夢見る円盤

中学受験の算数・国語を専門に塾講師業をしています。こちらでは、中学受験算数の入試問題で気に入ったものを解説しています。

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最近の記事

単位長さあたりの重さ(24開成中)

 今年(2024年)の開成中の大問1小問2で出題された問題です。 一見すると条件がややこしくて難しそうですが、「単位量あたりの大きさ」の考え方を十分に理解している人にとっては易々と解けてしまう、いわば「易しい難問」であったと思います。開成中のような最上位校をねらっていない子でも、5年生以上の多くの小学生にぜひチャレンジしてほしい一題です。 (解)  金属棒を左端から同じ長さだけ切り取ったとき、切り取る部分の重さが等しくなるのが34.5㎝のときだけであったということは、上

    • 正統的な消去算の問題2題(23江戸女&23洗足学園中)

       2024年1本目として、今回はスタンダードな消去算の問題を選びました。消去算(特にここでは加減法)とは、異なる2つ(ないし3つ以上)の数量が与えられたときに、どちらか一方の個数をそろえて引き算によって消去することで、その差から他方の数量の大きさを求める問題です。その際に、最初は線分図を使って図形的に理解してもよいですし、もう少し進んで、かけ算の式変形として理解してもよいです。さらに、割合と比の考えを本格的に導入すれば、1個あたりの数量を①などとおくことで、より立式がスマート

      • さいころの目の組み合わせ(早稲田実業中2023)

         さいころの作り方によって、勝つ場合の数をコントロールする問題です。難関校の問題には、このように「望みの結果を得られるように設定を操作する問題」がしばしば出題され、やや混みいった条件整理を要求されることがあります。  この場合の数の問題は、ただやみくもにパターンを書き出しても、自信のもてる解答は導きだせないでしょう。文字を使った式によって、場合わけと条件整理をいかに手際よく行えるかが鍵です。そのため、小学生には、文字を使った式の扱いに慣れていないとあまり楽しめないかもしれませ

        • たかが食塩水(芝中2023)

           多くの中学受験生は、5年生の夏頃から少しずつ比の考えを教わっていくと思います。すると、これまでに考えてきた問題を、比の考えによってとらえ直し、より大胆に発想のジャンプができるようになります。食塩水の問題はその代表的なものの1つです。  比の考えを食塩水の問題に応用するときに前提となるのは、複数の食塩水を「混ぜる」とは、それらに含まれている食塩の質量を合わせて「平らにならす」(=平均する)ことである、という考え方です。そして、これを図形的に認識する道具が面積図です(てんびん図

          されど食塩水(東大寺学園中2023)

           食塩水の問題としてはかなり重厚です。決して生易しい問題ではありませんが、これまでに食塩水の問題を通して考えてきたことを総動員して、ぜひ勇気をもってチャレンジしてみてください。  もし食塩水の基本(特に「比」「平均」との関係)の理解に自信がない子は、まずはこちらの問題に取り組んでみてください。 (解) ⑴ ②→③の操作で水そうの食塩水の濃度が高くなったので、②で、Aの食塩水の濃度は水そうの食塩水の濃度より高い。 これより、面積図を描く。 アとイの長方形のタテの長さの比は

          されど食塩水(東大寺学園中2023)

          フィボナッチ数列の1の位の周期性(渋幕中2023)

           これは中学受験生にとってはなじみのある数の並び(数列)ですが、今回はできるだけ予備知識なしで、ぜひとも「発見の喜び」を感じてほしいと思います。⑵は、入試本番の制限時間内で手際よく解くのはなかなかハードルが高いですが、時間を気にせずていねいに取り組めば、きっと解答の糸口をつかめるはずです。がんばってください。 (解) ⑴a=1のときの数の並びを順番に書き出すと、    0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 3, 1, 4, 5, 9, 4, 3, 7, 0, 7, 7,

          フィボナッチ数列の1の位の周期性(渋幕中2023)

          時計算という芸術(聖光学院中2023)

           月は約30日で地球の周りを1周することから、月の満ち欠けも約30日の周期でくり返します。すると、月は1年間で(360割る30で)およそ12回の満ち欠けをくり返すことになります。これが1年=12ヶ月であることの由来だと言われています。以来、「12」という数は古代の人々にとって特別な意味を持つものとなり、地球が1周自転するのにかかる時間を「1日」とし、それを昼と夜それぞれで12等分、合わせて24等分することにより、1日=24時間(12×2時間)という決まりが生まれたようです。

          時計算という芸術(聖光学院中2023)

          「ウサギとカメ」の旅人算(開成中2023)

           少し大げさに言えば、旅人算とは、複数の登場人物が、たがいに異なる速さで、ある道のりを動くときの、「速さ」「道のり」「時間」についてのドラマを追いかける問題です。そこで、旅人算を考えるときには、線分図を書くにせよ、ダイヤグラムを書くにせよ、物語文を読むときと同じように、時点ごとに場面分けをすることが肝心となります。  開成中によるこのフレッシュな問題は、「ウサギとカメ」という、私たちにとっておなじみの童話を旅人算の舞台とすることで、旅人算にそなわるドラマ性を実感できるものにな

          「ウサギとカメ」の旅人算(開成中2023)

          「余り」の周期性(浅野中2023)

           整数Aを整数Bで割ったときの商と余りには次の関係が成り立ちます。       A=(商)×B+(余り)    ただし、余りはBより小さい整数 小学生はこのことを、◯ △/Bという帯分数を、A/Bという仮分数に書き換えるときに自然と実感しているはずです。        ◯ △/B=(◯×B+△)/B 商と余りについてのこの基本的な考えをしっかり理解しておくと、今回の問題は快適に解くことができます。 (解) ⑴  7で割った整数は      (商)×7+(余り)   

          「余り」の周期性(浅野中2023)

          素因数分解と最小公倍数(江戸川女子中2023)

           最小公倍数を素因数分解によって求めるときの仕組みを正しく理解しているかどうかを測れる良問です。 (解) ⑴  1〜6までの整数をそれぞれ素因数分解する。ただし、1は素数を約数に持たないため省く。     2=2     3=  3     4=2  ×2     5=      5     6=2 × 3    (見易さのために共通する素因数は縦にそろえた) よって、【6】=2×3×2×5=60. ⑵   ⑴での実験から、【A】を素因数分解したときの各素数の掛け合わさ

          素因数分解と最小公倍数(江戸川女子中2023)