![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162041523/rectangle_large_type_2_26f3ee126e488944b67f01da6502edc7.jpeg?width=1200)
「てんかん患者さん」QOL向上ヒント集
こんにちは!
世界中の「てんかん患者さん」とビデオ通話でお話しする機会があるのですが、その中で診察室ではなかなか聞けない“裏話”をたくさん伺うことができます。きっと、ご自宅というリラックスした環境で、本音を話しやすいからなのかもしれませんね。
それに、私が担当医ではないことも理由の一つかもしれません。担当医には言いづらいことでも、私との会話なら隠す必要がないと感じていただけるのでしょうね!
では、てんかん患者さんのQOL向上シリーズの2回目をご覧ください。
カフェインが脳神経にどのような作用するのでしょうか?
実は、今回「カフェイン」について取り上げるのに少し悩みました。特に、日本国内の医事法に抵触しないかどうか気になったからです。でも、せっかく予告していたので、わかりやすくお話ししようと思います。
カフェインといえば、皆さんも「眠気覚まし」の効果でよくご存知ですよね。そんなカフェインが、脳の神経伝達物質にどのように影響を与えるのか、そしてそのメカニズムについて少し詳しくご説明します。難しい受容体の話などもありますが、できるだけ簡単明瞭にお伝えしていきますね。
1.カフェインの作用メカニズム
カフェインは、主にアデノシン受容体に結合することで作用します。アデノシンは通常、神経の活動を抑制し、眠気を引き起こす役割を果たしていますが、カフェインがこの受容体に結合すると、アデノシンの作用が妨げられ、神経が興奮状態になります。
アデノシン受容体のブロック: カフェインはアデノシンと構造が似ているため、アデノシン受容体に結合し、アデノシンが結合できないようにします。これにより、神経細胞の活動が抑えられず、興奮性の神経伝達物質(例:ドーパミンやグルタミン酸)が放出され続け、脳が活性化します。
ドーパミンの増加: カフェインはドーパミンの放出を促進します。ドーパミンは快楽や意欲に関連する神経伝達物質であり、カフェインの摂取によって気分が高揚することがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1731736225-1y9sltRNLqZuWJmV5xGAbzYr.jpg?width=1200)
アデノシンはカフェインに比べて炭素が2個、窒素が1個、水素3個、酸素2個がそれぞれ多く含まれています。
カフェインの好影響
覚醒作用: カフェインは中枢神経系を刺激し、眠気を覚ます効果があります。アデノシンという神経伝達物質の働きを阻害することで、注意力や集中力を高めることができます。
認知機能の向上: 適度なカフェイン摂取は、短期記憶や長期記憶の向上に寄与することが研究で示されています。特に、認知症やパーキンソン病のリスクを低下させる可能性があるとされています。
気分の改善: カフェインは気分を高揚させる効果があり、ストレスや疲労感を軽減することができます。これにより、日常生活の質が向上することが期待されます。
抗酸化作用: カフェインには抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから保護する可能性があります。これにより、慢性疾患のリスクを減少させる助けになると考えられています。
抗酸化作用とてんかん発作の因果関係についての研究は進行中であり、いくつかの重要な知見が得られています。酸化ストレスは、てんかん発作の発生に関与していると考えています。発作中や発作後には、脳内の抗酸化物質のレベルが低下し、フリーラジカルの生成が増加することが示されています。これにより、神経細胞が損傷を受け、発作が誘発される可能性が高くなる訳です。
ただし、抗酸化作用とてんかん発作の因果関係はまだ完全には解明されていません。現在のところ、抗酸化物質がてんかんの発作を直接的に抑制するメカニズムや、どの程度の摂取が効果的であるかについては、さらなる研究が必要な段階です。
カフェインの悪影響
不安感の増加: 過剰なカフェイン摂取は、不安感や神経過敏を引き起こすことがあります。特に不安障害を持つ人にとっては、カフェインが悪影響を及ぼす可能性があります。
睡眠障害: カフェインは睡眠の質を低下させることがあり、特に夜遅くに摂取すると不眠症を引き起こす可能性があります。
心拍数の増加: 過剰なカフェイン摂取は心拍数を上昇させ、動悸や不整脈を引き起こすことがあります。これが長期的に続くと、心臓に悪影響を及ぼす可能性があります。
結 論
てんかん患者に対するカフェイン摂取の適量については、個々の患者の状態や反応に依存するため、一概に推奨することは難しいですが、いくつかの重要なポイントがあります。
1. カフェインの影響
説明のカフェインは中枢神経刺激剤であり、アデノシン受容体に作用します。これにより、神経の興奮を促進する可能性がありますが、てんかん患者においては、カフェインの影響が個人差が大きいことが知られています。ある研究では、カフェインが発作を引き起こす可能性がある一方で、他の研究では適量のカフェインが問題ないとされています。
2. 個別の反応
てんかん患者さんによってカフェインへの反応は異なるため、患者自身の体調や発作の頻度に応じてカフェイン摂取を調整することが重要です。医師と相談しながら、自分に合った摂取量を見つけることが推奨されます。
3. 適量の目安
一般的には、健康な成人においては1日あたり400mg程度のカフェイン摂取が安全とされていますが、てんかん患者の場合はこの限度を下回ることが望ましいとされています。特に、カフェインの摂取が発作を誘発する場合は、摂取を控えるべきです。
4. 医師の指導
てんかん患者さんは、カフェインの摂取について医師と相談することが重要ですので担当医の先生必ずご相談下さい。医師は患者の病歴や現在の治療法を考慮し、適切なアドバイスを提供できます。また、抗てんかん薬との相互作用についても注意が必要です。
Amazon.co.jp: Hitschies KOPIKO Coffee Candy 2点セット コピコ コーヒーキャンディー 1袋32g : 食品・飲料・お酒
まとめ
カフェインの摂取は、てんかん患者さんにとって気分を高めたり、ストレスや疲労感を和らげる効果が期待できることがあります。また、酸化ストレスによるてんかん発作の予防にも一定の可能性があると言われています。ただし、これには個人差があり、服用中の薬との相性も影響するため、注意が必要です。
適量のカフェインで問題がない場合もありますが、一方で発作を引き起こすリスクも考えられます。そのため、医師と相談しながら、自分に合った摂取量を見つけることがとても大切です。健康的なカフェインの取り入れ方を一緒に考えていきましょう!
いいなと思ったら応援しよう!
![InsightX](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160002403/profile_390be5e616f266e8609b49ef9bee5ebd.png?width=600&crop=1:1,smart)