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#165 島根マルチバース伝(2024)-地方で生きる人々へのエール

NHKオンデマンド紹介文

門脇ひかり(桜庭ななみ)は、かつて高校演劇で神童と呼ばれ、女優になることを夢みていたが、今では地元・島根でアルバイトをしながら、「自分が輝けないのは島根にいるせいだ!」と愚痴をこぼしながら過ごしていた。そんなある日、ふと立ち寄ったバーの店主(佐野史郎)から、「あなたが輝くはずだった人生を見てみますか?」と不思議な提案を受けて…。島根の風景満載!地方で生きる全ての人へエールを贈る物語。

郷愁が込み上げる

3月にBSで放映されていたらしい。ザテレビジョンで6月22日放映予定が紹介されており、何となく気になって、即録画し、当日同時に視聴した。なんだろう、この感覚。ドラマの前半で「なにもない」という表現が多用されるが、緩やかに流れる時間感覚が心地よく、田舎へのコンプレックスを感じることはなかった。島根県出身の方でなくとも、故郷で生きることへの郷愁が込み上げる良作だった。

著名な出演者はこのおふたりくらいかな?

よくあるパターンだが、あまり見ないパターン

謎の店主(佐野史郎)の導きで、何度もタイムリープを繰り返す門脇ひかり(桜庭ななみ)。最近のドラマでよく見るパターンだが、何度選択肢を選び直しても、ひかりが辿り着くのは常に冴えない近未来。しかし、なにも改善されない未来を見つめ直すことで、今をしっかり生きようと決意する。劇中で発せられる「今いる場所でしっかり生きていこう」(だったかな?)は結構刺さった。このあたりは、自然な演技力で鳴る桜庭さんならでは。

経費を抑えたタイムリープシーン

島根が首都に!?

タイムリープ中、一瞬、島根に首都が遷都され、東京タワーならぬ島根タワーが登場する。もちろんこれは空想の世界だが、ドラマのラストでは、演技力を認められ、東京公演を要望されたひかりが脚本家の肩を抱き、それならむしろあなたたちが島根に赴くべきだと宣言する。このあたりにも都会との比較を卑下することなく、地元で楽しく生きていこうという主張が示唆されていた。何とも明るい終わり方だった。

桜庭さん(左)の表情の変化も見もの

ロケも島根、登場人物も島根

桜庭さんや佐野さん以外の出演者はほぼ島根県出身で固められていた。三刀屋高校の演劇部の方や地元の市民劇団の方が、ロケ地の島根で、自然な方言で自然に演技されていたため、島根感が満載だった。終盤ちょい役で主演されたネルソンズの和田まんじゅうさんと青山フォール勝ちさんも島根県出身で、まさに島根づくし。郷愁たっぷりのドラマだった。録画したのにオンタイムで見てしまったので、もう一回見てみようと思う。

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