似てきて、嬉しかった話
僕はこう見えて二児の父。息子たちは中学3年と1年。彼らが少し自分に似てきて嬉しかった2つの話。
僕は子供たちに「あーしなさい」「こーしなさい」というタイプではない。父親としてどうかと思うときもあるが、仕方ない。なにせ、母子家庭だったから父親像がないのだ。「父親はこうあるべき」というキーワードで、インターネットで調べていたときもあったが……ダメだった。仕方ないので、自分なりにやるしかないと諦めた。息子たちには少し申し訳なく思っている。超不器用な父であることは自負している。
言葉ではなかなか伝えられない。なので、行動や習慣で示すことにした。「背中を見て感じろ」作戦である。それがようやく、少しだけうまくいった気がした。
1つ目は、長男くん。
受験生である彼は、休日は、勉強かスマホ。サッカーを引退して、少し体を持て余している。
ある土曜日の午後、僕は習慣であるランニングに出かけた。次男君と妻も買い物に出かけている。
「じゃあ、ちょっと走ってくるわ」
「うん」
短い会話を交わし、家を出る。約2時間半後、帰宅してシャワーを浴びようと階段をあがろうとすると長男に呼び止められた。
「父さん、走ってるときのイヤホン、なんて言うやつ?」
「おーこれか。ワイヤレスイヤホン」
「落ちない?」
「耳にかけられるやつだから、落ちないよ」
「欲しい」
「いいよ」
お安い御用だ。こういうときに即断即決できるのが、副業をやっていてよかったと大いに感じる。小遣いだけでは、「なんで俺が……」と思っていただろう。ここでふと思った。
もしかして、似てきた!? そう思うと、たまらなく嬉しくなってきたのだ。父の習慣を見て、自分もやりたいと自然に思う。もしそれが本当なら、たまらなく嬉しい。
ランニングと長男。他にもエピソードがあるので、よろしければどうぞ。
二つ目は次男君。中1の彼は、最近少しおしゃれに目覚めてきた。友達におしゃれ番長がいるようで、その子の影響もあるらしい。ただ、足元のスニーカーまでは興味が及んでいなかった。
スニーカー収集が一時の趣味だった僕。その名残がまだ少しだけシューズクローゼットに残っている。最大で40足以上あったスニーカーは、今や10足ほどになっているがスニーカーの所有は人より多い方だろう。一方、次男君は通学用の1足を履きつぶすだけ。そこはまだ中学生。当然と言えば、当然かもしれない。しかし、突然その時は来た。
「父さん、エアフォースっていうスニーカーが欲しい」
「エアフォース? エアフォース1のことかなー。おーいいんじゃないかな、○○パパがいつも履いてるやつだよ」
「そこまで見てないわ」
もうニヤつきが止まらない……
スニーカーのモデル名が子供の口からでてくるとは思いもしなかった。
自分の中学生の頃を思い出してみる。スニーカーやおしゃれには全くと言っていいほど興味がなかった。その証拠として、社会現象までになった「エアマックス狩り」と騒がれていたときに、ナイキすら履いていなかったのだから。それに比べて、うちの子と来たら……たまらないなあ。これにも、また気づいてしまう。
今まではどちらかと言うと、息子たちの興味に合わせてきた。でも、大人に一歩一歩近づく息子たちに対しては、もっと背中を見せるべきなのかもしれない。
似てきて嬉しかった、2つの話。
以上、ドヤツエでした。
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