Dr_George_Sensei

一介の大学教員。

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最近の記事

研究者に向いている人

仕事柄、「研究者に向いている人」ってどんな人ですか?という質問をよく受ける。 医者や弁護士と違って、こうすればなれるというものがはっきりしていないから、研究者になりたい人が不安に思ってこのような質問をしてくれるのだと思う。書き出せば色々とあるのであろうが、以下は私がこれまでの研究者生活の中で思う、研究者に必要な性格・資質である。(先ほどMondに同じような回答を書いたが読者層が異なると思うのでnoteにも転記する) ・わからないことを面白いと思えること 人間には2つのタイ

    • 大学生の夏休みの過ごし方と後悔

      後期が始まってしまった。 先日、さっそく2年生のゼミがあったので、毎年恒例の「夏休みに何をしていたか」を一人ずつ話してもらった。トップ3はこんな感じ。 ①旅行 ②サークル活動 ③アルバイト 上級生になると、ここにインターンなどが入ることもあるが、この3つはほぼ不動である。 併せて充実度を5段階で聞いた。するとそのほとんどが3か4という感じである。日本人の心性として5をつけられないだけかもしれないが、内容だけ聞くと充実してそうにみえるので、5でもよいのではないか思うのだが

      • レポートの採点を終えて(雑感)

        春学期のレポートの採点を終えた。毎年それなりの枚数があるので結構大変である。 提出前に間違うといけないので、最終的な点検はこれからしないといけないのだが、一段落終えたのでここに雑感を記す。 1.良い/悪いの差が激しい  毎年感じることなのだが、良くかけている学生は本当によく書けているし、そうでない学生は本当に書けていない。その差が激しい。ではなぜその差が生まれるかというと、当たり前だが授業を聞いているか聞いていないかである。  私は授業が終わるたびに、授業の理解度の確

        • 新入生を分かつもの

          新学期が始まり、早1ヶ月が経過しました。 ばたばたしていたキャンパスもようやく落ち着きを取り戻し、平常運転になりつつあります。GW以降は、例年のようにキャンパスに来る人が漸減して、学食も込み合わなくなるのでしょう。 さて、キャンパスライフに期待に胸を膨らませて、目をキラキラさせていた新入生も、この時期からその輝きが持続する学生と、そうでない学生に分かれていくような気がします。これを分けるものとは何か、それが今回のテーマです。後者の学生がなぜそうなるのか、この要因として以下の

          「大学生のうちに~すべき」という呪縛から脱却しよう

          大学教員という仕事柄、学生から「大学生のうちにすべきことは何ですか?」という質問をよく受けます。時期が時期だけに、これから入学を控えている新入生の皆さんも、この問いが少なからず頭にあるかもしれません。 でも、この質問を受けるたびに若干の違和感を覚えます。その理由は、その回答が、今の回答者の立場から遡及して「あれをしてよかった」(あるいは「あれをすべきだった」)というポジショントークにならざるを得ないからと考えるからです。 例えば私は大学教員をしていますが、それゆえに、「大

          「大学生のうちに~すべき」という呪縛から脱却しよう

          1/2の大学生

          間もなく、2020年度に入学した大学生が卒業する。(留年とか休学してなければ)。 いつもこの時期は教員として感慨深いのだが、今年は特別な思いがある。なぜかというとこの年度に入学した学生は実質1/2しか大学生活がなかったからだ。 そう、その原因はコロナである。この年度に入学した学生は、入学初っ端からオンライン授業が丸々2年間続いた。一緒に授業を受けているのが誰かもわからず、キャンパスにも行けていないから〇〇大学の学生というアイデンティティも持てず、つまらないユーチューバーと

          1/2の大学生

          聞くのが「しんどい」授業

          先日、ゼミが少し早く終わった後、学生が次の授業の教室になかなか行こうとしないので、「どうしたの?」と尋ねると、「次の授業がしんどい」とのこと。 少し時間があったので、そもそも「しんどい授業ってどんな授業なの?」と聞いた結果をX(旧:Twitter)に書いたら、共感する部分が多かったのか、それなりの反応がありました。(下記画像) リプライには上記の事柄に加えて、 配布した資料をそのまましゃべるだけ 雑談が一切ない フィラーが多い などの意見がありました。 多くの大

          聞くのが「しんどい」授業

          自分に合う仕事の見つけ方

          質問箱やMondにそれなりの量の質問をいただくようになりましたが、学生からの質問でダントツで多いのがこの類の質問です。 私はキャリアコンサルタントでもないですし、一般的な就職活動すらしたことがないので、どうしてこういう質問をたくさん寄せてもらえるのかが良くわからないのが正直なところです。 でも多分、それだけ大学生に普遍的な悩みであること、また一般的に大学の教員は「趣味の延長線上で仕事をしている」ように見られるので、このような質問が多くなるのではと思います。 質問を頂く度

          自分に合う仕事の見つけ方

          ゼミ選考、雑感ー「○○に興味がある」って本当?

