巣ごもり中に歴史観ひっくり返るの巻
台風被害を避けるため、世界史、近現代史、地政学の書物を読み漁っていたら、断片的だった知識が繋がりはじめ、自分が中高大の頃には思いもよらなかった事実が発覚。歴史研究が進んでいることを実感。それでは参ろうか。
1.黒死病が流行ったワケ
流行ったという事実しか知らなかったが、モンゴル帝国のユーラシア大陸制覇の過程で、交易が活発になり、ヒト・モノの移動が活発化した影響とか。
2.スペイン風邪が流行ったワケ
流行ったという事実しか知らなかったが、第1次世界大戦を勝ち抜くため欧米の列強がアジア・アフリカから兵士を動員し、終戦後帰国させたことで蔓延したとか。
3.ギリシアの民主制は民主的ではなかった!?
平民の負債を帳消しにし、平民が奴隷に落ちぶれることを禁止し、異民族を奴隷として売買したことによる身分制度がベースになっていたとか。
4.ヨーロッパ<イスラーム世界
圧倒的勢力を誇りヨーロッパを飲み込んだイスラームがギリシア・ローマの学術文献をアラビア語で復興・普及させ、レコンキスタや十字軍遠征の際に、ラテン語に翻訳されたものが西ヨーロッパに逆輸入されたとか。
5.ムハンマドの顔はなぜ白い?
イスラーム教では、唯一神アッラーの崇拝しか許されず、聖職者の存在も偶像崇拝も許されないため、偶像化されないよう、ムハンマドの顔は白い布で覆われていたとか。
6.スペイン・ポルトガルの植民地の位置を知るには?
ローマ教皇によって引かれた世界分割線を見れば一目瞭然だった。
7.大西洋三角貿易の悪影響
カリブからヨーロッパへ砂糖が、ヨーロッパからアフリカへ銃・雑貨が、アフリカからカリブへ黒人奴隷が輸出されていたことは既知。その結果、植民地支配されていたエリアの産業がモノカルチャー(単一)化し、それ以上の発展を遂げることが難しくなった。これを『低開発状態への開発』という。
8.パクス・ブリタニカとの闘い
あの頃、アメリカもドイツもオスマンも日本も中国も、イギリスへの「組み込まれ」と「対抗」の狭間で苦しんでいたとか。
9.アメリカ南北戦争とイギリスの関わり
南部は奴隷制度に基づいてプランテーションを行っていた。イギリスとの関係を密にして奴隷貿易を軸とした三角貿易を進めるためには自由貿易が必要で、州ごとに権限が付与されていた。一方、北部はもともと商工業が中心であったため、奴隷制度もイギリスとの関係性も必要がなく、むしろ奴隷の売買を禁止するために保護貿易を推し進める必要があり、中央集権的に運営されていたとか。なーるほど。
10.最後に
歴史研究の深化を体感できたこと、そういった研究成果を端的にまとめ書籍化してくださった津野田興一先生の手腕に乾杯。とりわけ、大学入試問題を切り口とした導入が素晴らしかった。