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運動前後のどちらに食事すべき⁉︎

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
痩せようと一念発起して運動をやり始めたが、食事を運動前にすべきと言う情報もあれば、運動後にした方が良いと言う情報もあったりして、どっちが良いんですかね?と言うご質問を頂きました。

【運動では痩せません】

まず大事なことをお伝えしますが、「運動で痩せることは出来ない」と言う事実です。
様々な企業やジムが、「運動で代謝を上げて痩せよう」と言うマーケティングをしてるぢゃないかぁぁぁぁぁ!嘘つきドクターめ!
と言う恨み節が聞こえてきそうですが、企業経営者もトレーナーも本当は嫌と言うほど体感し、身に染みて理解している事実です。

【総代謝量は何をしても誤差範囲しか変わらない】

一日中山野を歩いたり駆け回って狩猟採集をしている人達も、ほとんど外に出ずにテレビやネットを観ながらゴロゴロしたり座ってる様な人達も、総代謝量に個人差はありますし、運動量により一時的な変化はありますが、中長期的には誤差範囲程度でほぼ変わらないと言う生理学的研究があります。
衝撃的ではあるのですが、「運動が無意味」と言う訳ではありません。「体脂肪を減らす目的の運動」は意味が無いと言うことです。

【ダイエットに効果があるのは食事改善のみ】

ではどうすれば良いんだよ!
と言うジム通いを始めた方。そこのダイエットメニューや指導内容を良く確認してみて下さい。運動のことしか記載がない、と言うのであれば、そのジムやトレーナーは解約した方が良いです。
ほとんどのジムやトレーナーは、「食事指導」をしているはずで、「指導内容を遵守しても効果が出ない場合は、返金致します」と言う文言があるところもある様ですが、多くの場合「食事内容を指示通りに遵守出来ずに返金対象にならない」と言うケースが多いそうです。

【運動前後の食事の効果は?】

運動前に食事をすると、血中のブドウ糖やアミノ酸の濃度が高まることで、効率的にエネルギー源として活用でき最大のパフォーマンスが得られる、と言う主張があります。
一方で食後3時間以内に運動してしまうと、骨格筋に血流が優先されてしまい、消化吸収機能が低下すると言う報告もあったりします。

反対に、運動で筋肉を破壊した後に食事をすることで、回復を最大化すると言う主張もあったりします。とは言え運動後は食欲が亢進して食べ過ぎてしまう傾向があるとも言われます。

他にも、イスラム教のラマダンに合わせて、絶食中の朝や昼に運動をした場合と、食事ができる夜間帯に運動をした場合を比較して、ボディビルダーとしての体の仕上がりに差は認めなかった、と言う報告もあったりします。

結局のところ、運動前後24時間以内に必要十分な量と栄養バランスの食事が出来ていれば、筋肉量を増やすと言う目的に、食事タイミングは大きな影響を与えないと言うことです。
アスリートやボディビルダーで、体重を1g単位で調整したり、回復を時間単位で調整してる様な場合には、多少意味はあるのかも知れませんが、一般人にとっては気にする必要は無いと言えます。

【大切なのは食事内容】

タイミングよりも大切なのは、食事内容です。
糖質(甘い物+デンプン質)をなるべく減らして、蛋白質源や良質な脂質を十分な量にした上で、抗酸化物質やビタミン・ミネラル、食物繊維が豊富な植物を意識的に食べると言うのが大前提です。
どの様なバランスが良いのかは、個人差がありますので、ご自身の体調などをみながら調整していきましょう。

【カロリー計算よりも大切なこと】

また、食事管理や栄養管理と言うと良く出てくるのが「カロリー計算」なのですが、実はコレあまり意味がありません。
単純にどれくらいの食事量にすれば良いのかの目安にはなりますが、完全燃焼を前提にした数値であり、アミノ酸やブドウ糖、脂肪酸は完全燃焼されずに体内で利用されると言う代謝を完全に無視しているんですよね。
運動で消費されるカロリーと言うのも、運動時の酸素消費量を反映した計算値であり、実際にその運動が体に与える影響とは全く関係がありませんので、違う運動をカロリー換算で比較することも無意味ですし、食事で摂取したカロリー量を運動で消費する際にカロリー換算値で考えるのもまた無意味です。

