「セッション」を見た。

この映画のことを知ったのは数年前なんですが、当時見た予告編があまりにも意識高そうというか、「シャイン」っていうぶっ飛んだピアニストの映画にどことなく似た雰囲気を感じて敬遠してたんですね。

で、最近なんとなくアマプラを巡回しているとこいつがおすすめに出てきまして、主人公が血を流しながらドラムバンバン叩いている予告編を思い出したのでみることにしました。

おはなしは一見スポ根です。

偉大なドラマー音楽家になりたくて音大に入った主人公がスパルタ教師にしごかれる、と聞けば王道を行く内容と思われるでしょうが、見終わると実はそんなんじゃないことに気づくでしょう。

某所にも書いてありましたが、こいつはキ◯ガイ二人の殴り合いです。

おおよそ常識の範疇を超えて誰にも理解できない領域に足を滑らせて落っこちてしまった二人が誰にも理解されないまま共鳴してしまうという、喜劇なのか悲劇なのかすらわからん世界の話です。

正直ジャスだのの知識はほとんどいらないと思います。硬派な芸術映画かと思わせといてただ頭おかしい人たちが暴れまくってるわけですから。

これってつまりドラムを殺人術やらレースカーのドライビングテクニックに置き換えても通用するということです。

殺人術なんて人殺せりゃいいのに、スキンヘッドの教師おっさんは狙撃銃で眉間狙ってきっちり殺せというわけです。できなきゃマザーフ◯ッカーと罵られる。そこで主人公は猛練習。結構な狙撃スキルを身につけるわけです。

そんで最後はお互いにしか理解できない芸術の領域の中で見事眉間を狙撃してぶち抜き、二人の精神は不可解な共鳴現象を起こすという。まあ例えるとそんな感じです。

あの世界だけは主人公の父親も理解できません。途中「俺の息子やるじゃん」と上がっていた口角が徐々に下がって真顔になり、やがて見知らぬ他人を見る顔になったところで俺はこの作品の趣旨を理解しました。

「あ、これは音楽の話じゃなくてあくまでそれを題材にしただけの二人のキ◯ゲエタイマンバトルの話なんだな」と。

ラストのセッションでは観客にスポットライトは当たらず、あくまで二人だけの実質独演会になります。

お互い憎んでいるし殺したいくらいに思っているにも関わらずあそこだけは通じ合ってしまう妙なところがこの映画の面白いところなんじゃないでしょうか。

ヒリヒリするし観てて面白かったし割と短めなので是非見てみてはどうでしょうか。

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