217DAY -麻雀の天運と地運-
麻雀というものをご存じだろうか。中国を起源とするテーブルゲームである。アジア全土やアメリカなど、数億人の参加人口を有する名ゲームであるが、日本では雀荘や賭け麻雀などの文化が先行するおかげであまりいい印象を持たれない。
しかし麻雀は単なるゲームに見えて、人間性と密接な関わりが見出せるゲームでもある。かつて麻雀の世界で20年間無敗を誇ったと言われる桜井章一は、麻雀における「ツキ」は、「天運と地運」によってできていると考えた。一つ目の「天運」は、運命的な、生まれつき持つ変えられない運。「地運」は、周囲の環境や自身の生活習慣によって変動する運だ。「天運」は運命によって支配されているので勝負の世界ではどうすることもできないが、「地運」に関しては、努力や環境次第で自在に変化するということである。
具体的にどういうことかというと、例えば料理屋に行って、店にチップを払ったり気前よくしたりして店と人から好意をもらい、高齢者に席を譲ったり、ボランティアをしたり、「いいことをした」と前向きに自身のモチベーションを持っていくことで、いざ勝負時になっても「良い流れ」のまま挑むことができるというのが「地運」を作るということだ。
ネガティブに勝負するのと、ポジティブに勝負するのとでは格段に違う、そうした流れを掴んで引きずり寄せることが、勝負事では重要なのである。まるでスポーツ選手がコンディションを整えてくるがごとく、そうした姿勢が「地運」を作るのだという。そうすれば、相手がいかに「天運」を味方につけていても、「地運」で勝負できるのである。
そしてこの「地運」を作るという行為は、まさに人間性そのものを表せるといえる。「地運作り」を大事にするかで、いかに人間性が現れるかがわかるのだ。そういった意味で麻雀を考えると、単なるゲームとは言えなくなってくるだろう。だから麻雀は人気で、何億人もの人が興じているのかもしれない。
ここらは補足になるが、麻雀は意外と身近でもある。「テンパる」「面子」「オーラス」。これらの言葉は麻雀用語だ。また麻雀は指先をよく使い、先読みする能力も使うため、認知症の予防に効果があるとも言われている。あくまで説らしいが、人間は思い込みで生きている面も大きい。もしかしたら本当に効果があるのかもしれない。
皆さんも麻雀、興味があればやってみて欲しい。