          今年もゼミ選考の季節がやってまいりました。 大学によって、何年生からゼミが始まるかは違いますし、選考の方法も異なるでしょうから、一般的なことは言えませんが、私の経験から、ゼミ選考を通して考えたことを備忘録的に書いておきたいと思います。(Twitter【現X】にも同様の趣旨のことを書きましたが、その補足です) そもそも、学生がゼミを選ぶ時の基準って何だろうと考えると、おおむね次のようなことだと思います。 領域(何が学べるか) 教員との相性 課題は厳しくないか(楽に単位

          ゼミ選考、雑感ー「○○に興味がある」って本当?

          本を読めという時の本の種類について

          わたしは仕事柄、本を読むことを勧めています。 そうすると、必ずいただく質問が以下の画像のような質問です。 この質問にお答えする前に、私がなぜ読書を勧めるか、その理由は大きく分けて3つあります。①ものの見方や考え方が広がること、②語彙が増えること、③ストレス軽減になること、です。 ①は説明するまでもありませんね。他者の異なるものの見方や考え方に触れることで、自身の視野が広がります。読書を通して得られるその経験によって、時に人生観が丸ごと変わることすらあります。 ②について

          本を読めという時の本の種類について

          大学(新入)生が読むべき本(リストあり)

          前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいました。 皆さんは意外に思われるかもしれませんが、大学教員の夏休みは、採点、執筆、研究費獲得のための申請書の作成、卒論を含む学生指導など、結構忙しいのです(もちろんかなり個人差はありますが)。 やっと一息ついたので、ずっと書き残しておきたかったことを書こうと思います。以前、このような記事を書いたのですが、その続きです。 わたしは学生と話す機会があると、今どんな本を読んでいますか?とよく聞きます。いろいろと話を聞くよりも、本の名前を挙げ

          大学(新入)生が読むべき本(リストあり)

          大学の授業が「つまらない」理由

          学生のみなさんから「質問箱」でいただく質問の中には、少なくない割合で、大学の授業に対する「つまらなさ」に関するものが含まれています(下記はその例) 大学の授業が「つまらない」理由の大半は、もちろん教員の側にあります。大学の教壇に立っている人の多くは、研究をしてきてその結果として、大学教員という職に就いた人であって、教師になるための特別なトレーニングを受けてきたわけではありません。だからほとんどすべての教員は授業を我流でやっているような状態なので、「おもしろい」授業をしようと

          大学の授業が「つまらない」理由

          学んだことをアウトプットする機会を如何につくるか

          この間、更新がだいぶ途絶えてしまいました。4月は大学教員にとって繁忙期の一つで、目の前の仕事(オリエンテーションやら授業準備やら)に追われてしまっていました。GWになってやっと落ち着いていろいろと物事を考えることができるようになっています。 (昨今はGWでもお構いなしに授業がある大学も少なくないようですが) さて、喜び勇んで大学に入学した新入生の皆さん、授業が始まって1ヶ月が経ちましたがいかがでしょうか?大学の授業って意外とつまらないなー、授業には出席しているけどなんだか学

          学んだことをアウトプットする機会を如何につくるか

          大学院に行くか迷っています。

          職業柄、画像のような質問(大学院に行くか迷っている)をよく受けます。 そのたびにどう回答してよいかわからず、結果的にスルーしてしまっています。(ごめなさい) なぜどう回答してよいかわからないかというと、進学の目的、学んでいる学問の分野、国立か私立か、国内か海外かなどの組み合わせによって回答内容が大きく変わるからです。つまり、質問にあるような内容では、情報量が少なすぎてどう回答したらよいのかわからないのです。 ですのでここでは、進学の目的にフォーカスして、さらにそれを「学び

          大学院に行くか迷っています。

          「ぼっち」のススメ

          先日、こんなツイートをしたら結構な反応がありました。誤解をされているむきもあるので、補足的に何が言いたかったのか書いておきたいと思います。 入試期間も終わり、4月からの大学に入る皆さんは、期待と不安が入り混じった気持ちでいることと思います。 期待の中身は人それぞれでしょうが、不安の中身は似通っていて、その大きなものの一つは、「知り合い(友達)ができるかな」でしょう。確かに付属校でもない限り、知り合いがいて大学に入学するケースはまれですから、この種の不安はよく理解できます。

          「ぼっち」のススメ

          本。借りるべきか買うべきか、それが問題だ

          皆さんは本を読むとき、借りて読むでしょうか?それとも買って読むでしょうか? 私が関わってる大学生の範囲で言えば、定期的に本を「買って」読んでいる人は稀です。その理由は2つあって、一つは単純に「高いから」。もう一つは「所有することの意味がわからないから」ではないかと思います。 本は高いか? 確かに本はいい値段がします。学術書や教科書なんかは3,000円を超えることがざらですから、学生が買うことに躊躇することもわかる気がします。ただある物に対して、その値段が高いと感じるか安

          本。借りるべきか買うべきか、それが問題だ