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自由研究には向かない殺人 ホリー・ジャクソン著

【あらすじ】
平和なイギリスの田舎街。この街では5年前、少女失踪事件が起き、犯人自殺で終了していた。犯人とされる少年、サルの家族は街全体から後ろ指を刺され、時が止まったように生きていた。
主人公ピップは17歳、女子高生。サルの無実を証明するため、自由研究と銘打ち真相究明に向かい突き進む。「彼が殺人犯でないと証明する。それが私の自由研究。」

【感想】
🌸ピップはSNSや地道なインタビュー駆使して調査。ピップと共に調査している気分になれるが前半の情報収集は少し退屈気味。文化の違いもあり、イメージしにくい箇所もあった。
しかし、謎が解明されていくにつれ、どんどん引き込まれていった。

🌸ピップのキャラクターが良い。
17歳と言えばファッションに恋愛に興味関心を全振りする年頃だろうが、彼女の関心は彼女のヒーローであった、サルの汚名を晴らすこと。知的で優等生、冷静さを持ちつつも、友人や家族思いの優しい子。
親しい人に真相を聞きにいく時のシーンは彼女の葛藤をうまく表現している。
引用「『なにかやむにやまれぬ理由があったのかもしれないと思いながらここに来た』声が震えるのを抑えられない」
真実が彼女に重くのしかかる。
こんなもの、女子高生が抱えられるものではない。何度も、「もう、いいよ!後は大人に任せなよ…」と思ったことか。
イギリスだけでなく、どこでもある差別、偏見とぶつかり、共存してきた彼女が問う、世間への言葉が響くことを願った。

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