#167 ウォーターボーイズ(2003)-20年後にして分かるキャスティングの凄さ
TVer 紹介文
2001年の夏。映画「ウォーターボーイズ」で、水中で踊るのは女だけの特権という常識を覆して、5人の高校生がチャレンジしたのは、なんと“男のシンクロ”。彼らの熱意は、やがて多くの人の心を動かし、街に爽やかな感動を呼び起こしました。あれから2年―。この物語は、彼らの熱意を受け継いだ後輩たちの楽しく爽やか、しかも切なくて、ちょっぴりキュートな青春を描いていくドラマ。
新規性はもちろん素晴らしかった
当時、日本女子のお家芸だったシンクロナイズドスイミング(現在はアーティスティックスイミング)に賭ける男子高校生の情熱、恋愛、人間関係を描いた切なくて熱い青春ドラマ。共感できる心理描写が多いうえ、街中が演舞に熱狂する姿、とりわけ、難度の高い技を成功させたラストシーンには思わず拍手してしまった。プール独特の塩素のにおいがお茶の間に漂ってくるようなリアルがあった。
2003年にして日本を代表する役者がズラリ
本音を言い出せないヘタレの主役・進藤勘九郎に山田孝之。父親の支配から逃れられない、勘九郎の親友・立松憲男に森山未來。ガリ勉でもてないナルシストに永山瑛太。当時それぞれが役者として頭角を現し始めていたとはいえ、この3人をドラマの核として起用した製作スタッフの目利きに乾杯。若くして存在感を溢れさせる3人のシンクロを見られるだけで貴重。
さらにもうふたり
2003年のオンエア時は気づかなかった売れっ子役者がふたり。それが田中圭と星野源。田中圭は勘九郎の親友役だが、スイミングにも受験勉強にも専念できない優柔不断なチョイ役。星野源に至っては、丸刈り&ゴーグル装着のうえ、セリフがほぼゼロだったため、認識すらできない。そういう意味で、ドラマ内に加え、エンドロールで名前を見つけること自体が楽しみだった。
夏の終わりを感じさせる楽曲
エンドロールとともに流れるのが「虹」(福山雅治)。シンクロナイズドスイミングに賭ける高校生の情緒が見事に形容されていた。「このまま終わらないでくれー」と叫んでしまうような余韻の深い楽曲だった。