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とにかく泣ける!「アルプス席の母」
最近、涙もろいな。
特に親子の話となると、もうだめです。すぐ泣いちゃうなあ。
今回紹介したい本はこちら、「アルプス席の母」です。
あらすじ
秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。湘南のシニアリーグで活躍する航太郎には関東一円からスカウトが来ていたが、選び取ったのはとある大阪の新興校だった。声のかからなかった甲子園常連校を倒すことを夢見て。息子とともに、菜々子もまた大阪に拠点を移すことを決意する。不慣れな土地での暮らし、厳しい父母会の掟、激痩せしていく息子。果たしてふたりの夢は叶うのか!?
本作の特徴は、高校野球を母親という視点から描き出しているところでした。こんな作品はなかなかないんじゃないかな?
本作の特徴は、甲子園を目指す子どもを支える親のリアルな日常や葛藤をとても丁寧に表現しています。特に野球推薦による高校進学の舞台裏、野球部の父母会の実態、保護者が寄付を集めるリアルな面など、これまであまり知らなかった部分が赤裸々に描かれていて、非常に新鮮で興味深いです。
また、主人公は夫を早くに亡くし、一人で子育てをしている背景があります。彼女は母子家庭であることが息子の重荷にならないかという不安を常に抱え、息子がそれを気にしているような様子を見せるたびに、自分自身の無力さを感じてしまいます。さらに彼女自身が自立した一人の女性としての人生を歩みたいと願っているにもかかわらず、子どものことになるとどうしても感情が揺さぶられ、振り回される自分にも葛藤を感じてしまいます。それがとても切なかった。
一方で、主人公の意志の強さも印象的です。息子が神奈川から大阪の高校に進学する際に、自分も大阪に居を構えることを決意し、また、父母会で人間関係がうまくいかないときも、息子のために負けまいと頑張る様子も印象的でした。
『アルプス席の母』は、高校野球の世界を背景に、親として、そして一人の女性として生きる主人公のリアルな葛藤を見事に描いた、心に残る素晴らしい作品でした。
う〜ん、個人的には本屋大賞あげたい!
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