20200508 No7 検査結果否認ケースの顛末:求められる積み重ね
本日は高速にて郊外の大学病院を訪れて、COVID19隔離病棟を視察するはずが、到着してからうまく連絡がとれていないことが判明。まあ、しょうがない(表紙は道中の車窓から)。先日のオンライン会議も1時間待ったが、参加者の半分も集まらず、延期に。予定の会議時間は、ただ待つだけで終わった。
このように書くと、アフリカだねと、途上国は適当だねと言われかねない。基本的に、国連職員として来てるので、現地のやり方に従うスタンスでいる。しかし、このような小さいことの積み重ねが、システムは良くも悪くもできると思う。
さて、記念すべきNo1エントリーとなった、検査結果否認ケースのその後について、差し支えない範囲で書きたい。
要約:保健センターの清掃係の女性(Aさん)が、医療者対象のスクリーニングにて陽性となった。Aさんに結果を伝えに行ったが、本人と旦那さんには、検査結果については納得してもらえなかった。理由は、他の医療者が陰性で、清掃係のAさんだけが陽性なのは理解できないと。そして、別日に検査したAさんの娘さんの結果も共有してくれないと、今後の話し合いには応じないと。
結果:娘さん、およびAさんは陰性
何故か、Aさんは娘さんの検査時に、二回目の検体採取をされていたのだ。恐らく特別な理由はない。(これが、よろしくなかった。。。)
最初の検査で陽性
→(1-2日後に採取された)二回目の検査にて陰性となったのだ。
この事象に対しては、以下が考えられる。
1.感染していたが、ウイルスが排除された
2.2回目が偽陰性 (または検体採取不良)
2の可能性もあるが、対策チームでは1と断定して、親子ともに隔離対象とはならなかった。また、旦那さんにも検査を行わなかった。
問題点
1.検査関連
A:PCR検査の感度の問題→これは普遍的なので、しょうがない
B:なぜAさんに二回目の検査をしたのか→これは公衆衛生側でのHandlingの問題である
C:検査結果に対する信頼損失→Aさんが保健センター等で、経緯を伝えれば、医療者を中心にCommunityで保健行政への不信感が拡がりかねない
2.Communication
A:旦那さんは、community transmissionを理解できず、院内感染だと思いこんでおり、清掃員のAさんだけがかかることに強い不信感を抱いていた(弱い立場の彼女をScapegoatにしていると)→感染症とは一般市民からは、理解しづらい側面があるので、sensitizationという啓発教育は必須だ
B:地元の教会のPastorによる介入で、二回目の結果の説明時に、Aさん夫婦は納得してくれたと→改めて、宗教伝統コミュニティの役割を認識
教訓 Lesson Learned
1.検査の仕方:検査の対象を明確に、検体採取は熟練した人が、すべき。(検査の性質についても日本の病院等では説明できるのだろうが、ここではエッセンスだけを抽出して啓発内容に組み込むことはできないか。「一度、陰性が出ても、感染していない、またはこれからもしないということには、なりません」とか)
2.啓発教育Sensitization:Community Transmissionがあることを説明、理解してもらう。可能なら、感染拡大する前、世間が慌てだす前に、実施しておきたいが、危機感がないのでなかなか行われず(国際機関で適材適所に活動すべき、Advocacyが得意な組織はある)
3.根本的信頼の欠如:既存のシステムの中に信頼される人がいない場合は、(その場しのぎではあるが)有力者や宗教家というEducatedな人を巻き込むしかない
このような事象だけで、アフリカや途上国の揚げ足をとるのではなくて、国際社会として機能するモデルを構築して、先進国や国際機関はその実施の支援にあたって欲しい。同時に、アフリカ側には、小さいことを積み上げていく習慣を、意識してほしい。
写経 Day2 (wk1) 体重 75㎏
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