え」は、ランダムに浮かんでいるのではなく、色々な出来事に反応して、ほとんど自動的に出てくると言われています(認知行動療法ではこれを自動思考と名付けています)。考えが生まれるきっかけとなる出来事は、花を見たり、人と話したりする際に入ってくる刺激のような、自分の外側のものであることもあれば、体から発せられる感覚や、ふと昔のことを思い出す時などの、自分の内側のものであることもあります。
自分の中に染み込んだ食べ物に関するルールに気づく
食事からの外部刺激に反応して生じる考えには、どんなものがあるでしょうか。例えば、かつ丼やケーキといった高カロリー食品を目の前にすると、「美味そう」「こんなに食べたら太るな」「食べたらまた家族に怒られるな」などと、人によって様々な考えが出てくると思います。他にも、ご飯が残っていることを意識した時には、「ご飯は残してはいけない」「捨てたらもったいない」「作ってくれた農家の人に申し訳ない」と思ったり、バイキングや食べ放題を前にした時には、「頑張って食べて料金の元を取ろう」と思ったりするかもしれません。このように、色々な考えや、守らなければいけないと思っているルールが頭に浮かぶでしょう。そして、「残してはいけない」という考えに従って全部食べたり、「食べてはいけない」という罪悪感・背徳感の反動で食べてしまったりする時があるように、私たちの考えや感情は、行動や習慣と関係しています。中国では料理を振舞ってくれた人に対し、「もう十分ご馳走になりました!」という気持ちを伝えるために皿に食べ物を残すことが礼儀であるように、この考えやルールは個人や文化で異なります。この考え方や感じ方、ルールを、今すぐ無理矢理変える必要はありません。まずは、自分にはこの様な考え方や感じ方のくせがあると気づくことが大切です。
ナスカの地上絵から学ぶ気づくことの大切さ
どうして気づくことが大切なのでしょうか。それは、気づくことで、その考えやルールから心理的に‘距離’を取ることができるからです。ナスカの地上絵のように地上で見ていると分からない模様も空から距離をとって見るとそれが何かが分かるものです。何者なのかが分かれば、それにどう対応していけばよいかにも自然と気づくことができるようになります。
全集中!自分を知るために呼吸を学ぶ
これから、自分の考えを把握し、自分がどういうことをきっかけに食べようとするのかを知る技術を学んでいきましょう。それには、「今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向ける」マインドフルネスが有効です。とはいっても、今この瞬間に注意を向けるというのは中々難しいことなので、まず今この瞬間に私もあなたも必ずしているものを使って練習してみましょう。
そう、呼吸です。あなたが呼吸をしているのは過去でも、未来でもありません。今です。そのため、今に立ち戻るために、船の錨の様に呼吸を使うのです。また、あなたの体は今、地面や椅子、服や靴と接しているはずですので、その感覚にも注意を向けていきます。次の呼吸瞑想で一緒に挑戦してみましょう。
でぶねこ 「先生、全裸で宇宙空間に浮いている猫ではどうですか」
Dr Neco 「うん、君がためしてみたらどうでしょう」
でぶあざらあし 「てかあたし達すでに全裸じゃない?」
Dr Neco 「まぁ、全裸でも呼吸はしてますよね…」