“食事をむやみに制限すればするほど太っていく!”悪循環
あなたが、この記事を読んでいるということは、何らかの食べ物を控えているのではないでしょうか。それは、ラーメン、ドーナッツ、ケーキ、揚げ物といった高カロリー食品であることが多いかと思います。
でぶざらし 「いや、私はそんなに控えてないよ!」
Dr Neco 「という人でも、食べた後に「食べちゃったなぁ…」と、少しでも罪悪感があれば、それは心の中で制限をかけていることになります」
でぶざらし 、でぶねこ 「そ、そうなの?!」
Dr Neco 「食べ物を制限することで、あなたがそれを食べられ機会は減ることになります。つまり、制限した食べ物の希少性(ゲームなどで言う「レア度」です)が上がり、その分価値をより多く感じるようになってしまいます制限することで、それをもっと欲しくなってしまうのです。回数を制限されると人間がますますのめりこんでいく例としては、4年に一回のオリンピック、期間限定の商品、確率1%以下のスマホゲームのウルトラレアなアイテムなど、枚挙に暇がありません」
でぶざらし 「先生オタクじゃない?」
禁止されると余計に燃え上がる人間の本能
ポテトチップスや清涼飲料水は体に悪いので控えなさいと言われてきた人も多いと思いますが、その人達の多くにとってはポテトチップスや清涼飲料水は禁じられるがために、希少性の高い、まさに甘美の味となっているので、ますます求めてしまい、歯止めが効かぬ対象になります。逆に、健康に良いから、どんどん飲みなさいと勧められる青汁や野菜ジュースにはそれほど魅力がなく、飲み始めると止まらなくなるという人がいるとは聞いたことがありません。制限されると逆にもっと欲しくなるという現象は、反対されている恋愛(!)によく似ています。高校教師と生徒との恋愛など、付き合てはいけない、別れたほうが良いと言われれば言われるほど、恋愛は燃え上がると言いますよね。(あなたはそうでもないですか?)同様に、制限されるとその食べ物に余計に恋焦がれてしまうのです。
食べないと出てくる「食欲ホルモン」グレリン
食べ物を制限することで生じるのは、その様な心理的な問題だけではありません。極端な食事制限をすると、身体は飢餓状態となります。飢餓状態になると胃からグレリンというホルモンが放出されます。グレリンは、生物学的な危機から抜け出すために、「食べなさい」と命じる信号を出し、脳に作用することが分かっています。そのため、人間は絶食をすると、その反動で、必ず食べてしまうのです。極端な食事制限の後にリバウンドするのはある意味自然現象と言えるでしょう。繰り返しますが、あなたの弱さのせいではないのです。
メンタルに頼ることの限界
1週間寝ずに起きていられないことや、トイレを1日我慢できないことなどと同様、食べるという生理反応を抑え込もうとすることが、そもそも不自然と言えます。1週間起きていようと頑張っていても、睡魔に耐えきれず3日目に寝てしまった人に、「努力・根性が足りない」、「メンタルが弱い」「自制心がない」と思う人はいないと思います。むしろ、「人間だからそれは無理だよ」と声をかけてあげるのではないでしょうか。しかし、食欲の話になると、途端に、その人個人の問題にされてしまいがちです。確かに、食事制限で減量に成功している人達もいます。その一部の人達にはそれは合っている方法なのかもしれません。一方で、もしそれが一般な人達にとって本当に自然な方法なのであれば、BMI25以上の「肥満」の人が、日本で男性の29%、女性の21%と実に高い割合を占めるでしょうか。ちなみにアメリカでは、BMI25以上の人は65%を占めるので、もはや標準体型の人の方が少数派です。そのため、食事制限はごく一部の人達に有効な、特別な方法と考えた方が妥当だと思います。
食事制限はどうすれば制限がうまくいくかは教えてくれない
食事制限によるダイエットは、何を制限したら良いのかは教えくれますが、どうすれば上手に我慢できるかは、「強い気持ちを持って」「鋼の意志で乗り越える」「頑張れ」などと抽象的なことしか言ってくれません。「強い気持ち」やら「鋼の意志」があるなら、そもそもアドバイスなんかなくても、とっくにダイエットに成功しています。何についてもですが、抽象的なアドバイスばかりで、具体性がない人は、実現可能なアドバイスできないことをごまかしていることが多いので注意が必要です。そういう人に「具体的にはどうしたらいいですか」と聞くと、答えられないので困って怒り出すか、「それを考えるのが君の仕事だよ」などと、意味深にこちらの責任にしてきたりするものです。浅いコメントを言いっぱなしで、反論されるタイミングも残さないコメンテーターをよくニュースで見かけますが、彼らと同じです。
人間は理屈だけでは動けない
一部のストイックな人達を除いた大部分の人達にとっては「分かっちゃいるけど辞められない」というのが本音だと思います。私達はロボットではなく、人間なので、「食べすぎは体に悪いから摂取カロリーは1600kcalにしなさい」「糖尿病になるから糖質は減らして、野菜を食べなさい」などといった理屈で我慢をするように言われても、なかなか気持ちがついていきません。子供のときに「夏休みの宿題は早めにやってしまった方が、気持ちが楽になるから、さっさとやってしまいなさい」と言われて、どれだけの人が出来たでしょうか。人間は理性的な一面もありますが、人間も自然界の生き物であり、動物なので、本能や感情があります。理論や理屈だけでは動けないのです。
“食事をむやみに制限すればするほど太っていく!”悪循環
私にとっては、「食欲」はまるで「川の水」のように感じられました。川に流れてくる水量は日々違いますが、必ず水は流れてきて、無理にせき止めようとしても脇から漏れ出してしまい、水圧に耐えきれずにせき止めるのをやめると、その分溜まっていた水が一気に押し寄せてきてしまうものです。同様に、食欲も、毎日強さは違えど、必ず出てきて、無理に食べないようにしても、その後我慢しきれずまた食べてしまえば、それまで我慢していた分も反動で余計に食べてしまいます。そして、そんなことをしてしまった自分を責めて、「自分はダメなんだ」と自信を失い、結局は食べているのにストレスは増々溜まっていく一方です。そうなると次第に、ダイエットに嫌気が差して、自暴自棄となり、以前の食生活に戻り、しばらくすると「また痩せきゃ」と焦ってダイエットを始めるという、まさに、食事を制限すればするほど太っていく悪循環です。マインドフルダイエットでは、自然に逆らうような我慢や無理はせずに、食べたいものをお腹が適度に満たされるまで食べるということを大切にします。
でぶねこ 「食べたいものをお腹が満たされるまで食べたから太ったんだよ。そんなことしても何も変わらないんじゃ?」
でぶざらし 「うん、そんなことをしたら体壊すよね」
Dr Neco 「「大丈夫。まずは次の章で、『私達は本当に好きなものを好きだけ食べているのか?』ということを一緒に考えていきましょう」
でぶねこ 、でぶざらし 「えっ、そこが違うの?」
気になる続きは第1巻をご覧ください