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#156 女王の教室(2005)-教員としての資質を高めたければ、このドラマを視聴せよ
TVer 紹介文
彼女はただの暴君なのか、それとも “病める学校” を救う平成のジャンヌ・ダルクなのか? ―日本テレビ系で2005年7~9月にかけて放送された『女王の教室』は、前代未聞の異色教師、それも “連続ドラマ史上最悪の主人公女教師” を天海祐希が演じ、さまざまな波紋を投げかけた話題のドラマです。学級崩壊、校内暴力などの問題で学校の危機が囁かれる昨今、天海祐希扮する阿久津真矢は、成績で生徒を差別し、教え子たちの秘密を握り、親まで手なずけ…と冷酷な鬼教師ぶりを発揮。そんな教師像に対して、視聴者から賛否両論、さまざまな意見が寄せられ、大きな関心を呼ぶドラマとなりました。しかし、この物語のテーマは「子供の成長」。逆境に立ち向かい、クラスが一つにまとまり、生徒たちは次第に自信とたくましさを身につけるようになっていきます。そんな前向きな展開と歩調を合わせるように、終盤に向かって視聴率も上昇の一途。最終回ではついに25%を超える人気を獲得しました。鬼教師に敢然と立ち向かう24人の生徒たちの奮闘ぶりとも併せ、見どころの多いドラマです。
仰る通り!
この物語のテーマは「子供の成長」ーまさにその通り。前半部にも見どころはあるが、阿久津真矢(天海祐希)の無表情かつ高圧的なスタンスが薄気味悪いうえに、小学生同士のいじめの連鎖、大人の無関心さが絡み合い、視聴断念の強迫観念に襲われる。中盤以降、児童を成長させたいという阿久津の意図が明確になるが、主人公の人格を崩壊させたがる脚本家・遊川和彦の悪いクセがヒートアップするため、「親が子供に見せたくない」シーンが連続する。一方、終盤3話を残すあたりから「感動」と「感銘」の予感が猛烈に押し寄せ、視聴者全員、画面にくぎ付けになる。たとえは悪いが、カルト宗教の教祖に洗脳されているような感覚を覚える。
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このドラマの主人公は阿久津真矢なのか?
否、小学6年生・神田和美(志田未来)である。このドラマは彼女にとって民放ドラマ初レギュラーの作品となるが、笑顔を絶やすことなく、阿久津に敢然と立ち向かう姿、いじめっ子を傷つけることなくいじめと対峙する毅然とした姿、最終的にクラスをまとめ上げる凛とした姿が視聴者の心を鷲掴みにした。そして、苦境を乗り越える13歳を演じ切ったことが「14歳の母」や「秘密」での主演に繋がり、名俳優陣を脇に追いやるほどの立ち位置を確立させることになったと断言しておこう。
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忘れてはならない相棒・福田麻由子
孤独を楽しみ、クラスの輪に入り込まず、クールというよりも冷酷なイメージのある同級生・進藤ひかるを演じたのが福田麻由子。学園ドラマでよくある立ち位置だが、志田同様、体全体から発せられるオーラが強く、「和美を救えるのは、ひかるだけ」と視聴者に感じさせる迫力があった。彼女はすでにこの頃、名子役として活躍しており、「救命病棟S3」では震災復興と議員の板挟みで苦しむ父親・仲村トオルを励ます娘役を演じ、「白夜行」では初回120分SPの中で薄幸の少女を演じ切り、2話以降、綾瀬はるかへのバトンリレーを成功させた。彼女の不幸オーラも相当のものだった。その他に、いじめっ子グループのちょい役に伊藤沙莉がいたことも興味深い。
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見事な演出
ドラマの始まりは必ず、ダッシュで学校へと駆け上がっていく姿。当時、ドローンはなかったが、彼女が駆け抜けるシーンが空撮されているような臨場感があった。いつものルートで必ず遭遇する大型犬への対応の変化が秀逸。いじめや阿久津に向き合い、成長していく過程と、大型犬を手なずける過程がシンクロしており、そんなところにも視聴者は見入ってしまう。
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怖すぎる第6話
あまり触れたくはないが、「いじめ」の極致が描かれる。演出の一部というにはあまりに惨いシーンだが、苦境を乗り切った演技力の高さに脱帽。その効果もあって、志田さんの芯の強い人柄が余計に映えたのだと思う。
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今、教職に想うこと
タイトルは「女王の教室」だが、主人公は24人の小学6年生であり、彼女らの成長に勇気づけられた視聴者数は無限大。全話の2/3の時点では、学校教育への絶望感が色濃く漂い、最終回でも阿久津の無残な姿が描かれるため、救いはないはずなのだが、「阿久津とは違う手法で、こんなクラスをつくってみたい」と強く決意させる、反面教師的なドラマだった。現職の教員や教員志望の学生にぜひ見てもらいたい逸品。最後まで視聴し、感動出来たら、「あなたには間違いなく良い先生の素質が備わっている」と断言したい。
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