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(大学)教育において大事にしていること
Mondというサービスを使うようになってから、めっきりnoteの更新が減ってしまった。Mondとnoteでは読者層が異なると思うので、あちらに書いたもので、備忘録として残しておきたいことをこちらにも内容を一部修正して転機する。
先日、いただいた質問は、「学生の教育において一番大事にしていることはなんですか?」というものだった。こういう質問は頭を整理できるのでたいへん助かる。一番というと難しいので、大切だと思っていることを列挙する。
1.「楽しそうに教える」こと
これ、すごく大事なことだと思っていす。自分の研究成果や専門領域を楽しそうに話すと、「おっ、なんだなんだ」と興味を持ってくれる学生がいるからである。(もちろん全然な学生もいるが、それはそれで他の領域に興味を持ってくれれば良いので問題ない)。
学問みたいな面倒臭そうなこと、よくわかんないことを楽しそうに語る。大学教員の役割の一丁目一番地はこれであろう。学問に限らず、楽しそうにしていると人は興味を持つものだから。
2.「教えようとしない」こと
教育は、「教えて育てる」と書くので、「教えようとしない」というのは逆説的と思われるかもしれない。しかしながら、大学の教育となるとこの点が大事になると思われる。
なぜかというと、大学の教育というのは、不変の真理を教えるというよりは、まだわかっていないことを教えるという側面があるからである。加えて、文系だとある種の思想のようなものも交じることもあり、その場合は、あくまで「私が考えていること」を教えることになる。そのため、教えるというよりも、「私はこう考えているけどどう?」とか「と、ここまでわかっているけどあとは自分で考えてみて」という感じで、考える材料を提供するのが大学の教育では大事になる。教えようとしない、というのはそういう意味。
3.「学ばせようとしない」こと
私が教育を考えるときに、いつも念頭にあるのは、「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」という言葉である。(イギリスかどこかの諺のようであるが、詳しくは知らない)。
大学での学びは、明確なゴールがあるわけではないから、最終的には、本人が「学びたい」と思えるかどうかが大事である。もちろんそのための機会や工夫は惜しみなく提供したい。でもだからといって、そういう気持ちがないのに無理に学ばせても、得ることは少ない。人間はやれと言われたことには反発したくなるし。だから、私はこちらが力んで学ぶことを強要しないように努めている。
大学の教員は、教育のプロパーではないので、10人いれば10通りの教育感があるので、ここで書いたことはあくまで個人的な意見である。学生もどのような教育が良いかはそれぞれ異なるので、その意味ではいろんな教育感のもとで教育が教授される大学というのはそれはそれで良いことではないかと思う。