では一体どうすれば良いんだよ!って声が聞こえてきそうですが、最新の生理学的研究で、最も確実な評価方法が確認されています。
「飲み食いした内容を全て記録しておき、翌日以降に体重が増えていれば余剰分が蓄積された、逆に体重が減っていれば蓄積された脂肪がエネルギー源として消費された」と言う確認方法です。
ベタで原始的ですが、どんなカロリー計算をしても、これ以上に確かな方法は無いと言うことです。

「食のバランス」としては、糖質を目的に合わせて減らし、蛋白質源、脂質源を増やした上で、抗酸化作用の高い成分が含まれる植物食を意識的に増やすこと。
人によっては腸内環境を整える為に、小麦や乳製品を食べないことも有効だったりしますが、万人に必要な訳では無いので、2週間やってみて体調に何の変化もなければ、適度に食べて頂いて大丈夫です。
加えて体重が増えたり変わらなければ、そのバランスを保ったまま飲み食いする量を減らしていくこと。必ずどこかで痩せ始めるところがあるはずです。

【何をどれくらい食べるかよりも大切なこと】

もうひとつ大切なことがあります。
太っている人の多くは血糖値を下げるホルモンであるインスリンが常に分泌され続けることで、効きが悪くなってしまう「インスリン抵抗性」と言う状態になっている事がほとんどです。
この改善の為には、食事のバランスや量だけでは解決できないので、「意識的に食べない時間を定期的に作る」ということが重要になってきます。

寝ている時間以外は何かを2-3時間おきに飲み食いしている、と言う様な状態ですと、血糖値が上がりインスリンが分泌され、ということをひたすら繰り返すことになります。血糖値が上がりにくい食材や料理を意識的に食べても良いのですが、最終的に吸収される糖質量が変わらなければ、あまり意味がありません。
一番有効と言われているのが、「血糖値を上げる物を口にしない時間を定期的に作る」と言うやり方です。

毎日睡眠時間を合わせた16時間は水や無糖のお茶やコーヒー以外は口にしないと言うのもアリですし、週に1日或いは連続しない2日24時間水だけで過ごす時間を作るのも、インスリン抵抗性を改善させる効果があります。

空腹感が辛いと言う場合には、体質的に問題無ければ無糖の生クリームを使ったり、ココナッツオイルやMCTオイルをお茶やコーヒーを入れてブレンダーで乳化させて飲むことで、血糖値を上げずに空腹感を抑えることが出来ますし、脂質燃焼経路を活性化出来るので、オススメです。

【1日3食食べても良い】

朝食は1日のパフォーマンスを決定づける物であり、朝抜きなんて不健康である、と言う主張もあります。もちろん朝食を食べた方が体調が良く体も軽いのであれば、ぜひそうして下さい。
しかし、不調を感じていたり体が重く感じる場合には、過食傾向であることがほとんどなので、何らかの形で食事量を減らす必要があります。

16時間断食や週1-2回の24時間断食をすることで、1週間単位での食事量を減らすことが出来ます。同じくらい食事量を減らす為には、3食全てで必要な量の7-8割程度に抑える必要がありますが、コレはなかなか精神力が必要で過酷なことかと思います。

3食食べたい場合には、常に満足出来る手前で食事を終わらせる精神力が必要と言うことです。
もちろん間食も含めてです。
その為にはいつもと同じ柔らかく飲み込みやすい料理ではなく、素材の形が残った物を1口入れたら30-50回はしっかり噛んでから食べるのも、早く満腹感を得られるだけでなく消化吸収が良くなるのでオススメです。
もちろん1日1-2食の16時間断食をする際にも、良く噛むことはオススメですけどね。

【運動はダイエットと別物として考えよう】

運動をして筋肉を大きくすることで、筋力を増強させたり、有酸素運動で心肺機能を強化することは、ダイエットには結びつきませんが、体力をつけると言う意味ではとても大切です。
そして過激すぎる運動は健康長寿とも無関係と言えます。

関節の可動域が狭くならない様に定期的に可動域をフルに使った動き、バランス感覚を鍛える様な運動、日常的に出来ないと困る動きなどを意識的に行うことは、健康長寿に有用です。

一方でスポーツや格闘技のトレーニングの様な負荷の強い運動は、体のメンテナンスや疲れのケアを意識的にしないと、故障や怪我を引き起こしてしまい、最悪の場合は後遺症で日常生活に支障をきたしてしまうことも少なくありません。

体重が重い状態で無理な運動をすることも、関節や腱を傷める原因になってしまいますので、ダイエットを意識する場合には、まずは食習慣を改善した上で、目標体重に近づいてから本格的な運動を行う様にすると良いでしょう。

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