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私が20㎏痩せた理由、それは…

  私はこのマインドフルダイエットを始めて1年半で20㎏体重が減りました。
それまでもいわゆるダイエットはしていて、なるべく炭水化物や脂ものを取らないように心がけたり、野菜をまず先に食べたり、間食をやめたりなど頑張ってはいましたが、全く続きませんでした。気が付けば、体重は90㎏を超えており、健康診断では肝機能異常を指摘されていました。
 体重が増えたきっかけは社会人になり、仕事を始めたことでした。比較的自由な学生生活から、社会に出ると、働き疲れることはもちろんある他、「我慢」が必要なことが増え、言いたいことや、やりたいことを押さえ込む場面が溢れるようになりました。そんな日々の中で、一番簡単に自分を解放できたのが、食事だったのです。

ストレス食いの日々

 朝や昼は忙しく、ご飯をかきこむか、ほとんど食べずに済ましていました。仕事が終わり、疲労困憊で職場から出る頃には、空腹感はマックスで、中華料理屋に直行、席に着くなり、日中の鬱憤を晴らすようにラーメン、炒飯、唐揚げと矢継ぎ早に注文し、流し込むようなスピードでがっついていました。次から次へと口の中に食べ物を入れると、口の中を食べ物で一杯にしたり、熱いままの食べ物を飲み込んだりすることになり、それらが何だか快感でした。仕事だけで一日が終わってしまうとつまらないような虚しいような気持ちがして、何か楽しいこと、スッキリすることが欲しくて、その様な食べ方をしていたのだと思います。早く家に帰って、風呂に入ったり、テレビを見たり、寝たりもしたかったので、食事に5分もかけずに店を出ていました。「食べすぎちゃったかな」「体に悪いものを食べちゃったな」と悪いことをしている様な気持ちも抱いていたので、脂肪の吸収を抑える等と謳っているトクホのお茶を飲んで罪悪感を紛らわそうとする日々でした。

失敗続きの食事制限

 日々立派になっていくお腹を眺めながら、流石にこのままだとまずいかなと危機感を覚え、脂ものを控えたり、普通の麺ではなく糖質の少ない麺にしたり、白米を玄米にしたり、ご飯を小盛りにしたり、ケーキや饅頭、ポテトチップスといった菓子類を我慢したりと試してはみました。しかし、「量が少ない」「味が美味しくない」などといった欲求不満が募り、我慢したその日の夜中には小腹が空き、「ちょっとだけならいいだろう」と食べ始めたポテトチップスを結局、一袋食べきってしまう。そんな残念な生活を送っていました。
 失敗ばかりが続くと、自己嫌悪し、投げやりになり、そんな中「大盛無料」と言われると、再び大盛を頼んでしまい、ドカ食い生活に戻るという悪循環を漠然と繰り返していました。
 振り返ってみれば、本当にひどい食生活でした。「そんなの、痩せるための努力をしたことにならないよ」と思われてしまうかもしれません。けれども、ケーキを禁止したり、極力間食を減らしたり、突発的に運動してみたりと自分なりにやってはいたのです。ただ、数々のダイエット法に対して本音では、「普段の生活でただでさえ疲れているのに、そんなに我慢したり、新しく運動を始めたりなんてできないよ、勘弁してくれ!」思っていました。まさに「分かっちゃいるけどやめられない」状態だったのです。

邪魔してくる周りの人達:フードハラスメント

 また、私は明らかに健康を害する程の肥満だったのですが、「そんなに太ってないじゃん。」「少しふくよかな方が威厳がでるよ」等と肥満を肯定してくる人達もたくさんいるのです。そういう人達は、私が食事制限をしていると分かると、たいてい「まあまあ今日はいいじゃないか」「ちょっと元気ないんじゃない。食べないと元気でないよ」と美味しそうな食事を勧めてきました。まるで、私の食事制限が失敗することを願い、誘惑してきているのではないかと疑われるような人も多かったのです。人々がそんな言動をとる理由は、他人が誘惑に負けるさまを見て、「皆欲には勝てないのだ」と思って安心するからなのかもしれません。「せっかく痩せようと頑張っているのに、誘惑してくるなよ!」とやや怒りを覚えたものの、「結局食べてしまう自分が悪い」と落ち込み、さらに自信を失っていきました

体重が減らないのは精神力や忍耐力の問題ではない

 このようなパターンに、皆さんにも多少は身に覚えがあるのではないでしょうか。そんな私の食生活の転機は、マインドフルネスとの出会いによってもたらされました。
 精神科医の私には、力動的精神療法、認知行動療法、対人関係療法、森田療法…(もちろん皆さんは覚えなくて大丈夫です)などの様々な精神療法(心理療法)に触れる機会があり、マインドフルネスはその中の一つでした。マインドフルネスを学ぶ中で、自分の体重が減らないのは、自分のやり方に問題があり、自分の精神力や忍耐力の問題ではないと気づき、無理や我慢をしない自然な食べ方をするようになってから、私の体重は1年半で20㎏減少し、体内年齢は10歳分若返り、BMIは27から21へと改善したのです。
 実際に今も私が続けている工夫を含めて、全てご紹介したいと思いますが、一番大きなポイントは、食事制限という無謀な試みに挑んでいること自体が肥満足らしめているということに気づき、「肥満=自己管理できてない、だらしない」という思い込みがなくなったことだと思います。早速、まずは、なぜ食事制限はうまくいかないのかということについて話していきます。

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