
「余り」の周期性(浅野中2023)
ある数XをY個かけ合わせた数を(X, Y)と表すことにします。
例えば、(2, 3)=2×2×2=8、(3, 4)=3×3×3×3=81となります。ただし、(X, 1)=Xとします。
このとき、次の問いに答えなさい。
⑴(2, A)が7で割って2余るとき、Aにあてはまる整数は1から100までの中に全部で何個ありますか。
⑵(3, B)が7で割って5余るとき、Bにあてはまる整数は1から100までの中に全部で何個ありますか。
⑶(2, C)+(3, D)が7で割り切れるとき、CとDにあてはまる整数の組の選び方は全部で何通りありますか。ただし、C, Dは1から100までの整数とします。
整数Aを整数Bで割ったときの商と余りには次の関係が成り立ちます。
A=(商)×B+(余り)
ただし、余りはBより小さい整数
小学生はこのことを、◯ △/Bという帯分数を、A/Bという仮分数に書き換えるときに自然と実感しているはずです。
◯ △/B=(◯×B+△)/B
商と余りについてのこの基本的な考えをしっかり理解しておくと、今回の問題は快適に解くことができます。
(解)
⑴
7で割った整数は
(商)×7+(余り)
(余りは7より小さい整数)
という形で表される。すると、
(2, 1)=0×7+2
(2, 2)=(2, 1)×2
=0×7+4
(2, 3)=(2, 2)×2
=0×7+8
=1×7+1
※8は7より大きいので、さらに7で割った。
(2, 4) =(2, 3)×2
=2×7+2
(2, 4)の余りが(2, 1)の余りと等しくなったので、これ以降は再び(2, 1)〜(2, 3)の余りをくり返す。
つまり、(2, A)を7で割ったときの余りは、
2, 4, 1, / 2, 4, 1, / 2, 4, 1, /……
という周期性をもつ。
(2, 1)〜(2, 100)までに、この周期は
100÷3=33•••1
より、33回繰り返し、最後の(2, 100)の余りは2になる。
よって、(2, 1)〜(2, 100)のうち、7で割って2余る整数は33+1=34(個)ある。
⑵
⑴と同様にして、今度は(3, B)を7で割ったときの、余りだけに注目して周期性を調べると、
(3, 1)→3余り
(3, 2)→3×3=9→2余り
(3, 3)→2×3=6余り
(3, 4)→6×3=18→4余り
(3, 5)→4×3=12→5余り
(3, 6)→5×3=15→1余り
(3, 7)→1×3=3余り
(3, 7)の余りが(3, 1)の余りと等しくなったので、これ以降は再び(3, 1)〜(3, 6)の余りをくり返す。
つまり、(3, B)を7で割ったときの余りは、
3, 2, 6, 4, 5, 1, / 3, 2, 6, 4, 5, 1, / 3, 2, ……
という周期性をもつ。
(3, 1)〜(3, 100)までに、この周期は
100÷6=16•••4
より、16回繰り返し、(3, 97), (3, 98), (3, 99), (3, 100)の余りはそれぞれ3, 2, 6, 4となる。
よって、(3, 1)〜(3, 100)のうち、7で割って5余る整数は16個ある。
⑶
(2, C)を7で割ったときの商を◯、余りをアとし、(3, D)を7で割ったときの商を△、余りをイとすると、
(2, C)+(3, D)
=◯×7+ア+△×7+イ
=(◯+△)×7+(ア+イ)
と表されることから、(2, C)+(3, D)が7で割り切れるとき、余りの和(ア+イ)も7で割り切れる。
そのような余りの組み合わせ〈ア, イ〉は、⑴⑵より、
〈2, 5〉, 〈4, 3〉, 〈1, 6〉
〈2, 5〉となるC, Dの組み合わせは
34×16=544(通り)、
〈4, 3〉となるC, Dの組み合わせは
33×17=576(通り)、
〈1, 6〉となるC, Dの組み合わせは
33×17=576(通り)
よって、全部で544+576+576=1666(通り)。(終)

=(◯+△)×7+(ア+イ)
ひとこと
この問題は、
2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512, 1024, …….
という、初項が2、公比が2の等比数列に対して、各項を7で割ったときの余りを考えるものです。すると、この等比数列に対して、次の「余りの数列」が対応することがわかったのでした。
2, 4, 1, 2, 4, 1, 2, 4, 1, 2, …….
この「余りの数列」には、元の上の等比数列とちがって周期性がある、ということが重要で、浅野中による本問は、この余りについての本質的な事実を実感的に理解する、よい機会を与えてくれます。
実は、今回の等比数列のように、明確な規則をもった数列の各項を整数で割ったときの余りには周期性がある、ということが一般に言えます。例えば有名なフィボナッチ数列で試してみると、面白い性質を発見できます。
ただ、そのような一般の数列に対して余りの周期性が成り立つ理由を小学生が理解するのはとても難しいので、まずは今回のような具体的な問題を通じて、手を動かしながらフムフムと納得する経験をたくさん積んでおくとよいです。そうして君は一歩一歩と、めくるめく「数学」の世界に近づいています。