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東宝「赤頭巾ちゃん気をつけて」を鑑賞する。1970年安保で、東大は受験中止。そんな社会的なことよりも、主人公は恋人のことで頭がいっぱい…楽園じゃねえか!
・・・『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1970=昭和45年、監督:森谷司郎)。
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原作は、芥川賞を受賞した庄司薫の同名小説(1969年)。世は、東大安田講堂事件などの学生運動の嵐か吹きすさぶ1969年の2月9日。
その日の朝、日比谷高校に通うノンポリ受験生、薫は、志望していた東大の受験が流れることを知る。
そして同時に訪れる、愛犬の死。
そのとき薫は不注意で足の爪を剥いでしまう。幼馴染の由美、
庄司薫「白鳥の歌なんか聞えない」
庄司薫が気になる…
赤頭巾ちゃん気をつけてを読んで以来、僕はこの作家のことが頭から離れなくなった。
時々、無性に読みたくなることがある。あの饒舌体の思うツボなのが悔しいが、やはり好きなのだ。
庄司薫の本はもう本屋で売っていない。「赤頭巾」は大型書店でたまに見かけるが、それ以外の本はもう絶版なんだろう。
だから僕は図書館に行って借りた。2作目「白鳥の歌なんか聞こえない」
まず、読み始めてすぐに思
vol.141 庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」を読んで
東大紛争に翻弄される日比谷高校3年生「薫」くんの物語。
東大に進学するつもりだった彼の、ついてない1日(1969年2月9日日曜日)をしゃべり言葉で語る構成。第61回芥川賞受賞作。
なんのために大学に行くのか。自分はどう生きようとしているのか。自分の言動と内面との違和感。大人たちへの不信感。10代のころ身に覚えのある心の葛藤だが、その時代背景に興味がわく。1960年代の青年の目を通して、当時の揺
読書メモ 庄司薫『ぼくの大好きな青髭』
手紙がわりの読書メモをつけたいと思う。これは書評なんてちゃんとしたものではなく、今年の秋に向けた読書メモだ。ただ、書かれたメモがどこかに届くことを期待して、こうして公開された状態にしておく。
この小説は、1969年7月20日の午前10時過ぎ、新宿・紀伊国屋書店のエスカレーター昇り口で「ぼく」が突っ立っている場面から小説は始まる。僕は「この春植木屋が縁の下におき忘れていった古い麦わら帽子をかぶ