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東大刺傷事件。なぜ人を刺すのか。実行犯の不可解な心理を分析。高すぎるプライドが日本を蝕む

15日朝、大学入学共通テスト会場の東京大学の前で高校生ら3人が刃物で切りつけられるという痛ましい事件が起きました。

逮捕された17歳の高校生の少年は「医者になるために東大を目指して勉強していたが、成績がふるわなくなり自信をなくした」「「去年から事件を起こそうと考えていた。勉強がうまくいかず、事件を起こして死のうと思った」などと供述していることが報道されていますね。

色々とうまく行かず自信をなくす、ここまでは皆さんも理解できる心情だと思いますが、自分の人生がうまく行かない➡人を傷つけようという過程が皆さんピンとこないのではないでしょうか。

今回は、人生がうまく行かない時に他人を傷つける人の心理を解説します!


勉強がうまく行かない、スポーツや仕事で結果が出ない、多くの人が自分の思い通りに人生がうまく行かないという挫折を体験したことがあるでしょう。

そういう時に健康な人は、「人生自分の思い通りにいかないこともある」「自分が思っているよりは自分は凄くなかったみたいだ」と現実を見ます。そして、至らない自分でもできることを見つけて、またコツコツとできることを積み上げていきます。

 しかし、この世には人生がうまく行かず行き詰まった時に、他人を傷つけようとする人たちがいます。彼らの思考回路は多くはこうなっています。

1、何か自分の思い通りに行かないことが起きて、心が辛い

2、自分は十分やっているのにどうしてうまく行かず、自分だけがつらい思いをしなければならないのか。

3、自分は悪くない、とすると、誰が悪い。親や世の中が悪い。

 このように自分に至らない所があると内省ができないので、うまく行かない時に他人のせいになります。これは他罰的といいます。人生自分の思い通りにいかないこともあるという現実が受け入れられず、逆言うと人生自分の思い通りにいくと万能感から脱せられていません。

 万能感と聞くと難しそうですが、皆さんも小さい時には必ずあったものです。小さい子はウルトラマンなどの漫画やアニメのヒーローになるとよく言っていますが、これが万能感です。大人になるにつれ、自分はそんな風にはなれないのだと己を知っていきますが、一定数、「自分は凄いんだ」という幻想が解けない人達がいます。

 この高すぎる自己評価、プライドが他人を傷つける人の心理の真ん中にあります。精神分析ではこれを自己愛の問題と言います。

 プライドが高い人たちは、自分を大きく見せるために、強い言葉や態度を使ったり、高そうな服で着飾ったり、学歴や役職にこだわります。これは実は自信のなさの裏返しです。本当に自信のある人はわざわざ自分を大きくみせる必要もないので、謙虚に生活をしています。ドラマや漫画で、いつも草刈りをしている人が社長だったなんて話がありますよね。本当にすごい人は偉ぶったりしないのです。

 偉そうにしているプライドが高い人たちはガラスのハートとセットなので、小さな挫折で傷つきます。そして、プライドを傷つけられると、激しく怒ります。自己愛憤怒なんて言葉があるくらいです。

 プライド高すぎる病の人達は現代社会にものすごい数がいて、大人の虐め、いびり、ハラスメントを日々行っています。

 特にやっかいなのが、ワンマン社長みたいに分かりやすくプライドが高い人たちより、表面的にはプライドの高さを隠している人たち(隠れ自己愛)です。

 分かりやすく偉そうな態度はとりませんが、自分はもっと評価されて良いはずだと恨みつらみをため込み、あんなやつたいしたことないのになぜ自分より評価されるんだと人を常に見下しています。

 自分よりすごい人や頑張っている人を見ると、自分の至らなさに直面してしまうので、陰で悪口を言ったり、その人の足を引っ張って、自分の弱さを隠そうとします。(他人の足を引っ張っても自分がすごくなるわけではないので、本当の意味では満たされないのですが)

 これを読んでいる人たちの周りにもこの隠れ自己愛の人がたくさんいるのではないでしょうか。若くて才能のある人にいちゃもんをつけたり、指導とは名ばかりのダメ出しで自信を奪おうとしたり、人の成功をねたみ、邪魔ばかりします。

 自分よりすごい人や幸せな人を見た時に、良いなぁと憧れたり、羨望するのは自然なことです。その憧れる力は、理想を描いて頑張る力になります。しかし、自分は頑張らずに相手の引きずり降ろそうというずるい心を嫉妬や妬みと言います。

 ここまで読んでもらえると、人生うまく行かない時に他人を傷つけようとする人の心のプロセスが分かってきてもらえたのではないでしょうか。

 自分はもっと評価されるべきなのにという高すぎるプライドが、他人への嫉妬や妬みとなります。そして、自分が認められたい、褒められたい、愛されたいと常に自分のことしか頭にないので、人の痛みの想像ができません。自分が苦しんでいるのだから、他の奴らも同じように苦しめばいいとやつあたりをして憂さ晴らしをします。自己評価が高いので、自分はそれくらいしても良いだろうとさえ思っています。そして、わざわざ話題性の高いやり方をする人は自分がどれだけ苦しんでいるのかを知ってもらいたいという承認欲求の現れですらあります。

 高すぎるプライドはその人の人生どころか、周りの人の人生すら蝕みます。そして、これは、いじめ、いびり、ハラスメント、色々な事件という形で日本を蝕んでいると言えるでしょう。

 どうしてこんな風な心理になってしまうのでしょうか。親の育て方でしょうか。それとも本人の問題でしょうか。

 結論から言えば原因は一つに絞れません。

 次回はなぜプライドが高くなりすぎるのか、について解説していきます。


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