医療現場でロジカルに話すこと

こんにちは、臨床医の森下(仮)です。

前回、キシがロジカルシンキングについて記事にしてくれました。

個人的には誰もができることだけど、続けることができないことの1つと思っています。ロジカルに考え続けることは、常に脳に負担がかかりしんどいものです。

ドラゴンボールの界王星ではありませんが、そのような環境に耐えることができれば次第に慣れてきます。

今回は医療現場とロジカルシンキングについてお話します。

1. 当たり前ですが当たり前のように使っています

そのままです。

臨床所見、検査結果から論理的に導き出される疾患を鑑別して診断する。

医師の業務はすべてロジカルシンキングに根差しています。

しかし、医学生時代をいくら思い出しても「ロジカルシンキング」という名目で学習したことは一度もありません。

おそらく医師国家試験を通じて自然に学んだのだと思います。
そう考えると医師国家試験は本当によくできていたと思います。
学生のときは控えめに言ってクソだと思っていましたが、当時の自分は何も知らなかったと言えます。

2. ロジカルシンキングはすべてに使える万能なツールか

少なくとも多くの場面に使えますが、使ってはいけない場面もあります。

それは、患者への病状説明時です。

冒頭でも述べたようにロジカルシンキングは誰もができます。
共通言語のようなものなので分かりやすく早く伝わります。

ロジカルシンキングを活用して内容を簡潔かつ分かりやすい状態にして伝えるから早く誤解なく伝わる。

しかし、受け入れる準備が整っていない状況では早く伝わりすぎて混乱を招きます。

癌の告知を想像してもらえれば分かりやすいと思います。

検査の結果からあなたは〇〇癌と診断できる。
〇〇癌の治療には△△があって、あと□年生きられる。

これだけ伝えるなら1分も要りません。

しかし、実際はゆっくり時間をかけて説明を行います。

ロジカルシンキングは事実を客観的に捉え、事実同士をつなぐ行為と言えます。

そのつなぐ行為のなかに受け入れる側の気持ちを考慮すれば、ゆっくりと段階を得て一つ一つをつなぐこととなります。

ロジカルシンキングと聞くとどこか無味乾燥な印象があって告知の現場にそぐわない様に思えますが実際はそうではありません。

難しいことを伝える、これを課題とみれば十分に使うことができます。

ロジカルシンキングをベースとすることで様々なことに対応することが可能となります。そういった意味で万能なのかもしれません。




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