InsightX

主に海外ベースで1980年代より医療とITを繋ぐ通訳として臨床とシステムの2足の草鞋を…

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主に海外ベースで1980年代より医療とITを繋ぐ通訳として臨床とシステムの2足の草鞋を履いて生きてきました。1980年には現在のAIの原型と言えるDSS(DECISION SUPPORT SYSTEM)に設計をはじめて以来デジタル技術が医療/医学の発展に役立つよう活動。

最近の記事

医療(EHR)/健康(PHR)情報とは?

1.まえがき皆さんが病院で診療を受けたり、体調不良で検査を受けたりしたとき、その診療記録や検査結果は受診した医療機関ごとにカルテ(診療記録)として保存されます。さらに、処方された薬の情報や、他の医療機関を利用した際の記録も、すべてそれぞれの場所で管理されています。このため、患者が複数の医療機関で診療を受けている場合、自身の健康情報が複数の場所に分散されているのが現状です。 2.なぜInsightXのような情報集約が必要か?諸外国に遅ればせながら、日本でも医療と健康分野におけ

    • 新世代てんかん発作予知App案ーその1

      1.まえがきおはよございます。連休も最終日ですね。この連休もどこへ行くでもなく、ネコと遊びながら毎日12時間以上調べに明け暮れていました。(笑) というのは今回、私が関わることになった「InsightX」プロジェクトで、システムの基本設計を任されることになりました。海外で設計してきた実績を超えるものを設計してほしいという要望を受け、隠居生活を送っていた私ですが、これが最後の仕事として挑むことにしました。 ちなみに、「InsightX」の「Insight」は「洞察力」を意味

      • 厚労省による抗菌性脳脊髄用シャント感染率調査

        抗菌性脳脊髄用シャントでの感染は、シャントのチューブ内で菌が増えることで起こります。シャント術での感染率は1~5%と言われており、国内では皮膚の常在菌である表皮ブドウ球菌が約60%、黄色ブドウ球菌が約30%を占めています。

        • てんかん診断/治療には担当医のスキル(経験)がものを言う!

          A.てんかん治療はどうしても担当医の経験に左右される訳 てんかん治療が担当医の経験に左右される主な理由には、以下の要因が挙げられます。 てんかんの多様性: てんかんにはさまざまなタイプがあり、発作の種類や症状も患者によって異なります。例えば、焦点性発作と全般性発作では治療のアプローチが異なることが多く、発作を引き起こす原因も脳内の部位や機能によって異なります。このため、医師の経験が診断や治療方針の決定に大きく影響します。 診断と治療の複雑さ: てんかんの診断には、脳波検

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          てんかんの歴史:古代の謎から現代の誤解まで

          最新のAIを利用して、てんかんの発作予知が可能か?をシステム面で試行錯誤している中で300点以上の論文などを調べる中で「てんかんはいつ頃から始まったのか?」という素朴な疑問と興味を持つようになりました。 米国で頭部銃創専門医を6年経験して、てんかんは銃創後の症状として扱った経験もあり、てんかん専門医との意見交換の場もありました。 現役から引退したので時間があることもあって、てんかん患者さんへのBe Mindful of Youの精神からもう一度「てんかん」を一から考える必要が

          てんかんの歴史:古代の謎から現代の誤解まで

          日本国内で実施されている「てんかん治療」の現状への患者さん達の疑問点①

          まず最初に、これを読まれる医療提供者の方にお願いしたいことがあります。この投稿は、ここ数週間てんかん患者さんご自身やご家族とお話しして、皆様が思っている疑問点についてお答えしたものであり、日本のてんかん治療の現状や現場を批判するものではありません。念のため、最初に申し添えさせていただきます。 Q1:「症候群」と「症状群」は似ていますが、意味は異なります。 症候群(シンドローム):特定の病気や状態に関連する一連の特徴的な症状や兆候を指します。これらは共通の原因に基づき、予測

          日本国内で実施されている「てんかん治療」の現状への患者さん達の疑問点①

          InsightXの原点:         2016米国急性期後ケア管理システム開発

          このシステムは、従来の院内情報システムとは異なり、関係施設やスタッフと連携してチーム医療を支援する新しいタイプのシステムです。情報管理においては、従来の一次元的なレベル分けから、施設カテゴリと管理レベルを組み合わせた二次元的なデータ構造に加え、GPS情報からアクセス場所の良否判定を持たせた四次元データ構造へと進化しました。これにより、閲覧可能なデータのグルーピングとカテゴリー構成が複雑になり、多様なニーズに対応する柔軟な情報管理が可能となりました。 さらに、システム開発の目

          InsightXの原点:         2016米国急性期後ケア管理システム開発

          てんかん発作予知は心拍数の変動だけで本当に可能なのか?

          てんかん発作は予期せずに発生することが多く、親御さんは子どもがどこで発作を起こすかわからないという不安を常に抱えています。特に発作の持続時間が長くなったり、呼吸が止まったりするケースでは、命に関わる可能性もあり、親として強い恐怖感を抱えることが一般的です。 親御さんが期待するてんかん発作予知機能には、発作の前兆を検知する早期警告システム、発作パターンの可視化やトリガー要因の分析、医療チームとのデータ連携、簡単な操作性、通知のカスタマイズ機能などがあります。これにより、子ども

          てんかん発作予知は心拍数の変動だけで本当に可能なのか?

          日本での遠隔地医療へのコネクテッド医療の普及率とその問題点

          日本における遠隔医療でのConnected Medicineの普及は着実に進んでいますが、課題も多く残っています。遠隔医療の一部としてのコネクテッド医療は、特に過疎地や高齢化が進む地域での医療支援として大きな役割を果たすと期待されていますが、以下のような普及率や課題が存在します。 1. 遠隔医療およびConnected Medicineの普及状況 遠隔診療の普及率:2020年のパンデミック以降、オンライン診療や遠隔医療への関心が急増しました。厚生労働省による推奨により、特

          日本での遠隔地医療へのコネクテッド医療の普及率とその問題点

          コネクテッド医療(Connected Medicine)とは?

          日本でも最近耳に良くする言葉で「コネクテッド医療」という意味不明な事はありませんか? 「コネクテッド医療 テクノロジーの導入は、消費者の需要、ウェアラブル デバイスや医療機器のイノベーション、そして COVID-19 後の時代の現在のヘルスケア環境に後押しされ、近年北米、欧州を宙に驚異的な速度で増加しています。 世界のコネクテッド医療およびウェルネスデバイス市場は、2024年までに6,120億ドルこの分野は、IoT業界で最も急成長コネクテッド医療 ソリューションに関する話題

          コネクテッド医療(Connected Medicine)とは?