小説『陰獣/江戸川乱歩』朗読配信した🌹ネタバレなし。
今朝、stand.fmにて最終回を配信しました。
殺人事件、ミステリー、元は興味なかったのだが……。
ぱっと目に入ってしまい。
小学生から少女小説を読み始めて(折原みと、藤本ひとみ、津原やすみ、等々)
それから文学作品に入って、読む速度が遅いから徹底して自分の読みやすい文体を探し続けた。
どんなに話題書でもベストセラーでも、書店で手に取って文体を確かめて、ダメだ~と思うと読み進められないのでパスした。
授業の課題などで取り上げられた専門書の類は、好き嫌いに拘らず読まなくてはならなかったのでとてもよい訓練になった。
いまは大変に便利になったもので、パソコン、スマホでささっと確認できるから、私は専ら青空文庫でタイトルや題材を見て探す。(著作権切れの作品を。)
江戸川乱歩は食わず嫌い。
朗読を始めなければ一生、手に取ることはなかった。
ミステリーかぁ・・・と。
『陰獣』の冒頭で、探偵小説家には二通りいて、状況やエピソードを細かく淡々と書き込む作家と、犯人の心象をしつこく描写する作家がいて、自分(主人公)は前者である、と語りが入る。
これは物語の最後に回収される伏線でもある。
私はこの書き出しに打たれて読むことに決めた。
この作家は「私の気持ちがわかるかもしれん」と。
作者自身は後者だそうで、なるほどこの作品は、理知的にも書き込まれてはいるがしつこい心理描写もきちんと含まれていて、私の好みに合った。
物語の最後まで疑いが晴れないところも。
私は、何月何日にどういうトリックをしかけて、という事象よりも、どんな気持ちで、という深いところに興味があるのだ。
その点で、とても満足だった。
発表当時、人気で「バズった」作品であるらしい。
ちなみに、『陰獣』というタイトルは「淫獣」と捉えられて、性犯罪を報じるときにメディアで使用されるようになり、乱歩はそれを酷く嫌ったそう。
そもそものタイトルはもっと大人しいもので、売り上げのために変えさせられたとか。
戸籍があやしい時代のひとびとの生年月日はあやふやだと思われるが、公式に発表されているデータにはそれなりに意味があると考えるので、占い師として覗いてみると、金星、冥王星、海王星が際立つ感じの配置で、一発当てるスターで、女に甘い(笑)。そして、心理操作が巧みなのだ。
『陰獣』にもそれは表れていた。
私も多分に漏れず、操作された。
ほかの江戸川乱歩作品はまったく知らないし、たぶん今後も読まないと思うが、この作品はエロかった。
小学生の頃、勉強をしていた部屋の机の前に天井まで届く両親の書棚があり、そのてっぺんのほうにある官能小説を机に上って取り出して読んでいた。題名でだいたいわかるので、そんなもの子供部屋に置く両親はあたおかだといまでも思っている。
そういう作品は「ひたすらしている」ので、秘め事の勉強にはなったが、正直エロくはないのである。アソコがどうしたこうした、って延々やっているから。
文学作品のなかでは、匂わせる表現で想像力を掻き立てたり、突如、手短に性的な場面を紛れ込ませたりして、見えそうで見えないをやっている。
私はそれを「エロ」だと認識している。
実生活で私は、さ、やろっか!というノリでやるほうなので(運動として)、文学で、台詞で、朗読で「エロ」を表現するのはとっっっても難しいと思った。※作中、私はやったことのない変態プレイの場面が一瞬だけあります。
ただ露出するのは極めて簡単だが、隠しながら淫靡を見せるのは難しいのである。
私は朗読の練習をしていたこともないし、元からセンスがあるわけでもなく思いつきスタートしたので、相変わらず下手である。声も汚い。
滑舌を頑張っても、前歯の間の小さい隙間とか口腔の狭さとかは変わらず、限界を感じている。
ただ、声を出すのはなんとなくストレス発散になるし、一定の速さを保って文字を追いながら読むのは脳によい負荷がかかっていると思う。
ニンゲンは働くだけじゃなく、非生産的なこともしたほうがよい。
私はこの朗読で当てようとは思っておらず、好きな作品のみを読んで世に垂れ流していくつもりだ。
便利になって、一億総表現者みたいな世界になりつつあるから、読むべき作品、観るべき作品が毎分毎秒生まれていて、わざわざ素人の作品を鑑賞するひとはいないだろう。
みんなが一方的に発信するばかりで誰もそれを見ないというのもまた、カオスで楽しい。
まだやったことがない方は試してみてはいかがでしょうか。
本を読むのが怠いとか、野良の中年女に興味のある方はいっぺん聴いてみてくださいね。
原作を知っている方は怒りが湧くかもしれませんのでご遠慮ください(笑)
たまに聴いてくださる方はどんな気持ちなんだろうと疑問に思っています。
次回は坂口安吾を読みます。
覗いてくれたあなた、ありがとう。
不定期更新します。
質問にはお答えしかねます。
また、私の12ハウスに遊びにきてくださいね。