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食べることが大切な理由

「食べること」は、単なる栄養摂取の手段ではなく、
口腔機能の維持、虫歯や歯周病予防、老化の進行を抑えるための
重要な習慣です。

特に高齢者にとって、食べることは健康寿命を延ばすための基本であり、
食べられなくなると老化が一気に進行するリスクがあるため、
日々の食事がいかに重要か再認識する必要があります。


●食べることでオーラルフレイルを予防する

食べることは、オーラルフレイルの予防に直結しています。
オーラルフレイルは、噛む力や飲み込む力の低下、発音・発語が難しくなるなど、口腔機能が全体的に衰える状態を指します。
この状態が進行すると、やがて全身のフレイル(虚弱状態)やサルコペニア(筋肉量の減少)といった全身的な機能低下を引き起こし、生活の質(QOL)を大きく損ないます。

食べるという動作は、
咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)といった口腔機能を継続的に使うため、
食べることでこれらの機能を維持・強化することができます。
硬い食べ物や繊維質の多い食材を噛むことによって、
顎の筋肉や咀嚼能力が鍛えられ、口腔機能の低下を防ぐことが出来ます。
特に高齢者にとって、硬いものを噛む機会が減ると、オーラルフレイルが進行しやすくなるため、意識的に噛むことを促す食事が重要です。

食べることこそがオーラルフレイルの予防につながるため、
日々の食事が口の健康を支える重要な役割を果たしています。

●唾液が出ることで虫歯や歯周病を予防する

食べることには、もう一つ大きな役割があります。
それは、唾液の分泌を促すことです。
唾液は、口腔内の健康を保つために欠かせない存在であり、食べ物を噛むことで唾液の分泌が活発になります。この唾液には、虫歯や歯周病を防ぐ抗菌作用や、口腔内のpHを調整する緩衝作用があります。

唾液の分泌が少ないと、口の中が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、食事中に唾液がしっかりと出ることで、口腔内が潤い、食べ物のカスを洗い流す働きもあるため、食べる行為自体が口腔ケアとして機能しています。

さらに、唾液は消化にも重要な役割を果たします。消化酵素であるアミラーゼが含まれており、食べ物の分解を助け、消化をスムーズに進めます。このため、唾液の分泌が正常に保たれることで、消化不良や胃腸の負担を減らすことも可能です。

食べることで唾液の分泌が促進されるため、日々の食事が虫歯や歯周病、さらには消化不良の予防にもつながっています。

●食べられなくなると老化が一気に進行する

人間の老化は、食事が十分に取れなくなることで加速することが知られています。特に高齢者が食欲を失い、栄養不足に陥ると、筋力や免疫力が急激に低下し、生活の自立度が低下してしまいます。
これは、フレイルやサルコペニアの進行と関係しています。

さらに、食べることが難しくなると、全身の筋肉量が減少し、運動機能が衰えていきます。加えて、栄養不足によって、骨折や寝たきりのリスクが高まります。高齢者においては、口から十分な栄養が摂取できないことが、老化の加速要因の一つとされています。

また、口腔機能の低下や味覚障害などで食欲不振となり、食事の量が減少すると、栄養バランスが崩れ、ビタミンやミネラルの欠乏が起こりやすくなります。これがさらなる体力低下や免疫力の低下を引き起こし、感染症や慢性疾患のリスクを増大させます。

高齢者にとって、「食べること」は健康維持のカギであり、これが損なわれると老化が一気に進行します。

このように、「食事を食べる」という当たり前のことが実はこんなにも多く働きを持っており、健康を維持する上で非常に重要である。
ということが分かって頂けたかと思います。

いつまでも口から食べられる幸せを感じられるように、
口腔ケア、歯周病チェック、虫歯予防を意識して、
定期的に歯科で診察を受けましょう。

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